記事

看護陸曹が「衛生兵」に?衛生関連の法規制の見直しか

 政府は、他国から武力攻撃を受けた有事に際して、救急救命士の資格を持ち負傷者搬送に従事する自衛官が担う医療行為の範囲を拡大する方向で検討に入った。

自衛官の医療行為拡大 後方支援強化へ検討
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014012701002291.html
 やっと、こういうことを国がまじめに考えるようになった、というところでしょうか。

 陸自の看護陸曹は自分の判断で投薬や注射、手術までできる諸外国の看護兵とことなり、看護士、救急救命士ぐらいのことしかできません。
 医官の指示がなければ、これらの行為ができません。ですが、戦場のあらゆる場所に医官がいるわけでもない、また医官自身が死傷する可能性も少なくありません。

 現状は多少乱暴いえば、怪我した自衛官は死ね、ということになっています。
 あるいは戦争、実戦のたぐいは起こらない前提でやってきたわけです。

 ですから陸自は途上国ですら持っている装甲野戦救急車すら1輌ももっていない、わけです。ですが我々は未来永劫戦争が起こらないという、ファンタージーの世界に住んでいるわけじゃありません。戦えばけが人、病人、死人がでるのが当たり前です。

 現状で戦争が起これば、米軍ならば1名の死亡で済むところ、10人も20も死ぬ、あるいは失わなくて済む手足を失うことになるでしょう。

 これは陸自だけではなく、海自や空自でも同じです。すべてのフネに医官が乗っているわけでもないし、医官が戦死する場合もあります。空自の救難ヘリのメディックや空自の基地が攻撃された場合だって出来る処置が限られています。

 陸自の野戦病院もかねてから持ってはいましたが、実戦では使えませんでした。これは有事法で変わりましたが、衛生がらみでは多々問題が残っています。

 平時の医師法などで戦時の自衛隊の行動を規制することが土台無理な話です。ところがこういう話が中々問題になってきませんでした。
 まあ、戦車だの戦闘機だの景気のいい話をしている方が楽しいのでしょうけども、いくら戦車があってもこういう衛生関連不備のままではまともに戦争ができません。

 戦車を増やせ、戦車がないと、国が滅ぶというような主張をする人達は装甲野戦救急車を採用しろとはいいません。率直に申し上げて彼らが「お花畑」と揶揄する観念的左翼の平和主義者と目くそ鼻くそです。

 実戦経験が豊富で人口が少ない国、例えばイスラエルや、かつての南アフリカでは衛生を非常に重視しています。

 防衛省でこのようなことを等閑視してきたのは、内局の衛生のトップが厚労省からの出向者ばかりで、現実を分かっていないからだと以前自衛隊中央病院の院長に聞いたことがあります。無論原因はそれだけではなく、防衛省・自衛隊にまともに戦時に備えるという意識が薄かったからでしょう。

 衛生担当者だけではなく、一般隊員に対する衛生関連の規制も再検討すべきです。
 また先の大震災のような大規模災害では、一般国民に対しても看護陸曹などの治療行為を行えるようにすべきです。

関連記事
 陸自の救急セットでは、自衛隊員の命を救えない
 http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013082100006.html

新しいウェブニュースサイト、NEXT MADIA Japan In-Depthに寄稿しております

まともな評価もしないでオスプレイ導入を政治決定した安倍政権〜兵器は子供の玩具ではない①
http://japan-indepth.jp/?p=2962
まともな評価もしないでオスプレイ導入を政治決定した安倍政権〜兵器は子供の玩具ではない②
http://japan-indepth.jp/?p=2967
安倍政権は軍拡?! 右派?!〜その実態は多額の税金をアメリカに貢ぎ、自衛隊を弱体化させている事実に警鐘①
http://japan-indepth.jp/?p=2899
安倍政権は軍拡?! 右派?!〜その実態は多額の税金をアメリカに貢ぎ、自衛隊を弱体化させている事実に警鐘②
http://japan-indepth.jp/?p=2902

陸上自衛隊の水陸両用車の調達先は『アメリカ製』だけが候補の「出来レース」?〜水陸両用装甲車=AAV7は導入ありきでいいのか①
http://japan-indepth.jp/?p=2220
陸上自衛隊の水陸両用車の調達先は『アメリカ製』だけが候補の「出来レース」?〜水陸両用装甲車=AAV7は導入ありきでいいのか②
http://japan-indepth.jp/?p=2220
陸上自衛隊の水陸両用車の調達先は『アメリカ製』だけが候補の「出来レース」?〜水陸両用装甲車=AAV7は導入ありきでいいのか③
http://japan-indepth.jp/?p=2234
安倍政権の安全保障軽視が露呈!やっつけ仕事の国防計画?〜安倍首相はまともに安全保障を考えていない
http://japan-indepth.jp/?p=1956
これではまるで中国政府の記者会見だ!」〜情報発信強化を謳いながら、安全保障報道で外国メディアを差別する安倍政権

朝日新聞のWEBRONZA+に以下の記事を寄稿しています。

国産機銃は廃止すべきだ(上)――製品不良で多くの自衛隊員が死傷する
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2014012700004.html
オスプレイはいっそのこと、政府専用機に
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2014011600005.html
陸自向けのオスプレイ導入は「裏口入学」だ
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2014011500004.html
陸自の水陸両用装甲車、AAV7導入は裏口入学だ
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013122500002.html
日経が伝えないトルコとの戦車エンジン共同開発の真実(上)――トルコの狙いは何か?
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013112500006.html
日経が伝えないトルコとの戦車エンジン共同開発の真実(下)――日本がパートナーを組むべき国はどこか?
アベノミクスで食材偽装が増える?
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013111100009.html
機動戦闘車は必要か(上)――島嶼防衛にもゲリラ・コマンドウ対処にも不向き
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013103100010.html?iref=webronza
機動戦闘車は必要か(中)――脆弱な防御力
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013110100004.html?iref=webronza
機動戦闘車は必要か(下)――高いコスト
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013110700008.html


リンク先を見る真・大東亜戦争 1
アドレナライズ
2013-02-01
林 信吾

リンク先を見る
Amazonアソシエイト by リンク先を見る画像を見る

>林信吾との共著、真・大東亜戦争全17巻です

あわせて読みたい

「陸上自衛隊」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    BLOGOSサービス終了のお知らせ

    BLOGOS編集部

    03月31日 16:00

  2. 2

    なぜ日本からは韓国の姿が理解しにくいのか 識者が語る日韓関係の行方

    島村優

    03月31日 15:41

  3. 3

    「いまの正義」だけが語られるネット社会とウェブ言論の未来

    御田寺圭

    03月31日 10:09

  4. 4

    カーオーディオの文化史 〜ドライブミュージックを支えた、技術の結晶たち〜

    速水健朗

    03月30日 16:30

  5. 5

    BLOGOS執筆を通じて垣間見たリーマンショック後10年の企業経営

    大関暁夫

    03月31日 08:27

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。