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タイ政府 非常事態宣言/手段選ばず権力奪取狙う 反タクシン派の街頭占拠行動

 タイのステープ元副首相らの街頭占拠行動は、憲法に規定のない任命制の「人民議会」への権力移譲など、超法規的手段による権力奪取を目指しています。インラック首相の実兄、タクシン元首相の「支配終息」が理由です。これに対して政府が非常事態を宣言しました。

 新興財閥チナワットグループ総帥だったタクシン氏は各種産業分野に進出し、既存大企業の脅威でした。

 2001年から06年までの政権担当期に、一村一品運動、農民の借金返済猶予、低額医療制度の導入などの農民、低所得層支援策を実施。東北部の農民、首都の低所得労働者を支持基盤にしました。農村振興策による農民の自立は地主でもある都市富裕層の利権を脅かしました。

 タクシン政権は、特権階層の支配構造を崩し、政治から除外されていた農民、労働者を目覚めさせたという評価を受けています。

 一方で、汚職体質との批判を受け、王室軽視の言動がタイ政治体制への脅威と受け取られ、これらがタクシン氏を失脚させたクーデター(06年)の理由とされました。

 07年に軍部主導で制定された憲法には、「合法的」に政権を崩壊させる仕組みがあります。

 憲法裁判所、選挙管理委員会、国家汚職追放委員会は、議員の免職、政党の強制解散にかかわる権限を持っています。これらの代表が半数の上院議員を任命し、その上院議員が憲法裁判事などを選ぶ仕組み。いずれも反タクシン派の牙城です。

 与党は昨年、上院議員すべてを選挙で選ぶ憲法改定案を提出しました。実現すればタクシン派政党が上院も制し、反タクシン派の牙城は崩壊します。

 憲法裁は昨年11月、憲法改定案を違憲と決定。さらに国家汚職追放委員会は今月16日、憲法改定案に賛成した議員を「不正行為」容疑で調査すると発表し、公民権剥奪でタクシン派議員の再選を阻む構えです。街頭行動と憲法機関が共同歩調を取る形です。 (面川誠)

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