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日中メディア交流延期が、北京政府の言論弾圧なのに、朝日新聞は「安倍晋三首相の靖国参拝」に転嫁

◆朝日新聞が1月9日付け朝刊「1面」(「日中交流、中国が再開凍結 首相靖国参拝に対抗か」という見出し)で、北京特派員の倉重奈苗記者の記事を報じた。「日中両政府が今月予定していた中国メディア関係者らの訪日など三つの交流事業が、取りやめになったことがわかった」とここまでは、「事実の報道」である。

 だが、「取りやめ」の理由について、「昨年末の安倍晋三首相による靖国神社参拝が影響したとみられ、ようやく再開した民間交流の機運に水を差す結果となった」と観測している行は、おかしい。「中国側は日本側に延期の具体的な理由を明らかにしていないが」と事実を述べているのであれば、いきなり短絡的に「安倍晋三首相の靖国神社参拝」と結びつけて観測するのは、何もかも「安倍晋三首相の靖国神社参拝」に転嫁したい、あるいは「したがる」朝日新聞の「プロパガンダ(宣伝)記事」と断じざるを得ない。これは、「客観報道の義務と責任」を負っているマスメディアとしての「使命と役割」の放棄である。

◆情報は、「表の情報」「裏の情報」「陰の情報」「闇の情報」という重層構造になっており、マスメディアは、これらのすべてを追いかけなくてはならない。また、報道内容には、「事実報道」「観測報道」「解説報道」「希望・願望報道」「プロパガンダ(宣伝)報道」などという区別がある。

 この観点で言えば、朝日新聞のこの記事は、安易に「安倍晋三首相の靖国神社参拝」と結びつけて観測していて、一種の「手抜き記事」である。

というのは、東京新聞が1月9日付け朝刊「9面=国際面」で、「強まる言論統制」「中国『南方週末』差し替え1年」「当局、記者に全国統一試験」という見出しをつけて、上海特派員の加藤直人記者の記事を、以下のように報じているからである。

「中国当局は全国約二十五万人の新聞記者に報道姿勢などについて職場単位で訓練を受けさせ、今年一月から二月にかけて学習内容について全国統一試験をすることを決めた。比較的自由な報道で知られた広東省や香港の新聞にも統制の影響が色濃くなりつつある」

 朝日新聞の記事は、「日本側関係者によると、中国側が『内部の手続き』を理由に『(開催は)難しい。延期してほしい』と伝えてきたという」と書いてせっかく「事実」を伝えているのに、「内部の手続き」について詳しく取材していないのか、取材していても、「中国当局に遠慮して」いるからなのか、東京新聞が書いているような「職場単位で訓練を受けさせ、今年一月から二月にかけて学習内容について全国統一試験をすること」との関係については、何も触れていない。

 中国では、共産党1党独裁の北京政府による「言論統制」、「報道統制」、言い換えれば「弾圧」が、猛威を振るっている。せっかく、「自由な報道機関」へ成長しつつあったマスメディアが、共産党1党独裁の「プロパガンダ(宣伝)」機関に徹底されようとしているのだ。

 北京政府の習近平国家主席、李克強首相ら「チャイナ・セブン」の最高指導者たちは、体制維持に必死である。

 言論弾圧は、中国の国外にまで波及していて、日本で活躍していた東洋学園大学の朱建栄教授(上海生まれ、華東師範大学で日本文学を専攻し卒業、上海国際問題研究所付属研究生院で修士号を取得。政治学者=専門は中国の政治外交史・現代史に関する研究、東アジアの国際関係に関する研究。学習院大学、東大非常勤講師、東洋女子短期大助教授を経て、1996年から東洋学園大学人文学部教授に就任、日本華人教授会議代表などを歴任)が2013年7月17日、会議出席のため上海市に帰ったまま、連絡が取れなくなっている。2013年5月には、日本の中国紙「新華時報」の蘇霊編集長が北京出張中に消息を絶っている。2013年9月、中国外交部の洪磊副局長は「朱氏は中国国民であり、中国の法律と法規を順守しなければならない。」と述べ、国家安全部から情報漏洩容疑で取り調べを受けていることを事実上認めている。国外で中国共産党1党独裁の北京政府を批判すれば、「国家に反逆するスパイ行為」と決めつけられ、逮捕され、厳しい取調べを受けることになるのである。

