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米国の国際収支から国際関係を見る(その1)

米国商務省経済分析局(EBA)には米国と世界の地域・主要国との二国間の国際収支データがあります。これによって、米国側から見て、その地域や国がどのような経済的な位置づけになるかをある程度理解することができます。ここでは、米国(U.S.)と、欧州連合(European Union)中華人民共和国(China)日本(Japan)とのそれぞれの二国間経済関係を較べてみることにします。二国間国際収支の比較をする前に、まずこれらの4つの国と地域の2012年の人口とGDP(通貨レート換算ベース:購買力平価ベースに非ず)を頭に入れておきます。

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日本を1とすると、人口は、EU3.9倍米国2.5倍中国10.6倍GDPは、EU2.7倍米国2.6倍中国1.4倍になります。円安のために日本のGDPは随分小さくなっています。これを頭に入れたうえで、米国との2国(地域)間の国際収支(Balance of payment)の内容を比較していきます。規模を比較するために数値軸のスケールを同じにしてあります。まず、国際収支全体を較べます。このうち、財務収支(Balance on financial accounts)は数値捕捉が完全ではないため統計上の不一致(Statistical discrepancy)が大きくなっています。概ねこれらを合計したものが財務収支であると推定できます。

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米国の2012年の経常収支尻(Balance on current account)は、対EU80億ドル対中国3,290億ドル対日本960億ドル赤字で、対中国赤字の大きさが際立っています。ただこれは収支尻(net)なので受払の規模(gross)を表しているわけではありません。そこで、受払の規模を比較していきます。まず、貿易収支(Balance on goods)を見ます。

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米国の財貨輸入(Imports of goods)規模は、EUと中国は増加を続けてきていて、2012年では概ね4,000億ドル前後の同程度の規模に並んでいます。他方、日本からの輸入は1,500億ドル以下のところで横ばい推移していて拡大してきていません。他方、米国の財貨輸出(Exports of goods)規模は、中国と日本は輸入に較べて著しく小さく貿易収支が大幅な不均衡(赤字)になっています。近年、EUと日本に対する貿易赤字は横ばい傾向にありますが、中国に対する貿易赤字は再び拡大する傾向にあります。

次に、サービス収支(Balance on services)を見ます。

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米国のサービス収支(Balance on services)は、EU(470億ドル)・中国(170億ドル)・日本(170億ドル)のいずれに対しても黒字です。しかし、サービス取引の規模はEUと比べて中国と日本の規模は著しく小さいことにあらためて気付かされます。一言でいえば、モノ(goods)に較べて人や文化の往来が著しく少ないということです。

同様に、所得収支(Balance on income)も見ます。

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米国の所得収支(Balance on income)は、EUに対して黒字で中国と日本に対して赤字になっています。同時に、ここでも、所得取引の規模はEUと比べて中国と日本の規模は著しく少ないことに気付かされます。これも、モノ(goods)に較べて人や投資のやり取りが著しく少ないということです。

米国から見ると、EUは大半の人にとって祖先の地であり、モノだけでなく人や文化や投資のやり取りも活発な地域です。他方、中国と日本はモノの取引は多いものの、人や文化や投資のやり取りが著しく少ない国です。日本は、中国と比べればずっと人や文化や投資のやり取りが多い国のように考えられがちですが、EUとの関係の深さと比べると、交流が疎遠な国のひとつにすぎないように見えます。

(その2)では、人や文化や投資のやり取りをもう少し考えてみます。

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米国の国際収支から国際関係を見る(その2)

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