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サントリーの大型買収、日本企業に「攻めの経営」再び?

サントリーホールディングスは1月12日(アメリカ時間)、「ジムビーム」などのブランドをもつ米蒸留酒大手「ビーム社」を総額160億ドル(約1兆6500億円)で買収することについて最終合意したと発表しました。

日本企業による久々の国際大型買収です。海外の大型買収でいえば、昨年7月、ソフトバンクが米携帯電話のスプリント・ネクステルを216億ドル(約1兆8000億円)で買収しましたが、食品業界では、これまでで最大規模の買収といえます。為替が円安に進むなかにあっても、日本企業の海外M&A意欲はまったく衰えていない。日本たばこ産業(JT)が英国のギャラハーの買収で利益を上げているように、成功例になってほしいところです。

日本企業が、しばしば指摘されるのが手元資金の大きさです。日銀「資金循環統計」によると、民間非金融法人の現預金額は、09年度末に203.9兆円。財務省「法人企業統計」によると、09年度末の内部留保は258.8兆円です。本来、巨額の手元資金を持つ企業は、それ見合った積極的なビジネス展開をしてしかるべきです。今回のサントリーによる大型買収は、利益の貯め込み過ぎが指摘される日本企業の悪評を覆す意味でも、期待できます。

サントリー社長の佐治信忠さんは、今回の買収について「世界でも類を見ない強力なポートフォリオを持つスピリッツ事業が誕生することになり、グローバルに大きく成長できることを確信しています」とコメントしています。実際、サントリーは大きな買い物をしました。大型買収を決断した佐治信忠さんは、リスクテイクのできる胆の据わった経営者といえるでしょう。執念と決断力、そして実行力を兼ね備えた「攻め」の経営者です。創業者の鳥居信治郎や二代目社長の佐治敬三の存在が大きいだけに失礼ながら、佐治信忠さんの存在は世間では小さく見られがちですが、いやいや、今回の大型買収でその実力を思う存分に示したといっていいでしょう。

佐治信忠さんは、1945年に佐治敬三の長男として生まれ、74年、サントリーに入社、01年にサントリー社長に就任、02年に会長兼社長に就任しました。08年、サントリーはビール事業の黒字化を達成し、業界最下位の4位から初の3位を実現。また、蒸留酒では、ハイボールの需要拡大や「山崎」「響」など高級ウイスキーの需要を伸ばしました。10年2月には、半年以上かけて交渉を続けてきたキリンホールディングスとの経営統合を断念するというニュースがありましたが、今回の大型買収で“キリンの失敗”を取り戻したといえます。

サントリーには、いま、社長交代の話がちらほら聞こえてきます。次期社長候補として名前が聞こえるのは、創業者のひ孫でサントリー食品社長の鳥井信宏さんです。かりにも、今年、社長の座を明け渡すとしたら、信忠さんは、今回、サントリーの歴史に名を残す大仕事をしたといっていいと思います。この大型買収が、果たして、最後の「置きみやげ」となるのかどうか。こちらも目が離せませんね。

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