記事

第186回国会における代表質問 石破 茂幹事長

2/3
【エネルギー政策】
 成長戦略を推進していく上で、また、経済の好循環と所得の拡大、財政健全化を実現するためにも、エネルギーの安定供給体制の確保は不可欠です。

現在、日本国内の全ての原発が停止し、火力発電所などが代替していますが、これらにかかる化石燃料費として年間約3.6兆円、一日に換算すると約100億円の国富が海外に流出しています。

昨年の貿易統計が過去最大の11.4兆円となったのも、円安と共にこの原油などの輸入額が急増したことが大きな要因となっています。

今後、円安が進めばこの額はさらに膨らみ、生産コスト増となって輸出に対する円安効果を減殺するばかりか、輸入物価の上昇等により、国内産業と消費の大きな圧迫要因になる恐れがあります。

 これを放置すれば、総理が成長の大きなエンジンの一つと位置づける賃上げも困難となりかねません。賃上げどころか、さらなるコスト削減、リストラを迫られかねないのです。

 現在の日本のエネルギー自給率は6%です。1973年のオイルショック当時のエネルギー自給率は8.2%。あの当時よりもエネルギー自給率が低いという事実を我々はもっと深刻に考えなくてはなりません。

今、停電という事態が生じないのは、一にかかって現場の努力によるものであり、中東で何かが起こった時、老朽化した火力発電所の運転に支障が生じた時に、初めて事態の深刻さに気づくのでは遅いのです。

わが党も再生可能エネルギーの比率を高め、原発の依存度を可能な限り引き下げることを公約としております。しかし、現状においてなお不安定かつ高コストの再生可能エネルギーの比率を上げていくためには、それを可能とする経済力が必要です。

それを生み出すためにこそ、最高度の安全性が確認された原発を稼働させ、その経済力をもって再生可能エネルギーのコストを下げ、安定性を向上させるべきなのだと考えますが、そこへ至る具体的な道筋を明確に示すことが必要です。

原発が止まっていることは安全であることとイコールではなく、その事実を踏まえれば「原発ゼロ」というのはスローガンではあっても、政策ではありません。さればこそ、使用済み核燃料最終処分のあり方についても、方針を明らかにしなくてはなりません。

我が国の国際競争力を低下させることなく、国民生活を支える、責任あるエネルギー政策を構築すること、併せて、今後の原子力エネルギーのあり方について国際的ルールを制定するために、我が国が先導的な役割を果たすこともまた、我が国が国際社会に果たすべき責務であると考えますが、今後のエネルギー政策について、総理の所見を出来る限り具体的にお示しください。

【TPP・農政】
TPPに関しては、日米両国が交渉の早期妥結を目指す方針で一致し、鋭意協議を行っていると承知しています。

両国の意見にはまだ隔たりがあると認識しておりますが、われわれが国民にお約束し、国会においても決議された「重要五品目は必ず守る、攻めるべきは攻める」との確固たる方針のもと、最終的な着地点を見出していくことが肝要です。

昨年政府は、コメの生産調整の廃止を視野に入れるとともに、農地集積バンクに代表される生産現場の構造改革を決定致しました。

守るべきは消費者に負担を負わせて農産物の高価格を維持することではありません。重要品目の関税撤廃は断固阻止しつつも、コストを削減し、付加価値を高め、輸出を拡大し、農業・農村の所得を向上させることによって消費者と生産者との間に「ウィン・ウィン」の関係を築き、農業・農村の持続可能性を維持することこそが達成すべき至上命題なのです。

食料自給率自体だけが政策目標なのではありません。飢餓に苦しむ国でも、自給率の高い国はいくらでもあるのであり、それは一つの結果なのであり、大切なのは農地面積、農業所得、後継者の確保、農業インフラ、農産品の品質などを要素とする自給力なのです。

「日本の農業」などという抽象的なものが存在するわけではありません。何万という地域にそれぞれの農業形態があり、誰が農業を担い、誰がどのような形で地域を担うのか、所有と経営の分離や産業政策と社会政策の明確な位置づけなどをキーワードとして、今が農政の大転換を図る最後の機会であると考えます。

