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原発事故の被曝と甲状腺がん――因果関係は本当にないのか?

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甲状腺がんと被曝の問題を議論。正面・席上左から鈴木教授、津田教授。(撮影/藍原寛子)

 福島県の58人の子どもが甲状腺がん、あるいはがんの疑いと診断された福島県民健康管理調査。子どもの甲状腺がんは原発事故が原因なのか? 予防や治療体制はどうすればいいのか……。「放射線の健康影響に関する専門家意見交換会」(主催・環境省と福島県、事務局・原子力安全研究協会)の第3回「甲状腺を考える」が昨年12月21日、白河市で開かれた。しかし専門家の見解が分かれ、健康対策や治療体制の充実についても議論は深まらず、県民の抱く疑問が解消されることはなかった。

 県民健康管理調査で甲状腺がんの検査や診断を行なう福島県立医科大学の鈴木眞一教授(外科・甲状腺内分泌学)は、「今発見されている子どもの甲状腺がんは放射線被曝とは関係がなく、(原発事故前から)既にできていたものと思われる。超音波機器はチェルノブイリ原発事故当時よりもずっと高性能で、小さな結節(しこり)なども見つかるようになっており、子どもでも早期に発見された(スクリーニング効果の)可能性が高い」と原発事故との因果関係を否定。これに対して、岡山大学の津田敏秀教授(疫学)は「100ミリシーベルト以下の被曝でも放射線によるがんは増加するが、“がんが出ない”、安全であるというような“雰囲気”が作り出され、建設的な議論を阻んでいる。因果関係はまだわからないが、発生率と有病割合の関係から、スクリーニング効果を考慮しても多発と言える。今は治療体制を早急に議論・整備することが必要で、その対策を否定する理由はない」と話した。

 主催者は当初、メディアに対し「冒頭撮影のみ」と動画取材を規制。前日夜にオープン取材となったが、開会前に環境省が「誹謗中傷対策を取る」との文書にサインをしなければメディアは会場に入れないとする一幕があり、知る権利や報道の自由に安易に制約を加える会議の問題点も露呈した。

(藍原寛子・ジャーナリスト、1月10日号)

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