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「学者に口封じ」北京政府が、東洋学園大学の朱建栄教授を6か月間、厳しい取調べの末にやっと釈放

◆日本国民の有識者の多くがその身の上を心配していた東洋学園大学(東京都)の朱建栄教授が1月17日に中国治安当局から釈放され、上海の実家に滞在していることが、やっと判明した。朱建栄教授は2013年7月17日に出身地の上海市に帰った直後、国家安全当局によって「国家秘密漏えい容疑」で突如拘束され、「基本的人権無視」も甚だしい6か月間も長期拘留され、厳しい取調べを受けた。「口封じ」されて憔悴し切った表情は、人権無視の中国を象徴していた。こんな共産主義国が、安倍晋三首相の「靖国神社公式参拝」を批判するなど実におこがましい限りだ。

時事通信社jijicomが1月24日午後1時9分、「中国当局、朱建栄教授釈放=拘束半年、2月に日本へ-資料収集に関し聴取」という見出しをつけて、以下のように配信した。

「【北京時事】昨年7月に中国当局に拘束され、事情聴取を受けていた東洋学園大学(東京都)の中国人学者、朱建栄教授(56)が17日に釈放されていたことが24日分かった。現在は上海の実家に滞在しており、31日の春節(旧正月)後の2月に、約半年ぶりに日本へ帰る。同大学が明らかにした。朱氏は2013年7月17日に上海に渡った直後、国家安全当局によって拘束され、事情聴取を受けていた。同大学は『朱氏の嫌疑が晴れた』としており、研究者として中国で行った資料収集活動が中国の法律に触れるかどうかや、日中関係に関して朱氏がどういう役割を果たしたかということが主な聴取の内容だったことを明らかにした。ただ8~9月にかけ、朱氏の拘束をめぐり日本で情報漏えい疑惑が報道され、中国当局はこれらも調査対象にしたため、拘束が長引いた。朱氏は『自分自身の活動に不適切なものはなかった』と述べているという。朱氏の体調に問題はない。大学側は朱氏の帰国後に話し合いを持ち、4月から授業を再開するかどうかを決める」

 朱建栄教授は、日本国内のテレビなどマスメディアにしばしば出演して、いつも「中国寄り」のコメントをしていたので、中国治安当局に拘束され拘留されて、取調べを受ける事態に陥ったことが日本国民ばかりでなく、日本に在住の中国人有識者らは、大変驚いた。そして、中国治安当局が、具体的にどんな嫌疑で拘束したのか、いまだに明らかにしていないことから、日本に在住の中国人有識者らを不安に陥れており、みんな言動に慎重になっている。そのなかには「帰国したとき、朱建栄教授のように拘束されたりしないだろうか」と恐れを感じている人が少なくないという。

◆こういう蛮行は、「基本的人権」を保障した近代憲法、刑法を持つ欧米諸国では、およそあり得ぬことである。この意味で、「基本的人権」を国民(人民)に保障していない非近代国家を否定して、近代化を成し遂げた国では、信じられないことである。

 しかし、共産党1党独裁の北京政府は、人民の基本的人権の無視は、やり放題である。人民が、いつ治安当局に身柄を拘束されて、監禁状態におかれて、厳しい取調べを受けるかわからない。近代刑法で保障された罪刑法定主義、法的適法手続き、令状主義、公開裁判、司法の3審制度などは、ほとんど保障されていないのである。秘密警察組織により、恣意的に逮捕されて、厳しい拷問を受けながら、非人道的な取調べを受けるのが、常態化していると言われている。

 朱建栄教授の例は、その典型であり、容疑を明示されないまま、突然拘束されて、どこに連れて行かれ、拘留監禁されて、厳しい取調べを受けたのか、一切明らかにされていない。今回は、幸い6か月後に釈放されたとはいえ、まかり間違えば、闇から闇に葬られてしまう可能性があった。

◆このような基本的人権無視の蛮行は、朱建栄教授の例に止まらない。2010年に中国在住の中国人として初のノーベル賞受賞者となった著作家で元北京師範大学文学部の劉暁波講師(1955年12月28日~)は、人権活動や民主化運動に参加、2008年に民主的立憲政治を求める零八憲章を起草して拘束され、2020年6月21日までの懲役刑の判決を受け錦州監獄で服役中である。劉暁波は、「この受賞は天安門事件で犠牲になった人々の魂に贈られたものだ」と語り、涙を流したという。

 中国には、言論の自由も報道の自由も保障されていない。中国国務院直属の機関である新華社通信、中国共産党中央委員会の機関紙「人民日報」、国営テレビ局中国中央電視台(中国唯一のキー局)など世界的に知られている機関は、北京政府と緊密な関係にあり、北京政府を批判するような報道は一切行えない。厳しい検閲を受けているからである。

◆インターネットの検閲も厳重だ。北京政府は、検閲による情報操作(香港・マカオは除く)を行っており、政府にとって不利益があると認識した報道を規制している。

中国の民衆は、諸外国が北京政府に対してどのような見解を持っているかほとんど把握できない。このため、北京政府の意向通り、愛国心に火をつけられるケースが多々ある。

 中国の憲法には「公民は宗教信仰の自由を持つ」と規定されているけれど、共産党の指導に従わないものは邪教として当局に弾圧されるので、信教の自由はない。未成年者への宗教教育は禁止されており、チベット仏教、キリスト教やその「地下教会」、新興気功集団「法輪功」などは、弾圧の対象になっている。

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