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第186回国会における代表質問 石破 茂幹事長

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平成26年1月28日
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1.はじめに

自由民主党を代表して、安倍総理の施政方針演説に対して質問いたします。

第二次安倍政権が発足してから一年あまり、総理の「日本を取り戻す」という強い決意のもと、様々な分野において掲げた政策は、確実にその成果を挙げつつあります。

多数の議席を有する安定政権は、ともすれば「強引な政権運営」というような批判にも晒されます。総理の「この道しかない」との強い決意のもと、より多くの方々のご理解を得て政策を確実に実現させていくために、今まで以上に謙虚で丁寧な政権運営・国会運営を心がけねばならないことを我々自民党は強く肝に銘じております。

野党の皆様におかれましても、国民的な広い視点に立ち、建設的なご議論を賜りますよう切にお願い申し上げます。

昨年の参議院選挙における国民の審判により、六年ぶりに衆参の「ねじれ現象」が解消されました。

衆議院解散は勿論あくまで総理の専権事項でありますが、「次期参議院選挙が行われる二年半後までは国政選挙が無い」と想定される中にあって、政策の優先順位を明確にし、期間内に着実にこれを実行することが強く求められます。選挙を意識するあまり、人気取りのポピュリズムに堕することがあっては断じてなりませんし、短期間に「あれもやろう、これもやろう」などという拙速も厳に戒めなくてはなりません。国民から安定的な議席を頂き、時間的な猶予を与えられたというのはそういうことなのであります。

経済成長と財政再建を両立させるための好循環の実現、そして被災地の復興。総理の示されたこの優先順位はまさしく国民が求めているものであり、一つ一つ着実に政策目標を達成することで、今一度政治と国民との信頼関係を取り戻して行かなくてはなりません。

安倍政権はそれができる政権なのであり、そのために我々自民党は、引き続き全力を尽くして参ります。

2.震災復興

 3月11日で、あの東日本大震災・大津波・原発事故から3年を数えます。未だ27万人を超える被災地の方々が今年の正月を避難先で迎えられたという事実を直視しなくてはなりません。

総理は就任以来、毎月1回被災地を訪問するなど、地域の人々に寄り添う姿勢で、復興に向けて積極的に取り組んでこられました。

わが党としても、大島理森前副総裁を本部長とする復興加速化本部が政府に対して三度にわたる提言を行うなど、政府・与党一体となった取り組みにより、農地や漁港の整備や災害公営住宅への入居など、復興が進みつつあります。

新たな局面を迎えた被災地からは、市町村の担当者や現場の技術者・技能者等の人材不足・資材不足等へ対応するための要望が数多く寄せられています。このような切実な声に確実に応え、1日も早く平穏な生活を取り戻して頂けるよう、引き続き取り組んでいく必要があります。

東京オリンピック・パラリンピックを、長く続いた経済の低迷からの脱却と、東日本大震災・大津波・原発事故からの復興の輝かしい象徴としなくてはなりません。世界中の方々が日本を訪れる2020年には、東北が日本をリードし、日本が世界をリードしている、そのような夢を現実のものとしなくてはなりません。

残された六年余りで我々は何をすべきか、いかなるスピード感を持って臨むか、改めて総理の復興加速化に向けた具体的な方針をお聞かせください。

 原子力災害を受けた福島の復興・再生をさらに加速させることは特に重要です。長期避難者の方々への手厚い支援を行いつつ、被災者の方々の今後の人生設計に明確な指針を示して選択肢を提示するとともに、事態の収束に向けて国と事業者が一丸となって汚染水・廃炉・風評被害対策や除染の加速化に取り組むことが政権の責務です。お考えを承ります。

3.経済・成長戦略・財政・社会保障改革

 安倍政権として、今年の最優先課題は、「経済の好循環の実現」であります。「大胆な金融緩和」、「機動的な財政政策」の成果には目覚ましいものがありました。論より証拠、野田前総理が解散を表明した一昨年11月14日の日経平均株価は8,664円。現在は15,000円前後までに上昇し、対ドル為替レートも、79.51円であったものが100円を超える水準にまで達しております。

 達成すべき目標は、「デフレ不況から完全に脱却し、雇用や所得を拡大させること」であります。なぜ日本だけが長期にわたるデフレから脱却できなかったのか。生産年齢人口が減少していることも大きな要因の一つではありますが、それは多くの先進諸国においても見られる現象です。