◆北京政府は、この言論弾圧の矛先を外国のマスメディアにも向けつつある。1964年に「日中記者交換協定」締結、1968年に「日中関係の政治三原則」(1.中国を敵視しない、2.二つの中国の立場に立たない、3.日中国交正常化を妨げない)が確認され、日中が記者交換するにあたって守るべき原則とされた。北京に常駐記者を置いていた朝日新聞、読売新聞、毎日新聞、NHKなどはこの文書を承認したのに対して、産経新聞はこの協定に反発し、傘下のフジテレビを含めて特派員をすべて引き上げた。文化大革命(プロレタリア文化大革命は1966年から1977年まで続いた。「封建的文化、資本主義文化を批判し、新しく社会主義文化を創生しよう」という名目で行われた改革運動)時には外国メディアが次々と中国から追放され、日本の報道機関も「中国に媚びた」朝日新聞を除き、すべて追放された。その後、朝日新聞以外の日本の報道各社も中国への再入国を許された。だが、最近では、ネット検閲も激しく規制されており、googleが中国から撤収した。

 朝日新聞の「媚中主義」は、いまでも抜け切らず、なおも続いており、共産党1党独裁北京政府に都合悪いことは書かず、今回の場合は、「安倍晋三首相の靖国神社参拝」に結び付けて、「日本バッシング報道」を展開、北京政府に「魂」を売り、「プロパガンダ(宣伝)」機関に成り下がっていると断じてよい。

【参考引用】朝日新聞DIGITALが1月9日午前9時58分、「日中交流、中国が再開凍結 首相靖国参拝に対抗か」という見出しをつけて、以下のように配信した。

 「日中両政府が今月予定していた中国メディア関係者らの訪日など三つの交流事業が、取りやめになったことがわかった。日本側関係者によると、中国側が『内部の手続き』を理由に『(開催は)難しい。延期してほしい』と伝えてきたという。昨年末の安倍晋三首相による靖国神社参拝が影響したとみられ、ようやく再開した民間交流の機運に水を差す結果となった。中国側は日本側に延期の具体的な理由を明らかにしていないが、政府が首相の靖国参拝に『断固反対する』と強く反発。対抗措置を取る構えもみせており、両政府間の他の交流事業も凍結される可能性がある。三つの交流事業は、第1次安倍内閣時代の2007年に決まったもの。現在は『ジェネシス2・0』という事業名で、中国側は国務院(政府)新聞弁公室など、日本側は外務省の委託を受けた日中友好会館(会長・江田五月元参院議長)が窓口となっている」

 東京新聞TOKYOWebが1月9日、「中国「南方週末」差し替え1年 強まる言論統制」という見出しをつけて、次のように配信した。

 「【上海=加藤直人】中国広東省の週刊紙「南方週末」の新年号の記事が当局の指示で削除、差し替えられた事件から一年が過ぎた。習近平政権は言論統制をさらに強めており、失望した記者らの流出が続いている。南方週末の編集部門関係者は本紙に『事件後、百人近くの記者やデスクが社を離れた』と明らかにした。今年の新年特別号の社説は『われわれは南方週末。(創刊)三十にして立つ』との見出しを掲げ、『真実を生命とする新聞として、時に力不足であっても、肉薄し追求し真実を伝えることが原点である』などと報じた。昨年の差し替え前の社説では『中国人は本来自由人であり、中国の夢とは憲政の夢のことである』と憲法に基づく民主政治の実現を力強く訴えていたが、それと比べると、極めて政治的メッセージに乏しい内容になった。改革派の代表メディアとも称賛された同紙の現状に、別の新聞社の元記者は『メディア側のあきらめや無力感こそが気がかりだ』と憂慮した。中国当局は昨年春、『報道の自由』や『公民の権利』など七つの禁句を大学の授業で使わないよう通知したほか、昨年秋の重要会議、第十八期共産党中央委員会第三回全体会議(三中全会)では『社会の安定を維持するため』としてインターネット規制を強める決定をするなど言論統制を強化している。広東省に隣接する香港では、民主派寄りの新聞『明報』が七日付の紙面で編集局長の退任を報道。当局からの圧力を疑う記者らが社上層部に退任理由の説明を求める署名活動を始める騒ぎになったほか、香港の記者協会は『新聞の自由が脅かされることを懸念する』との声明を出した。中国当局は全国約二十五万人の新聞記者に報道姿勢などについて職場単位で訓練を受けさせ、今年一月から二月にかけて学習内容について全国統一試験をすることを決めた。比較的自由な報道で知られた広東省や香港の新聞にも統制の影響が色濃くなりつつある。

<南方週末記事差し替え事件> 南方週末の編集部が2013年1月3日発売の新年号に掲載予定だった社説用の『中国の夢、憲政の夢』と題する記事が、広東省共産党委員会宣伝部の指示で、中国の発展を称賛する内容に差し替えられた。もとの記事は、憲法に基づく民主政治の重要性を説く内容だった。記者らが猛反発し、ネット上で経緯の調査や宣伝部長の解任を要求。一部記者がストを行い、市民らも同紙本社前で抗議した。省トップの胡春華・同省党委書記が仲裁し、記者の不処分や事前検閲の緩和などを条件に収束したが、中国の報道規制のあり方に疑問を示す動きとして注目を集めた」


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