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アフリカのアマゾンを目指す「Jumia」

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Amazonの日本版がロンチしてから今年で14年目となる。今ではAmazonのユニークユーザー数は月間4800万人を超える。日本の総人口は約1億2000万人と言われているから、これは相当な数字だ。

本場米国では、Amazonユーザー数は2億人超とも言われており、人口の7%がAmazon Primeに登録しているというデータもある。米国や日本のみならず、英国、フランス、ドイツなどの欧州諸国、豪州、カナダ、メキシコ、ブラジルなどにおいて世界のAmazonとしてEC界に君臨しているのだ。

そのAmazonも、アフリカ大陸にはまだ手を付けていない。インターネットが普及しつつあり、また急速な経済成長で経済人の注目を集めているにも関わらずだ。

今回ご紹介する「Jumia」は2012年に登場後、Amazonが入っていないナイジェリアにおいて、携帯電話やタブレットをはじめ、電化製品、洋服など何でも販売する「ナイジェリア版Amazon」といえるECサイトだ。

2013年に入ってからは毎月30~40%の増収を見せており、JPモルガンやSummit Partnersなどの大手からの投資もあり、投資額は2013年11月の時点で合計7500万ドル(約78億円)にのぼる

Jumiaの快進撃の理由はどこにあったのか、秘密を追ってみよう。

アフリカにアマゾンを作りたい

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Jumiaの創業者は、ナイジェリア出身のTunde Kehinde(写真右、以下ケヒンデ)氏とガーナ出身のRaphael Afaedor(以下アフェドー)氏。2人はいずれもハーバード・ビジネススクールの出身だ。

ケヒンデ氏の出身地ナイジェリアの人口はアフリカ最大の約1億6000万人で、同大陸の総人口の約20%を占めている。また石油産出国でもあり、経済規模は南アフリカ、エジプトについでアフリカ第3位だ。

ところが同国のショッピング事情は極めて悪い。モールやデパートなどのような整理されたショッピングセンターはなく、同じ商品でも店によって値段が違うのは当たり前だ。

都市機能も人口増加に対応しきれていない。街は常に渋滞がひどく、冠婚葬祭に必要なシャツが欲しい、携帯電話を買いたい、と思っても店にたどり着くまでが一苦労なのだ。

ケヒンデ氏はそんなナイジェリアのショッピング事情を目の当たりにして、ビジネスチャンスを見いだした。当時英国に在住していた彼は、故郷のナイジェリアに戻ってオンラインビジネスを始めることを決意する。

「ナイジェリアは中間層がものすごい勢いで増えつつあるんだ。市場は大きいし、人々には購買意欲がある。モールができるのを待つよりも、オンラインショッピングサイトをロンチするべきだと思ったんだ。欲しいものが欲しいときに手に入るようにね」(ケヒンデ氏)

そのころ、ケヒンデ氏は共通の友人を通じてアフェドー氏を紹介される。アフェドー氏はナイジェリアですでにeコマースのベンチャー企業を立ち上げており、同国の市場の可能性から、もっとマーケットを広げたいと思っていたところだった。

時期は違えど同じハーバード・ビジネススクールで学んだ2人はすぐさま意気投合し、出会って10日後にはJumiaの前身となるKasuwaを立ち上げた(2ヶ月後に法的問題によりJumiaに改称)。2人が漠然と描いていた「アフリカにAmazonを作りたい」という思いが具現化した瞬間だった。

ナイジェリアの人々からの信頼を得るために

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しかしナイジェリアには、オンラインショッピングが浸透しづらい特殊な事情があった。最大の問題は、人々の間にオンラインショッピングに対する強い不信感があることだ。

クレジットカードが普及している欧米では、オンラインショッピングでのクレジット払いは当然のことで、Amazonでも代引きを受け付けていない。また日本ではAmazon.co.jpが販売する商品に限り代引きOKとされているものの、手数料が発生するため、クレジットカードの普及に伴って着払いは減ってきている。

一方ナイジェリアでは、同国の教育水準は比較的高く、ITに関する教育も盛んだが、インターネットを悪用した犯罪が多く、いわゆる振り込め詐欺が横行している。この詐欺には「ナイジェリア詐欺」という不名誉な名前がつけられているという。

