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大災害に備え策定急げ 自治体の業務継続計画

緊急時の行政機能低下を最小限に

あす17日、阪神・淡路大震災の発生から19年を迎える。

この惨禍は、さまざまな教訓を残した。その一つが、大規模な災害や事故に備えて策定する業務継続計画(BCP)の重要性である。

自治体は大災害が発生した場合、的確な応急対策を迅速に進めつつ、優先すべき行政機能を確保しなければならない。そのための対応システムや必要な準備・方針などを、あらかじめ決めておく計画が求められる。

東日本大震災の発生後、民間企業の策定は加速しているが、自治体の動きは鈍い。日本政策投資銀行の調べによると、約7割は未策定である。

これでは、万全な体制で即応できるか、心もとない。

緊急時にどれだけの職員が確保でき、業務を担当できるか。神戸市では多くの職員が阪神・淡路大震災の被害に遭い、発災当日は41%の職員しか出勤できなかった。

住民の生命・生活や財産、そして都市機能の維持に重大な影響を及ぼす問題は何か。災害発生後は時間の経過に伴い、優先業務は刻々と変わるが、把握できているか。計画作りを進めると、さまざまな課題や取り組みの不備が浮き彫りになる。

例えば、情報処理の問題だ。自治体は、住民台帳のほか税や国民健康保険など、多岐にわたるデータを扱う。災害で情報システムに不具合が生じると、各種書類の発行などが滞り、住民生活や地域の経済活動に大きな支障をもたらす。

市庁舎が被災した神戸市では、停電やコンピューターの破損でデータ処理を手作業で行った。情報の管理・保管あるいは、バックアップ体制をしっかり確立しなければならない。作業要員を十分に確保するため、できるだけ多くの職員に日常的な教育の機会を設ける必要もある。

日本政策投資銀行の調査では、策定が進まない理由として、「庁内で議論がなされていない」が最も多い。緊急時の行政機能の低下を最小限に食い止めるために、検討を急ぐべきである。

このほか、(1)必要な人員・人材がいない(2)策定に十分な知見がない―などの事情もある。内閣府は、自治体向けに業務継続の手引を作成・公表しているので、参考にしてほしい。専門家に相談して、アドバイスを受ける方法もある。

策定済みの自治体は、万一の事態が発生した場合に、計画を迅速かつ効果的に運用できるか、定期的な訓練を通じて確認してもらいたい。

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