日本だけで起こっている現象は、名目賃金の低下です。1995年から2010年までの間、アメリカの名目賃金は1.7倍に、ユーロ圏でも1.4倍になっておりますが、日本の名目賃金はこの間に一割も下がっています。

 賃金が下がれば購買力が落ちる、購買力が落ちれば消費が減る、消費が減れば結果的に過剰生産となり、在庫が増え、価格が下がる、これをカバーするためにまた賃金が、下がり雇用が減る、という悪循環が起こっていたのではないでしょうか。

 好循環を実現するためにはこの逆を実行しなくてはなりません。需要不足を解消しない限りデフレは脱却できないのであり、そのためには賃金を上げなくてはならないのだと考えます。「景気が良くなったから賃金を上げる」のではなく「賃金を上げなくては景気が良くならない」のです。

 昨年、経済に明るさが戻ってきたことには、大胆な金融緩和によって長期金利が低下し、国債の消化が円滑になり、これが機動的な財政出動とマッチングしたことが大きく寄与しています。統計を子細に見れば、円安で輸出が増加したのでも、製造業の設備投資が増加したのでもないことがわかります。

第一、第二の矢によって生み出された時間的な余裕を何としても生かし、第三の矢である経済成長政策を実効あらしめることが決定的に重要となります。それは消費税率が引き上げられても、なお経済が失速しないことを実現するものでなくてはなりません。

政府は手品師でも魔法使いでもありません。しかし政府として出来ることはすべてやり抜くという決然たる意志のもとで、これまであらゆる政策を総動員してきましたし、これからもそうあらねばなりません。

今後は民間がこれに応えていただくことが必要であり、内部留保はそのためにこそ活用していただきたいのです。

内部留保は企業の業態により大きな違いがあり、特に中堅、中小企業においては、経営が厳しくなった時の備えと内部留保を厚くしているとの事情もあることも併せ考え、経済の好循環実現に向けた総理の見解を承ります。

 来年十月から消費税を10%に引き上げることを定めた税制抜本改革法は、附則において、経済状況を好転させることをその条件としております。

平成27年度の予算編成のスケジュールを勘案すると、本年7月から9月期のGDPの伸び率が明らかになるのが11月であることから、引き上げの判断時期は12月になると思われますが、この時期、その際重視すべき点、また、逆進性の緩和のあり方につき、総理の考えをお示しください。

法人実効税率を引き下げる環境づくりに正面から取り組む、との姿勢を政権が示すことは、「成長戦略への強いコミットメントを市場や企業に伝える」という大きな意味があります。一方において、法人税を引き下げる際には課税ベースの拡大や減価償却の厳格化が必要となりますが、課税ベースの拡大は限界税率を引き上げ、投資を抑制することとなり、デフレ脱却の阻害要因となることも指摘されています。

法人税率の引き下げは、新規の投資を行っていない企業にもメリットが及ぶことも考えあわせると、デフレで実質金利が高止まり、投資が抑制されている間は投資減税を先行させ、その間に法人税改革に向けた姿勢を鮮明にした上で徹底した議論を行い、確実に改革に繋げていくことが望ましいと考えますが、所見をお述べ下さい。

【女性が輝く日本】
総理は、成長戦略の中核として「全ての女性が活躍できる社会を創る」ことを挙げておられます。経済の成長には「労働力の増加」「生産設備の増加」「技術の向上」が必要であり、そのためには高い能力を持つ我が国の女性の力が不可欠です。

これ以上の少子化を食い止めるためにも、女性にとって仕事と子育てを両立できる環境を創っていくことが必要です。2017年末までに保育所などの定員を約40万人分増やして待機児童を解消すること、三年間の育児休業取得を実現することなどはその意味から大きな意義を持つものです。

同時に、女性の社会進出を阻んでいるのは「日本社会特有の長時間労働」も大きな要因であることを指摘しなくてはなりません。

女性は出産・育児と長時間労働との間で厳しい選択を迫られているのが現状です。三年間休職することで、労働市場での女性の地位が下がりかねないことに不安を感じる女性がいることもまた事実なのです。

男性が家事に携わる時間が長いほど第二子以降が生まれる、との諸外国の統計もあります。これまで生産に費やしてきた時間を消費に回すことは、生産と消費の不均衡の是正にも寄与しますし、消費の拡大にもつながります。独身の男女が出会う時間を増やすことで、未婚率の減少も期待されます。

男女ともに、長時間労働を改め、新たなライフスタイルを構築するべく、従来我々が持っていた価値観からの脱却するための強力な施策が必要なのではないでしょうか。お考えを承ります。

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