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「武力の強大さで外交の失敗をおぎなおう」としても「覆没する」ことは避けられない

 勝頼は武力の強大さで外交の失敗をおぎなおうとした。が、おぎないきれず、まもなく覆没する。すると国策のうち、外交の策というのは、富国強兵を実現することにまさるともおとらず重要であることがわかる。

 これは、宮城谷昌光氏の著書『新三河物語 中』(新潮文庫)の432~433頁に書かれていた言葉です。これを読みながら、今の日本のことを考えました。

 この文の中の「勝頼」を「安倍晋三」に置き換えれば、まさに今の日本に当てはまるように思えます。「安倍晋三は武力の強大さで外交の失敗をおぎなおうとし」ているように見えるからです。

 それに続く文は、まことに恐ろしいものです。「が、おぎないきれず、まもなく覆没する」というのですから……。

 今日の日本も、「富国強兵」の道を進めばそうなるでしょう。「覆没」した武田家や戦前の日本のように……。

 そして、宮城谷さんはその「覆没」を避ける方策について、次のように指摘するのです。「すると国策のうち、外交の策というのは、富国強兵を実現することにまさるともおとらず重要であることがわかる」と……。

 つまり、「武力の強大さで外交の失敗をおぎなおう」とすることはできず、「外交の策というのは、富国強兵を実現することにまさるともおとらず重要」だというわけです。武力に訴えて覇を競った戦国時代でさえそうなのですから、もはや「武力」が大きな力を持たない今日においては、また「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」ことを定めた憲法を尊重し擁護する義務を負う現代日本の首相としては、「外交の策」を重視すべきことは言うまでもありません。

 ところが、安倍首相は全く逆の道を歩もうとしています。「強い日本」を取り戻そうとして「富国強兵」の実現をめざし、中国や韓国との外交関係を悪化させて「外交の策」を放棄しているのですから……。

 もし、このままの道を歩み続ければ、後世の作家によって次のように書かれるにちがいありません。「が、おぎないきれず、まもなく覆没する」と……。

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