農林水産業・農山漁村の再生に向けた総理の考えをお述べ下さい。

【人口減少社会への対応】
これと関連し、総理は施政方針演説の中で、「今年は地方の活性化が最重要のテーマである」と述べられました。しかし、山口を選挙区とされる総理も実感しておられることと思いますが、現在進行している事態は極めて深刻です。

増田寛也元総務大臣は「2040年地方消滅」との刺激的なタイトルを冠した最近の論文の中で、精密な分析のもとに、「人口減少の大波はまず地方の小規模自治体を襲い、その後地方全体に急速に広がり、最後は凄まじい勢いで都市部をも飲みこんでいく。このままいけば30年後には、人口の再生産力が急激に減少し、いずれ消滅が避けられない地域が続出する恐れがある」と論じておられます。

少子化による人口減少は高齢者の増加によって見かけ上これまで顕在化してきませんでしたが、今後、高齢者すら減少する時期が多くの地域で到来します。

地方の人口は、東京をはじめとする大都市に移動してきました。しかし、東京の出生率1.09が全国最低であるように、大都市の人口の再生産力は極めて低いのが現実です。大都市も地方も急速に活力を失い、国家そのものが衰退して行く悪夢の到来をなんとしても避けるために、国家として最大の力を注がなくてはなりません。

従来の発想を大きく転換し、企業拠点の地方展開を慫慂することなどによって、地方中核都市に資源を重点的に配分して最後の砦とし、そこから再生を図るなどの施策も必要となるものと考えます。総理の認識をお聞かせください。

【財政健全化・社会保障制度改革】
財政健全化について、経済の好循環を創り上げることにより、国・地方の基礎的財政収支を「2010年度との比較において、2015年度までに赤字の対GDP比を半減させ、2020年度までに黒字化する」との目標が掲げられています。

しかしながら1月20日に政府が発表した中長期の経済財政試算では、2015年度の基礎的財政赤字半減目標は達成するが、2020年度の黒字化には11.9兆円(消費税率換算で4%程度)の収支改善努力が必要となることが明らかとなりました。

これを受けて、歳出・歳入一体改革の具体化を求める声も出ておりますが、2020年度の黒字化に向けてどのように取り組んでいくのか、お考えをお示しください。

 我が国が世界に誇る年金・医療・介護の社会保障制度を持続可能なものとし、社会保障が本来持つ保険としての役割を正当に機能させることにより真に必要な方々に手厚い制度として、これを次の世代に引き継いでいかなくてはなりません。リスクを回避できなかった人に必要とされる手当てを行うのが保険の本質なのであって、決して贈与的な機能を持たせてはなりません。

総理は、増大する社会保障費への対応と子育て支援の拡充等について言及されています。制度の適正化、消費税という安定財源を伴う拡充等について、改めて社会保障制度改革への所見を承ります。

4.外交・安全保障

【普天間基地移設問題】
 沖縄県の仲井眞知事が、辺野古の公有水面埋め立てについて、法律に則って承認をされました。民主党政権で迷走した普天間基地の移設は、仲井眞知事、沖縄の多くの方々、与党の沖縄県選出国会議員や与党の県並びに市町村議会議員等の多くの方々のご理解とご協力により、再び一歩前に進むこととなりました。普天間基地の危険性を一日も早く除去する、その思いを我々は形にしなければなりません。

 先の名護市長選挙では、「なぜ辺野古崎沖なのか」という点について、十分にご説明しきれなかったことを反省しております。移設容認の候補が敗北し、現市長は、今後「移設を阻止する行動を取る」と表明しておられます。しかしそれは、その思いとは異なり、「普天間の固定化」をもたらすことにしかならないことを私は強く危惧いたします。

普天間基地の危険性とは、墜落の危険性であり、また騒音被害です。これを解消することがそもそもの命題なのです。

墜落の危険性と騒音被害を回避するには、滑走路を市街地から2000メートル以上離隔して造成することが必要です。「音は距離の二乗に反比例する」という物理の原則によって、距離を2倍にすれば騒音は4分の1に、10倍にすれば100分の1になります。

