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憲法改正手続法における国会の発議から国民投票までの期間の問題

(1)憲法改正の手続法が本日(2010年5月18日)全面施行されることについては、先月(4月)下旬に、すでに紹介し、同法につき憲法違反を含んでいるし、欠陥法でもあるとして廃止を主張しておきました。


(2)全面施行の日である本日、憲法改悪阻止各界連絡会議(憲法会議)は、「憲法しんぶん速報版」(2010年5月18日・第255号)で、同法の廃止を求める声明を発表しました。

http://www.kenpoukaigi.gr.jp/sokuhou/100518No255.pdf

改憲手続法はキッパリ廃止を。あらゆる改憲策動を打ち破ろう

 本日、改憲手続法(日本国憲法の改正手続に関する法律)が「施行期日」を迎えました。この法律は、改憲を掲げた当時の安倍内閣のもとで自公与党が成立させたものです。改憲手続法は、公布から3年の間に、投票年齢を18歳からとすることや、公務員の国民投票運動の自由を保障するために「必要な法制上の措置」をとることを国会に義務づけ、参院では、18項目もの付帯決議がつけられていること自体、論議もつくさず、改憲の条件を整えるため成立を急いだことを示すものです。にもかかわらずこれまで、それらについての議論がまったくなされていないのは、こうした改憲の動きを危惧した改憲反対世論が草の根に広がり、国民がこのような法律を望んでいないことの反映にほかなりません。改憲手続法はキッパリと廃止するしかありません。
 ところが、自民党やつぎつぎ名のりをあげる「新党」は、この法律の「施行」を明文改憲の動きを再起動させる手がかりにしようと、改憲案の作成や集会の開催など、新たなキャンペーンを開始しています。民主党出身の参議院議長が、参院憲法審査会の始動を促す動きもあります。
 また、鳩山内閣は、こうした明文改憲の動きとは別に、解釈改憲を極限にまでおしすすめるため、内閣法制局長官の国会答弁禁止、官僚や学識経験者らの意見聴取は法案審議と切り離した別の場でおこなうこと、衆院80参院40の議員比例定数の削減などの「国会改革」を推進しようとしています。これらは国民の意思を国会から締め出し、内閣が、国会の統制を受けることなく、憲法解釈の変更も含めて強大な権限をふるう国家体制をつくろうとするものです。普天間基地移設問題や消費税増税の論議などにみられるように極限に達した日米軍事同盟優先、大企業奉仕の政治と国民との矛盾を抑えこむためであることは明らかです。

 明文改憲、解釈改憲のどちらであろうと、改憲の動きを絶対に許すわけにはいきません。私たちは今こそ、国民のなかに憲法を生かす運動を広げ、憲法改悪に反対する揺るぎない多数派となり、改憲手続法など発動する余地をなくすことをめざし奮闘するものです。

2010年5月18日          憲法改悪阻止各界連絡会議(憲法会議)

(3)すでに私見は先の投稿で書いているし、忙しくて十分論述する時間がないので、これまで書いていないことのうち、重要な問題点を一言記しておこう。

それは、国会による発議から国民投票までの期間が現行法第2条第1項では最長でも180日(約6か月)しかないという問題である。

http://www.soumu.go.jp/senkyo/kokumin_touhyou/common/pdf/kokuhyo_honbun.pdf

(国民投票の期日)
第二条 国民投票は、国会が憲法改正を発議した日(国会法(・・・)第68条の5第1項の規定により国会が日本国憲法第96条第1項に定める日本国憲法の改正の発議をし、国民に提案したものとされる日をいう。)から起算して60日以後180日以内において、国会の議決した期日に行う。



これは、日本国憲法の全面改正が行われる可能性があることを考慮すれば、あまりにも短すぎる。

(4)日本国憲法の全面改正が憲法改正の限界を超えれば違憲であるが、これについては、それを確認し無効とする訴訟の規定がない点で違憲であることについては、すにで指摘したとおりである。

もっとも、全面改正をしても、憲法改正の限界内である場合もある。
そのような場合に、国民が憲法改正案に賛成するか、反対するかどうかを決定する国民投票をする期間として、6か月程度の期間では短すぎる。

現行の日本国憲法は、補足を除いても99条あり、補足を含めると103条ある。
その全面改正が行われれば、それと同じくらいの条文になるだろう。


これらの条項の一つ一つにつき、国民一人ひとりが十分理解し、じっくり議論するとなれば、6か月程度ではあまりにも短かすぎる。
国民はそれぞれ毎日忙しく仕事をし、生活しているからだ。

(5)この問題は、付帯決議にも挙げられていないようなので、国会での見直しの可能性が皆無に近いから、現行の憲法改正手続法はこの点でも廃止すべきである。

(6)なお、憲法会議の声明が指摘する議員定数削減の問題は、これまでも問題視して批判してきた問題であるが、別の機会に取り上げることにする。

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