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ジャネット・イエレンとのハネムーン 成田離婚ってコトにならないといいけどね

1月6日の上院の票決でジャネット・イエレンの連邦準備制度理事会(FRB)議長が承認されました。2月1日から着任です。

彼女はこれまでFRB副議長を務めて来た事、量的緩和政策の具体的なスキームを考えた中心人物であること、ベン・バーナンキ議長の考え方に近く、ハト派であること……それらの要因を好感して、市場参加者は大船に乗った気持ちになっています。

僕も基本的にはジャネット・イエレンという人選が最も適任だし、相場にとって最善だと思っています。

ただ……

それと着任早々の彼女の采配が、スムーズに進行するかどうかは、次元の違う問題です。言い換えれば、彼女のせいではなく、あるいは彼女がコントロールできない要因がもとで、マーケットがギクシャクする可能性が、無いとは言い切れないということなのです。

彼女が直面する最初の問題は、「FRBはこれまでの数値によるガイダンスを堅持するのか? それとも時間によるガイダンスに戻るのか?」ということです。

数値によるガイダンスとは「失業率が6.5%に下がるまでは、量的緩和政策を堅持する」という、経済統計に基づく市場参加者の誘導を指します。

時間によるガイダンスとは「2015年までは、量的緩和政策を堅持する」という、期日に基づく市場参加者の誘導を指します。

FRBは2年前に時間によるガイダンスに傾斜した時期があるのですが、現在は再び数値によるガイダンスに戻っています。そちらの方が、市場参加者のキモチを、まとめやすかったからです。この選択は間違っていなかったし、これまではこの方法でOKでした。

しかし、ここへきて数値によるガイダンスの「不都合」が増大してきています。

つまり11月の失業率の発表で、失業率がいきなり0.3パーセンテージ・ポイント改善し、7.0%となったことで「えっ! あと0.5%で、6.5%のターゲットに到達じゃん?」という焦りが投資家に芽生え始めているのです。

ここでFRBが数値によるガイダンスに固執すると、次の数回の雇用統計で失業率の改善が著しければ、いきなり「量的緩和政策終了フラグ」が立ってしまいます。

つまりFRBは自分の採用した、数値によるガイダンスという手法で、追い詰められて(cornered)しまうリスクがあるわけです。

ウォールストリート・ジャーナルの「FEDウォッチャー」であるジョン・ヒルゼンラースは、既にFRBは退路対策として時間によるガイダンスを復活させはじめていると主張しています。

バーナンキ議長が12月の連邦公開市場委員会(FOMC)で示した「債券買い入れプログラムを、とりあえず100億ドル縮小する」という新方針も、言外にこめられた意味合いとして「年末まで何らかの債券買い入れプログラムを残す」というニュアンスを漂わせています。

過去2年の失業率改善のペース(毎月、0.076パーセンテージ・ポイント)をシンプルに現在の失業率(7.0%)に当てはめて、引き算を繰り返すと、今年の夏までには6.5%に数値によるガイダンスを達成してしまうわけだから、これは「年末まで、やりまっせ!」という時間によるガイダンスと、どこかで大きな齟齬が生じるわけです。

このチグハグをどう擦り合わせするのか? このビミョーな匙加減を間違えると、のっけからFRBのクレディビリティ(信頼)の問題に、発展しかねない……

その意味でも今週金曜日の雇用統計は、重要です。

あ、それから今までは失業率より非農業部門雇用者数に注目する投資家が多かったけど、これからは違います。失業率の方が遥かに重要になってきます。

その点、ヨロシク。


PS:上に書いた問題を、今夜(1月9日夜8時)のインヴァスト証券主催セミナー『ジャネット・イエレンのFRB議長就任で、アメリカの金融政策はどう変わる?』で徹底的に議論したいと思います。


(文責:広瀬隆雄、Editor in Chief、Market Hack

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