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景気見通しと日銀の追加緩和の有無

 国際通貨基金(IMF)が21日に発表した最新の世界経済見通しによると、2014年の世界の経済成長率は若干ながらも加速し約3.7%に達する見込みとしている。昨年10月の前回予想から0.1ポイントと小幅に上方修正した。

 多くの新興市場及び途上国・地域では、国内の弱さが引き続き懸念されるが、先進国・地域からの需要が力強さを増し成長を押し上げることになろう、とIMFは指摘している。

 日米欧など先進国の今年の成長率は2.2%と、前回予想より0.2ポイント高まる見込み。米国の2014年の成長率は、2013年の1.9%から加速し2.8%に達する見込みとしており、さらに英国の2014~2015 年の成長率は平均で2.25%に達する見込みとなっている。ユーロ圏については、景気後退局面から回復へとシフトし、成長は力強さを増し2014年は1%、2015年は1.4%に達する見込みとしている。

 日本については、一時的な財政刺激策が、2014年初めの消費税率引き上げの負の影響を一部相殺することで、2014年の年間成長率は1.7%としている。前回予想から0.4ポイント引き上げられた。その後2015年には1%まで減速するだろうとの予測となっている。

 そして、新興市場及び途上国・地域の成長率は全体で、2014年は5.1%、2015年は5.4%に達するとしている。

 4月の日本の消費税引き上げによる景気への影響が懸念され、日銀には追加緩和観測も一部にある。しかし、今年に関してはIMFも指摘しているように、消費増税による落ち込み分をカバーすべく消費増税に備える経済対策に5.5兆円規模の国費を投入する予定となっている。上記のIMFの見通しが正しいとすれば、欧米を主体に景気は回復基調となるなど外部環境も良好であり、消費増税による景気の落ち込みは回避されるとの見方も可能となるのではなかろうか。

 すでに政府が予防策としての経済対策を実施する。そこにさらに日銀の追加緩和は果たして必要となるのであろうか。世界的なリスクの後退もあり、まさに不透明感は払拭しつつあるなか、日本を含めて景気は回復基調にある。予防的な意味合いからの日銀の追加緩和はむしろ考えづらい。

 このあたり昨年4月の異次元緩和で状況はかなり変わってしまったことを意識する必要がある。日銀の黒田総裁は戦力の随時投入はしないとしているが、それはしないのではなくて「できない」のである。いったんしてしまうと、異次元緩和が普通の緩和となりかねない。しかも、大きな花火をいったん打ち上げてしまったため、市場はかなりの規模の緩和策でなければ納得せず、むしろ市場へには逆効果となる懸念すらある。

 追加緩和期待をするのは勝手ではあるが、日銀は自ら手足を縛ってしまっている。次に追加緩和をするとなれば、それなりの砲弾も必要であり、それも連続して実施できるような状況にもない。もちろん、戦力の随時投入方式に戻ることもあるかもしれないが、いずにしても市場の期待を上回るような手段を打つことはかなり困難となる。景気が回復基調にある間は、日銀はとにかく推移を見守っていかざるを得ないと思う。

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