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「外交官」と「外務公務員」との乖離

外国語ネタ関係をもう一つ。

 尖閣諸島や歴史認識等に関する、BBCでの日本と中国大使のインタビューを見ました(ココ )。

 駐英大使は国際法局時代の元上司なのであまり批判したくありませんが、(話の内容はともかくとして)パフォーマンスは悪いですね。どう見ても、準備の積み上げにかなりの差があります。

 まず、英語そのもののパフォーマンスで差があります。日本大使は外務省で英語研修組であるにも関わらず、英語のプレゼンテーション自体が上手ではないようです。これでは丁々発止になりません。同じ時間なのに、中国大使の方が長く話しているように見えます。使っている語彙の豊富さも中国大使の方が勝っています。

 これは日本の官僚機構のあり方に問題がありまして、人事査定上、東京でのパフォーマンスが重要視されるのです。東京で法文官僚として優秀であることが最優先され、外交の現場でどれだけプレゼンが良いか、どれだけ人づきあいが上手いかが最重要ファクターにならないのです。外務省的に言うと、「外務公務員」と「外交官」との評価が乖離することがあり得るということなのです。

 昔、日本の某駐米大使は事務次官経験者でとても法文官僚としては有能な方でしたが、大使赴任時、TVのインタビュー時に発音が悪くて英語の字幕が付いたということがあったそうです。また、最近ではこういうちょっと残念なケース もありました。さすがにこれならば、私の英語の方が上手いです。

 中国の外交官は、なかなか外国語が上手です。国会対策で忙殺されることがないとか、そういうことでいわゆる外交業務に専念できるということがあるのだと思います。あと、中国の外交部のシステムというのはとても面白くて、例えば日本が専門だとずっと日本専門でやるのです。なので、一つの分野、一つの言語にとても精通するようになるそうです。日本のように、英語+αという考え方で人材育成をしていません。例えば、少し前、日本のTVでもお馴染みだったこの報道官 、今はフランス大使ですけど、なかなかフランス語お上手です(クセはありますけど十分に通じますし、文章構成が上手いです。)。逆に英語はド下手である可能性が高いです。ちなみにこの方、孔子の子孫です。

 あと、日本大使は国際法畑だったせいか、使っている用語が堅いですね。無意識の内に、法的な正確性とかが気になったのだと思います。国会答弁で重箱の隅をつつくような議論に付き合わされているので、どうしても話す時に「揚げ足を取られてはいけない」という考慮が入ってしまうのです。これも日本人の良くないところで、少々細部は脇に置いてでも、分かりやすいプレゼンをすることが求められます。中国大使の方が分かりやすい言葉を使っています。

 とどのところ、日本大使はメディア・トレーニングを受けた方が良いと思いますね。見た目(髪型、メガネ等も含め)、話し方、相槌の打ち方、素振り、使う言葉、明らかに事前準備不足です。中国大使は狙ったかのように、チャーチルの「Those who fail to learn from history are doomed to repeat it(歴史に学ぶことが出来ない者は、また繰り返す)」をぶつけてきました。その他にも、「英国首脳も加わって合意したカイロ宣言」を引用しながら、攻め込んでくるところもかなり準備したことを窺わせます。英国人に訴えるためにはどうしたらいいかを相当に研究しています。

 理屈の上では、日本の方が理があるとは思いますが、ここでの勝負は如何に鮮明にアピールするかですからね。その観点からは、日本大使は全体のパフォーマンスでは劣勢だったでしょう。主要国の大使クラスは、赴任前に最低限のメディア・トレーニングを受けておくべきです。

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