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政策シンポジウム(教育について)

「政策分析ネットワーク」の主催する教育政策に関するシンポジウムを聴講した。政策分析ネットワークは政策メッセという大きなイベントを半年に一回程度開催しており、私もこれまで3回、パネリストとして参加させていただいたが、最近は単発の政策セミナーも次々に開催されている。今回のパネリストは、教育政策実行会議委員であるアフラック最高顧問の大竹美喜氏、文部科学省初等中等局長の前川喜平氏、教育NPOのTeach for Japan代表の松田悠介氏、モデレーターはNHK解説主幹の早川信夫氏である。

会場は大学の講義室で、聴講者は200名を超えている。政策分析ネットワークの事務局長であるT氏には、自分の主宰する政策懇談会にもお越しいただいているが、こうした大規模かつハイ・プロファイルのパネリストを集めたイベントを、2週間に1回程度のハイペースで企画されているというのは驚嘆する。

シンポジウムでは、松田氏から、Teach for Japanの活動を紹介する形で基調講演が行われ、その後、パネリストによるディスカッションとなった。Teach for Japanは、米国で大きな成功を収めているというTeach for Americaの日本版で、従来の画一的な教育を超え、多様性を重視した質の高い教育を推進することを目指している。具体的な活動としては、教員候補をフェローとしてトレーニングし、2年間の期限付きで教員として学校現場に派遣することが中核となっている。昔から、閉鎖的との指摘のある教育現場に、トレーニングを積んだ外部の人材を送り込むことは、教育に変化と多様性をもたらすことが期待されよう。

松田氏自身、教師であったが、その現状に飽き足らず、日本の教育自体を変えるためにこうした活動を始められた情熱と行動力には感銘を受ける。

文科省の局長からは、松田氏の取組について、「スコップで岩盤に挑むようなことをされている。是非頑張って欲しい。」とエールが送られた。しかし、ここでいう「岩盤」とは何なのか。時間がなく、その機会が得られなかったが、質疑応答の際にもう少し掘り下げて聞きたいと思っていた。文科省であれば、まさにその岩盤を崩すブルドーザーを持っているのではないか、と素人目には思うだろう。しかし、例え文科省の局長であっても、そう簡単に変えられないものが横たわっているのかもしれない。その辺りの悩みを語ってもらうことができれば、議論がさらに深まったように思う。

自分もこうした勉強会で、NPOや社会起業家として活躍されている方々の話を聞くたびに、感銘を受けるとともに、行政に携わる者として、ときには逆説的な無力感を覚えることもある。まず第一に、官庁では通常、定期異動で次々に割り振られたポストで働くこととなり、自分のやりたいことばかりずっとできるわけではない。また、より本質的な問題として、行政はあまねく広い国民を対象としているため、個別のニーズに応えることと、全体としての公平性、一貫性を保つこととの葛藤が常に生じる。小回りが利きにくいのである。NPO等の方が、ピンポイントに特定のニーズに応えることができる場合がしばしばある。だからこそ、行政とNPOは、対立するものではなく、役割分担をすべき関係にある。

いずれにしても、こうしたイベントを通じて、官民それぞれの人々が意見を交換しあうことは、普段職場にいるだけでは得られない「気づき」をもたらしてくれる意義がある。

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