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教育委員会の改革、首長との関係はどうなる ‐ 渡辺敦司

今年の通常国会では、2013(平成25)年12月の中央教育審議会答申をもとにした教育委員会制度の改革法案が提出されます。答申をまとめるに当たっては中教審の分科会で激論があり、提言する制度改革案以外にも「別案」を併記するという異例の格好になりました。与党内の一部にも別案を支持する意見があり、どのように法案に反映させるかで曲折も予想されます。

今の教育委員会制度に疑問が持たれたきっかけは、大津市の中学生いじめ自殺事件(2011<平成23>年10月)などをめぐる教育委員会の対応でした。事件に対応すべき「教育委員会」とは、5人前後の委員で構成される教育委員の会議(狭い意味での教育委員会、主宰者は「教育委員長」)なのか、教育委員会事務局(広い意味での教育委員会、トップは教育委員の中から選ばれた「教育長」)なのかが問われたのです。政府の教育再生実行会議(外部のPDFにリンク)は2013(平成25)年4月、新「教育長」(名称は変更を検討)を首長(都道府県知事や市町村長)が直接任命して教育行政の責任者とすること、新「教育委員会」(同)は教育長に教育の大きな方向性を示したり、チェックを行ったりする役割にとどめることを提言しました。

現在、教育委員(非常勤)は首長が議会の同意を得て任命するのですが、任命後は首長からの独立が認められており、日常的には教育委員の中から選ばれた教育長(常勤)が教育委員会事務局を指揮監督して執行に当たります。ここでは狭い意味の教育委員会(教育委員の会議)が教育長の法律上の「上司」(教育行政の執行機関)になり、両者が一体で責任を果たすことになっています。教育委員は毎年1~2名ずつしか交代しませんから、首長が選挙で代わっても、しばらくは前の首長が選んだ委員が残るため、首長の交代で教育委員会の方針がすぐ大幅に変わることはありません。こうして制度上、教育行政の「政治的中立性、継続性・安定性」が保障されているわけです。

中教審の教育制度分科会では、新しい教育長は首長が直接任命するのだから首長を教育長の「上司」にすべきだとの意見と、今までどおり教育委員会を「上司」とすべきだとの意見が、最後まで対立しました。これがそれぞれ「制度改革案」「別案」になったわけです。あえて別案を載せたことについて小川正人分科会長(放送大学教授)は、法案作成に生かしてもらうためのメッセージだと説明していました。

これまでも首長は、教育委員の任命や教育予算の編成といった間接的な方法で教育行政に携わってきました。中教審答申では首長は教育長に特別な場合を除いて指示を行わないとしていますが、「上司」となった首長が「部下」である教育長に実質的な権限を強めはしないかというのが別案を支持していた中教審委員の心配です。

現在でも首長は教育行政に対して「相当なことができる」(分科会臨時委員の門川大作京都市長=元京都市教育長)といいます。権限が強まることで独断専行する首長が出かねない事態にどれだけ歯止めを掛け、教育行政の政治的中立性や継続性・安定性を確保できるかが法案作成の焦点になります。有権者にも、教育を大事にする首長を選ぶ目がいっそう求められるでしょう。

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