- 2014年01月22日 09:00
【読書感想】里山資本主義
1/2里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く (角川oneテーマ21)
- 作者: 藻谷浩介,NHK広島取材班
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2013/07/10
- メディア: 新書
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- 作者: 藻谷浩介,NHK広島取材班
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
- 発売日: 2013/09/25
- メディア: Kindle版
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内容紹介
「社会が高齢化するから日本は衰える」は誤っている! 原価0円からの経済再生、コミュニティ復活を果たし、安全保障と地域経済の自立をもたらす究極のバックアップシステムを、日本経済の新しい原理として示す!!
『デフレの正体』の著者とNHK広島取材班によってつくられた番組(中国地方限定放送だったそうです)をもとに「これまでの『マネー資本主義』一辺倒から、脱却しようとしている人と地域」を紹介した新書です。
僕はずっと前に、小林よしのりさんの本で、「マクドナルドは、世界中に張り巡らされたネットワークを駆使して、リアルタイムに『世界でいちばん安い牛肉』を仕入れている」という話を読んで驚いた記憶があります。
いまとなっては、そういう「グローバル化」は、コストダウンにとっては至極当然のこととなっているのですけど。
ちなみに、そのことについて、小林さんは「世界でいちばん安い牛肉というのは、どんな肉なのか、想像してみてほしい」と警鐘を鳴らしています。
まあ、マクドナルドのハンバーガーを食べて即死した、というような話も聞かないのは事実ですけど。
この新書を読んでいると、資本主義が突き詰めていっている「グローバル経済」は、そろそろ限界に近づいてきているのではないか、という気がしてくるんですよね。
「世界でいちばん安い野菜を手に入れるには、どうすればいいのか?」
「マネー資本主義」では、「その野菜をつくっている、物価の安い国から、大量に輸入する」というのが「正解」なのでしょう。
その先入観に、著者たちは疑念を呈しているのです。
「都会では無理でも、田舎に住んでいる人なら、自分でつくる、あるいは、知り合いの農家から分けてもらえばいいじゃないか」
なんだそれは、と怒る人もいるでしょう。そんなことは、自分たち都会に住む人間には無理だ、と。
それはもちろん、その通り。
著者たちがここで述べているのは「それが可能な環境にいる人たちだけでも、身近なところで、エネルギーをつくったり、農産物を『地産地消』していくようにすれば、人の生き方も多様になり、グローバル経済が行き詰まったときのバックアップにもなるのではないか」ということなんですよね。
この新書のなかでは、岡山県真庭市の『銘建工業』の中島浩一郎さんが紹介されています。
中島さんは、住宅などの建築材を作るメーカー、銘建工業の代表取締役社長だ。従業員は200名ほど。年間25万立方メートルの木材を加工。真庭市内の製材所で最大、西日本でも最大規模を誇る製材業者の一つである。
そんな中島さんが、1997年末、建築材だけではじり貧だと感じ、日本で先駆けて導入、完成した秘密兵器が、広大な敷地内の真ん中に鎮座する銀色の巨大な施設だ。高さは10メートルほど。どっしりとした円錐形のシルエット。てっぺんからは絶えず、水蒸気が空へと上がっている。
これが今や銘建工業の経営に書かす事ができない、発電施設である。
製材所で発電? エネルギー源は何? この問いにピンとくる方は、かなり自然エネルギーへの関心が高い方といえる。答えは、製材の過程ででる、木くずである。専門用語では「木質バイオマス発電」と呼ばれている。
山の木は、切り倒されると、丸太の状態で工場まで運ばれてくる。工場で樹皮を剥ぎ、四辺をカットした上で、かんなをかけて板材にする。その際に出るのが、樹皮や木片、かんなくずといった木くずである。その量、年間4万トン。これまでゴミとして扱われていたその木くずが、ベルトコンベアで工事中からかき集められ、炉に流し込まれる。炉の重い鉄の扉を開けてもらう。灼熱の炎が見え、火の粉が勢いよく噴き出す。むわっと熱気で顔がひりつく。
発電所は24時間フルタイムで働く。その仕事量、つまり出力は1時間に2000キロワット。一般家庭でいうと、2000世帯分。
それでも1000万キロワットというとんでもない出力を誇る原子力発電所と比べると、微々たる発電量である。
こうした話になると、とりわけ震災後は「それで原子力発電所がいらなくなるのか?」といった議論ばかりされるが、問題はそこではないのだ、と中島さんは語気を強める。
「原発一基が1時間でする仕事を、この工場では1ヶ月かかってやっています。しかし、大事なのは、発電量が大きいか小さいかではなくて、目の前にあるものを燃料として発電ができている、ということなんです」
会社や地域にとってどれだけ経済効果が出るかが大事、なのだ。
中島さんが「発電量の大小は大事なことではない」と仰っておられますが、実際には「原発にはとうてい適わないけれども、会社や地域に大きくプラスになるくらいの発電はできている」のです。
この中島さんの工場では、バイオマス発電により使用する電気のほぼ100%をまかなっており、それで1億円の電気代が浮いています。さらに、余った電気を電力会社に5000万円で売っているそうです。
そして、この木くずを産業廃棄物として処理するためには、年間2億4000万円が必要だったとのことです。
つまり、このバイオマス発電だけで、年間4億円近くのプラスになっています。
1997年末に完成したこの発電施設には10億円かかったそうですが、維持費などを含めても、大幅な利益をあげていることになります。



