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課題の多い策源地攻撃_新防衛計画大綱等 その5

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新大綱等においては、弾道ミサイル攻撃への対応として、弾道ミサイル防衛の継続的な整備と共に、いわゆる策源地攻撃についても言及がなされています。

ですが、あまり具体的ではありません。

珍しいケースですが、大綱・中期防に、全く同じ表現で次の通り記載されています。

日米間の適切な役割分担に基づき、日米同盟全体の抑止力の強化のため、我が国自身の抑止・対処能力の強化を図るよう、弾道ミサイル発射手段等に対する対応能力の在り方についても検討の上、必要な措置を講ずる。

その理由は、まだまだ課題が多く、具体的な防衛力整備の方向性を示す事が困難だからでしょう。

この程度の内容ですから、この文だけから、今後の方向性を占う事は困難です。ですが、新大綱等の発表から半月程して、課題解決に向けた組織作りの報道が出ています。
空自に今夏「航空戦術団」 敵基地攻撃能力を研究 北ミサイル念頭に」(産経新聞14年1月3日)
空自に今夏「戦術団」 装備体系の構築も急務」(産経新聞14年1月3日)

この報道にはソース情報がなく、信憑性には疑問符も付きますが、航空戦術教導団の新編については、防衛省が公表した「26年度予算の概要」資料に、新編の事実のみとは言え、記載されている他、報道の内容を見ると納得できるものが多いため、恐らく予算資料の発表と共に、記者クラブには何らかの説明があったのでしょう。

なので、恐らく間違いないと思われます。

なお、この航空戦術教導団の新編については、概算要求では盛り込まれていなかったものなので、大綱等の改編に併せ、火急の取組が必要なものと認識されているのではないかと思われます。

そのため、以下では、前掲報道にあった航空戦術教導団の編制と役割を見ながら、策源地攻撃の検討に何が必要なのかを考えてみます。

まず、この航空戦術教導団ですが、隷下に次の部隊を擁する見込みです。ただし、報道があったのは前の4部隊だけで、基地警備教導隊は、私の予想で付け加えたモノです。(理由は後述)

なお、括弧内は、現在の編制です。
 ・飛行教導隊(航空総隊直轄)
 ・高射教導隊(航空総隊直轄)
 ・電子戦支援隊※電子作戦群に改編(航空総隊司令部飛行隊)
 ・航空支援隊(第3航空団飛行群)
 ・基地警備教導隊(航空総隊直轄)

策源地攻撃では、最大の問題はターゲティング、攻撃目標の選定と攻撃部隊がその目標を確実に攻撃できるようにすることです。

弾道ミサイル攻撃を防ぐために策源地攻撃を行う場合、その目標はノドン等弾道ミサイルの移動式ランチャーTEL(Transporter-Erector-Launcher vehicle)です。

通常、TELは厳重に隠されているため、衛星等での偵察では、確証の低い位置情報があるに過ぎません。そのため、正確に攻撃するためには、隠蔽されていたTELが発射のために外に出てきた段階で、何らかのセンサーで捕捉し、ミサイル発射までのわずかな時間に攻撃しなければなりません。

センサーとしては、米空軍が運用しているE-8ジョイントスターズからの情報を貰うか、中期防でも調達が盛り込まれたグローバルホークを使用することになります。

しかし、E-8を投入した湾岸戦争でのスカッドハント(弾道ミサイル狩り)でも、万全には程遠い状態でしたし、イラクと比べれば遥かに山がちの北朝鮮では、側方監視レーダーによる監視能力は、かなり制限されます。

そのため、目標が潜伏していると思われる地域の周辺に目標の監視と捜索、航空機誘導とレーザー照準装置等を使った精密誘導兵器の誘導要員となるコンバット・コントローラーと呼ばれる特殊部隊を潜入させることが必要になります。

航空戦術教導団に編入される航空支援隊は、F-2による対地攻撃を行う第3航空団隷下に編成されている部隊で、このコンバット・コントローラーの基礎的技術を保有しています。

ただし、詳細は明らかになっていませんが、航空機誘導等は可能でしょうが、まだ潜入や自衛戦闘能力の獲得には至っていないでしょう。

そのため、彼等とは逆に、潜入や戦闘能力を保有している陸自部隊に、26年度予算でLJDAM誘導装置を購入することになっていますし、未確認情報ながら、特殊作戦群は既に保有しているという情報もあります。

このため、航空支援隊は、当面はコンバット・コントローラー育成に関する研究を行って行くでしょうが、将来的には空自の特殊作戦部隊になってゆくかもしれません。

私が、この航空戦術教導団に基地警備教導隊も含まれるだろうと予想したのも、空自で最も地上戦闘のノウハウを蓄積しているのが、彼等だからです。現在、航空機誘導等の能力は持ちながら、地上戦闘の能力には欠けると思われる航空支援隊要員をコンバット・コントローラーにして行くためには、地上戦闘に関しても高い技量が必要です。

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