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【読書感想】あんな「お客(クソヤロー)」も神様なんすか?

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あんな「お客(クソヤロー)」も神様なんすか? 「クレーマーに潰される! 」と思った時に読む本 (光文社新書)

内容紹介

お客様はなんて勝手な生き物なんだろう(本文より)

もうイヤだ、会社に行きたくない……。

電話で怒鳴られ、会ったら嫌味を言われ、会社に戻れば追い打ちをかけるかのように怒りのメールが届く。

サラリーマンを憂鬱にさせるお客からのクレーム――。

だが、そこには自分では気づくことのできない、ビジネスの真の情報が詰まっていた。

クビ寸前のダメ営業マンだった著者が見つけた、クレームを武器にするテクニックを実例形式で案内する。


出版社からのコメント

「オレがダメと言ったらダメなんだ! 」

「カップ麺とソースを買ってこい! 」

メールで豹変する客(クソヤロー)、

すぐ怒鳴りつける客(クソヤロー)、

関係ない雑用を頼む客(クソヤロー)、

おカネに細かすぎる客(クソヤロー)

――こんな理不尽なクレーマーたちが、ダメダメ営業マンをトップ営業マンに変えてくれました!

 これ、タイトルを見たときには「モンスタークレーマーの実例を挙げて、糾弾する本」だと思ったんですよ。

 ところが、実際は、ただ「クレーマーを叩いて憂さ晴らしをする」のではなくて、さまざまな「理不尽なクレーム」に対し、住宅販売会社の営業マンだった著者が、どう対応していったかがけっこう詳しく書かれています。

 そして、結果的には「クレームを活かすには、どうすればいいのか」という内容になっているのです。

 僕自身も、仕事でさまざまなクレームに対応することがあるのですが、「それはこちらの配慮が足りなかった、申し訳ない」と感じるものもあれば、「そんな言いがかりをつけられても……」と言いたくなるものまで、本当にクレームって多種多様なんですよね。

 この本で紹介されている「営業マンに日常の買い物を頼んだり、子どもの家庭教師までさせようとする客」や(子どもの家庭教師というのは、プロに任せたほうが良いんじゃないかとは思いますが……)「直接面と向かっての打ち合わせでは何も言わないのに、夜になるとメールを送ってきて「バカにしないでください!」と強い調子で抗議してくる客」「やたらと細かい数字を持ち出してきて、値切ろうとする客」なんていうのは、読みながら、「こういう人たちにも『お客』として対応しなくちゃいけないなんて、大変だよなあ……」と感じてしまうのですが、まあ、病院に来る人にも、クレーマーはいますから……

 クレーム、という言葉を耳にするだけで身構えてしまう人も少なくないと思うのですが、著者は、こう述べています。

 私は11年間の営業経験を活かし、現在はコンサルタントとして、ある時は営業マンやビジネスマンに対して、ある時は大学生に対して営業やビジネスに役立つ情報を提供しようと日々努力しています。

 もちろん私以外にも、世の中には素晴らしいコンサルタントの先生が大勢いらっしゃいます。私自身、日頃からいろいろな方の影響を受け、助言をいただき、自分の未熟さを思い知らされることもしばしばです。

 とはいえ、どんなにいいコンサルタントだとしても、すべての人に寸分の狂いもなく的確なアドバイスするのは不可能です。そもそも、個々人の資質や能力に合った成功法則を提供すること自体、非常に難しいものだからです。

 ですから、高いお金を払ったからといって、長い時間をかけたからといって、それがあなたにとって有益なコンサルティングなのかどうかは、判断の難しいところでしょう。

 しかし、そんな不確かな情報やノウハウが氾濫するなか、あなたのそばにはすでに最高のコンサルタントが存在しているのです。

 ここまで読んで下さった方なら、もうおわかりでしょう。

 最高のコンサルタントとは、クレームを言って下さるお客様のことなのです。

 いやまあ、率直なところ、これはあまりにも優等生的な発言だよな、とも思うんですよ。

 理不尽なクレームだって少なからずあるのだし。

 それでも、クレームのなかには、たしかに「痛いところというか、自分の気にしている面を指摘してくるものがある」のも事実です。

 ある意味「自分ではわからない、あるいは見ないふりをしている弱点を教えてくれる」ものでもあります。

 クレームをつけるのが苦手な僕としては「そんなことばっかり言っているから、モンスタークレーマーが『あんたたちのためを思って言ってやっている」なんてつけあがるし、クレーマーのほうがサービスされてしまう世の中というのはどうなのか、とも思うんですけどね。

 「あの患者さん、待たされると怒って騒ぐから、優先的に診てください」なんて看護師に頼まれるというケースもあると、知りあいの劇画原作者に聞きました。

 黙って待ってくれる「良心的なお客さん」が割を食うシステムが、本当に正しいのか?

 お客の側に「節度」を求めても、「夕食の買い物をしてきてくれる営業マンと、拒絶する営業マンとだったら、他の条件に差がなければ前者に発注する」のが現実、でもあるんですよね。買い物をするのは、本来、その人の「仕事」ではなくても。

 「人間としてのスジ」を通そうとしても、営業成績が上がらなければ、クビになってしまうわけで。

 私は営業マン時代、常に「営業マンの最大の使命とは何か」ということを考えてきました。

 たとえば、

「誠心誠意をこめて接客する」

「商品説明のわかりやすさを徹底する」

「お客様の要望や意見を齟齬なく結果に反映させ、時には先回りして対処する」

「予算や条件を超えないなかで、最大幸福を目指した提案をする」

「とにかく契約を多く取る」

 これらはどれも、おろそかにしてはいけない大事な仕事です。しかし、実はどの仕事も大切ではあれど、「営業マンの最大の使命」とは言い切れないのです。

 どれだけ接客に心がこもっていたところで、商品説明が曖昧ではお客様に納得していただくことはできません。わかりやすく説明できたところで、お客様の要望をきちんと反映できなければ、競合他社のいるなかですから、すぐに見切りをつけられてしまうでしょう。希望ばかりを優先した結果、予算を超えてしまえば元の木阿弥です。

 そしてそれ以前に、いくら完璧に仕事をこなしたところで、契約を取れなければ徒労でしかありません。

 それでは、「営業マンの最大の使命」とはいったいなんなのでしょうか?

 それはズバリ、

「過去のお客様の失敗を、次のお客様にお伝えすること」

 なのだと、私は結論づけています。

 その理由は、この本を直接読んでいただくのがいちばん良いのではないかと思うのですが、この言葉には唸らされました。

 これはもちろん、営業マンに限った話ではなくて、医療の世界でもそうですし、親子の関係にも言えるのではないでしょうか。

 「同じあやまちを繰り返さない」というのはとても大事なことなのに、ついつい「失敗談」は大事な人の前では隠してしまう。

 営業の仕事をしている人にとっては、実際に使えそうな「お客へのアプローチの仕方」なども紹介されていて、参考になるのではないかと思います。

 ここに書いてあるようなことを、きちんとできれば、みんな一流の営業マンになれそう。

 個人的には、こういう「クレーマーにさえ感謝する営業術」が美化されると、ますます「クレーマー、世にはばかる」だよなあ……なんて、溜息も出てしまうのですけどね。

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