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新興国危機 何が問題か?

新興国を襲っている通貨不安に関し、誤解があるようなのでハッキリさせておきます。

いま新興国が抱えている問題は、ギリシャ危機に代表されるソブリンの信用が揺らいでいるのではありません。ソブリン(sovereign)とは「君主」とか「統治者」の意味で、ここでは国の出す国債を指します。

下は新興国の国家負債がGDPに占める比率を示したグラフです。いわゆるフラジャイル・ファイブ(ぜい弱な5カ国)と呼ばれる、トルコ、インド、インドネシア、南ア、ブラジルも入れておきました。

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現時点(2014年=橙色)の負債比率は、多い国でもブラジルの69%、インドの68%と、先進国に比べれば、カワイイものです。

大半の新興国は、過去15年くらいの間に国家負債を圧縮してきているのも目を引きます。昔、醜悪だったインドネシアやマレーシア(アジア通貨危機の渦中に放り込まれた国々です)は、努力のあとがうかがえます

一方、先進国を見ると、次のようになっています。

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多くの国が100%を超えている点が先ず目を引きます。次に趨勢として、どんどん負債が増えてしまっている点も見逃せません。

このことだけからも、今回の新興国通貨危機とPIIGS危機は性質が異なる問題であることがわかるでしょう。

一般に新興国は為替が変動相場なので(中国を除く)輸出競争力の低下などの問題は、為替が売られる事で、即座に訂正が入ります。これがユーロ(€)という共通通貨を使用しているがために為替による競争力の調整が出来なかったギリシャやポルトガルと違う点です。

また新興国はこのところずっと高成長だったので、債務の返済もカンタンでした。各国が過去の債務をどんどん返済してゆけた理由はここにあります。

ソブリンの信用の問題では無いのなら、一体、何が問題なの?

この点に関しては次のグラフを見て欲しいです。これは各国の経常収支のグラフです。

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過去15年間の平均(赤)に比べて、現在の経常収支が悪化している国が多いです。その事情はおのおのの国により多少違うけれど、共通しているのは「貿易が不振だ」という点です。

世界の貿易の中心的プレーヤーとなっている国は、言うまでも無く中国です。その中国は最近まで楽勝で輸入・輸出を前年比+20%以上のペースで成長させてきました。

ところが最近はこれが+7%前後まで急減速しているのです。

近年、とりわけ好調だったのは「新興国→新興国」の輸出・輸入でした。ところが中国の素材、エネルギーの消費ペースに鈍化が見られたので、急ピッチな拡大を見込んでいた国々は思惑が外れました。

経常収支はエマージング・マーケット専門の機関投資家が最も重視する指標のひとつです。その経常収支が悪化しているので、これは早晩、新興国の企業業績にも現れる(輸出企業の業績悪化など)だろうし、海外の投資家がお金を引けば、民間部門(一例:バンコクの高層マンション)で増えてしまった借入の返済などが苦しくなるシナリオは考えられると思います。

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