そういった事情のため、人々はなかなかオンラインで物を購入しようとしない。ましてタブレットや電化製品などの高価な製品を買おうとする時はなおさらだ。Jumiaがサービスを開始したときも、利用者たちがクレジットカードを使って商品を購入することはほとんどなかったという。

「僕たちは人々がオンラインでの支払いに抵抗を感じなくなるまで、ただ待っているわけにはいかなかった。だから代引きのシステムに変更したんだよ」(アフェドー氏)

ただ代引きを行うだけでなく、配送・集金も独自のシステムを導入した。日本では配達や代引きへの対応はヤマト運輸や佐川急便などの運送業者が請け負うが、Jumiaでは自社の職員が直接配達を行い、代引きへの対応も担当するのだ。

顧客は商品が配達されると、まずその商品をチェックし、直に触って確かめてから、料金を支払う。また購入から14日以内であれば、未使用の商品に限り理由を問わず返品に応じている。

Amazonでは、「送られてきた商品が気に入らない」などの自己都合の返品の際の送料は客側の負担となる。Jumiaの顧客有利なシステムは、オンラインショッピングに対する不信感の強い同国ならではの配慮といえるだろう。

「ナイジェリアの人々の購入意欲は高まっている。そんな中でも、まだまだオンラインショッピングでは信頼の問題がとてつもなく大きな課題なんだ。僕たちは自分たちが詐欺を行っていない、と示す事が大事なんだよ」(ケヒンデ氏)

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また、ナイジェリア特有の、交通事情の悪さも考慮する必要があった。店舗での購入を割け、ECサイトを利用したとしても、交通渋滞に巻き込まれて配達が遅れるようでは意味がなくなってしまう。

そこで配達の際には、冷蔵庫など一部の大型家電を除いてバイク便に統一することした。また盗難などの被害を避けるため、配送は夜7時までに定めたという。

まだまだ必要な、オンラインショッピングの懸念への対応

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現在Jumiaは、200人ほどで構成されるセールスチームを抱えている。彼らはおそろいのオレンジ色のシャツを着てタブレット片手に各地主要都市を飛び回り、日々セールス活動にいそしんでいる。

セールス活動といっても、ただJumiaを知ってもらうのが目的ではない。

彼らの最大の目的は、オンライン詐欺に対する懸念を払拭し、安全なオンラインショッピングについてナイジェリアの人々に知ってもらうことにある。スタッフは企業や学校、教会などでオンラインショッピングに関する説明会を開き、注文の仕方を教えたり、それぞれの質問に答えるなどの活動を行っている。

オンラインショッピング自体になじみのない人が多い中、こうしたアナログな形での啓蒙活動は必要不可欠なのだ。

「オンラインショッピングを受け入れている人は、ほとんどが外国に旅行したことがある人か、住んだことのある人なんだ。この国ではそれ以外の人々は今でもオンラインショッピングに懐疑的でね。人々の習慣を変えるには、かなりの努力が必要なんだって痛感しているよ」(アフェドー氏)

こうした努力は着実に実を結びつつある。スマートフォンからの支払いは創設当初の2倍に増え、インターネット経由の支払いも10%を超えるようになったのだ。

顧客の信頼を得るためなら、時代にも逆行する。

米国に留学経験のあるケヒンデ氏とアフェドー氏にとって、オンラインショッピングとは特別なものではない。だが、それを地元の人々に伝えるのは至難の業だった。

2人はそれを克服するために、敢えて時代に逆行した手段をとった。代引きしかり、勉強会しかり、アフリカの現状に合わせたアナログな方法を採用した。すべては顧客との信頼関係を築き上げるためだ。

「僕たちはただ利益をあげることはしたくないんだ。数年間だけ成功すればいい、とも考えていない。持続的な事業を行い、この国のEコマース発展の手助けをしたいと考えているんだよ」(ケヒンデ氏)

ケヒンデ氏はアフェドー氏に親しみを込めてこうからかうという。

「アフリカにAmazonを作りたいんだ、と君の人生で何度言ったか覚えてるかい?」

Jumiaは2013年にはナイジェリアだけでなく、ケニア、モロッコ、コートジボワール、エジプト、南アフリカ、などアフリカ全土でサービスを展開し、今や600人の社員を抱える大企業へと成長した。「アフリカ大陸のアマゾン」とは少々不思議な言葉だが、Jumiaはそれを実現しつつある。

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