普天間基地の市街地との距離200メートルから、名護市街地と辺野古代替施設との距離2000メートルへと10倍にすることで、騒音は100分の1にまで減じられます。これは成田の教訓を踏まえた関西空港、中部国際空港、北九州空港などの例を見ても分かる通りです。日米合意の「V字型滑走路案」は、騒音の極限化と集落の上を飛行しないことによる事故の極限化を実現するために、可能な限り沖合に展開することとしたのです。

「『キャンプ・ハンセン』+『キャンプ・シュワブ』+『辺野古弾薬庫』」という現在の形に、滑走路を一体運用する体制が加わることによって、海兵隊の持つ機能が確保できるようになってこそ、嘉手納以南の海兵隊6基地、約1700ヘクタールの返還がはじめて可能となるのです。

この地域において一定の抑止力を確保することは、我が国とアジア太平洋地域の平和と安全に対し、日本国として果たさなくてはならない責務です。

本土への訓練の分散移転など、従来には見られなかった負担の早期軽減策も打ち出されており、五年での普天間基地の閉鎖状態の実現と併せてその着実な実施を図らねばなりませんが、それでもなお地政学的にも、司令部機能、訓練機能、補給機能、運用機能の一体化の観点からも、一定の抑止力をこの地域に確保することは決定的に重要なのです。

平成25年まで日本で唯一人口が増え続け、成長するアジアと距離的に近く、今後多くの土地の有効利用が見込まれる沖縄は、飛躍的な発展が期待されます。過去沖縄が負った苦難の歴史を考えるとき、沖縄を日本一、いや世界一豊かで幸せな島にすることは我々の責任であります。その中で、名護市を中心とするヤンバル(山原)地域の雇用と所得を増大させ、医療・福祉を充実させていくことは沖縄発展の大きな鍵となるものです。

以上を踏まえ、沖縄県知事ならびに自民党沖縄県連から強い要望のありました「普天間基地の五年以内の運用停止の実現とオスプレイ12機程度の県外拠点配備」「キャンプ・キンザーの七年以内の全面返還」「環境に関して日米地位協定を補足する新たな政府間協定の作成」と沖縄の更なる振興策について、総理の実現に向けた所見を伺います。

【日米同盟】
 外交・安全保障政策の司令塔となる日本版NSC(国家安全保障会議)が創設され、NSS(国家安全保障戦略)策定と併せて、我が国の領土・領空、国民の生命と財産を守るための環境整備が端緒につきました。

 安全保障を図る上で一番重要なのは、地域におけるバランス・オブ・パワーを維持し、抑止力を機能させることです。日米同盟の深化は、戦争をするためではなく、戦争を引き起こさないためになされるものです。「日本で出来ることは日本が行う」、これを基本として国内法を整備し、陸・海・空の人員と装備の実効性を高め、ガイドラインなど必要な協定を深化させることが重要です。

昨年の防衛大綱の決定や2プラス2の成果も踏まえ、今後どのように日米同盟を深化させていくのか、お考えをお聞かせ下さい。

昨年の臨時国会において成立した特定秘密保護法により、米国をはじめとする同盟国、友好国との情報共有が飛躍的に進み、我が国の安全保障に寄与することとなりますが、一方で審議を通じ、行政の恣意や肥大化に対する懸念も多く聞かれました。

これを解消するため、国会におけるチェック機能の創設に向けて検討を進め、党や議会において鋭意努力を続けておりますが、総理として国会の関与についての見解をお述べ下さい。

あわせて読みたい

「通常国会」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    BLOGOSサービス終了のお知らせ

    BLOGOS編集部

    03月31日 16:00

  2. 2

    なぜ日本からは韓国の姿が理解しにくいのか 識者が語る日韓関係の行方

    島村優

    03月31日 15:41

  3. 3

    「いまの正義」だけが語られるネット社会とウェブ言論の未来

    御田寺圭

    03月31日 10:09

  4. 4

    カーオーディオの文化史 〜ドライブミュージックを支えた、技術の結晶たち〜

    速水健朗

    03月30日 16:30

  5. 5

    BLOGOS執筆を通じて垣間見たリーマンショック後10年の企業経営

    大関暁夫

    03月31日 08:27

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。