記事

【新聞のミカタ】1月3日の新聞各紙 「一面トップ」検証 スクープ報道は?

2/3

■日本経済新聞

一面トップは老朽化するインフラの保守・点検についての報道。

「橋・トンネル点検 義務に」「77万ヵ所 築50年急増に対応」「自治体分の管理厳しく」

国土交通省は2014年度から道路の橋やトンネルの定期点検を地方自治体に義務づける。5年ごとに施設の健全性を4段階で評価する全国統一基準を導入する。危険と判断すれば、通行規制を命令できるようにする。道路補修のための新たな補助金創設も検討している。古くなったインフラを予防的な保全で長持ちさせて、費用を抑えながら安全対策を進める。  高度経済成長期に集中的に整った日本のインフラはこれから老朽化が急速に進…

出典:日本経済新聞デジタル

これも国土交通省がこういう方針だ、という国交省の「記者クラブ内で他社を出し抜いた報道」というに過ぎない。

昨年5月の中央自動車道笹子トンネル事故の後で緊急問題として急浮上した道路、橋、トンネルなどのインフラの老朽化。このメンテナンスをどうするかは急務だが、経済紙らしく淡々と事実を記した記事だ。「時代感」も「未来感」もない。大仰な夢をばらまくよりも、週明けに土建関連株が上昇しそうということがむしろ関心事か。

■産経新聞

一面トップは自衛隊に関連した記事。

「空自にこの夏『戦術団』」「敵基地攻撃能力を研究」「北ミサイル念頭」

政府が今夏、航空自衛隊に「航空戦術教導団」(仮称)を新編することが2日、分かった。戦闘機と地対空誘導弾の戦闘技術を高める教導隊を集約し、北朝鮮の弾道ミサイル発射基地を念頭に敵基地攻撃能力の研究に着手。東シナ海に防空識別圏を設定した中国の戦闘機が領空を侵犯する恐れも強まる中、敵のレーダーを無力化するための電子戦の能力向上に向けて「電子作戦群」も新設する。

 航空戦術教導団を新たに編成するのは、昨年12月に閣議決定した平成26年度から5年間の中期防衛力整備計画(中期防)を受けた措置。中期防には敵基地攻撃能力の保有に関し「弾道ミサイル発射手段への対応能力のあり方を検討し、必要な措置を講じる」と間接的な表現で盛り込んでいる。

 戦術教導団は空自の作戦中枢である航空総隊に属させる方針で、すでに準備要員を総隊司令部に配置。新編時は団司令部に約100人、団全体では約千人の規模を想定する。

出典:ヤフーニュース(産経新聞)

産経新聞は、国防に会社を挙げて力を入れている、ということがよく伝わってくる

ただし、「敵基地攻撃能力」ということになると、単に自衛隊が研究しているという部隊レベルの話ではなくて、憲法9条とこれまでの専守防衛の原則との整合性はどうなっているの?という政治レベルの話になってくる。

産経新聞は、一面の記事の横に用語解説として「敵基地攻撃」「昭和31年の鳩山一郎内閣の『他に手段がないと認められる限り、誘導弾などの基地をたたくことは法理的には自衛の範囲に含まれ、可能』との政府統一見解が代表的」と解説している。

「敵基地攻撃」については、憲法学者や政治家の間でも反対意見も根強いが、「代表的」という表現でかたづけるあたりがいかにも産経新聞らしい強引さ。

いずれにしても、これも「記者クラブ内で他社を出し抜いた報道」

防衛省の記者クラブ内で「ウチだけ他社より早く知っていた」というレベルの記事だ。

全国紙はこの手の「独自ネタ」が各社多い。確かに普段から目を光らせていたからいち早く報道できるという面があるが、しょせんは記者クラブというコップの中の「勝った」「敗けた」に過ぎない。本当のスクープというには、もっと付加価値をつけないとほど遠い。

■東京新聞

米軍人・軍属とその家族による犯罪に対して、神奈川県では起訴にいたるのはわずかだという現状を情報公開請求制度を駆使して報じた。

「米兵ら起訴わずか5%」「性犯罪すべて不起訴」「08~12年」「地位協定の不平等 神奈川で顕著」

在日米海軍横須賀、厚木基地があり、沖縄の次に米兵らの犯罪が多い神奈川県で、二〇〇八~一二年の五年間に一般刑法犯(自動車による過失致死傷を除く)として起訴された米軍人・軍属とその家族は、送検された百二十二人のうち、わずか七人(5・7%)だったことが法務省への情報公開請求でわかった。強姦(ごうかん)などの性犯罪では十六人全員が不起訴だった。(皆川剛)

 法務省から「合衆国軍隊構成員等犯罪事件人員調」の開示を受け集計した。なお、同じ基地県でも沖縄では、五年間に米兵ら三百十四人が送検され、起訴は六十七人(21・3%)。神奈川の低さが際立つ。

 横浜地検が起訴した七人のうち、日本で正式に裁判になったのは、〇八年に同県横須賀市で発生したタクシー運転手強盗殺人事件で無期懲役が確定した横須賀基地所属の元一等水兵と、〇九年の傷害事件の二人のみだった。

 性犯罪のほか、住居侵入、暴行、横領などは起訴率0%。地検は不起訴理由を明らかにしないが、開示文書によると、公務中を理由にされたり、公務外だが日本の法務省が「裁判権を行使しない」と判断した容疑者が計四十人いた。

 昨年十月の日米合同委員会で、日本で罪を犯した米兵らに対する軍事裁判や懲戒処分の結果が、今月から日本側に通知されることが決まった。だが外務省によると、日本の検察が不起訴にした場合は、懲戒処分は通知されないという。

 在日米軍司令部に、神奈川県内で不起訴となった米軍関係者の処分について尋ねたが、「対象者の十分な情報がない。米国は軍人らの違法行為に対するあらゆる申し立てを深刻に捉えている」などと回答したのみだった。

 九割以上の米兵容疑者らを不起訴にした検察も、その後の処分の有無を把握していない。

出典:東京新聞Web

これは東京新聞の記者が法務省に情報公開請求をして把握した事実だ。

官庁の誰かに情報を耳打ちされるのではなく、記者自身が汗を流して情報を得た。

こういう報道を「調査報道」という。堂々たるスクープと言ってよい。

東京新聞は元日の一面トップ「東電、海外に210億円蓄財 公的支援1兆円 裏で税逃れ」に続いての連続のスクープ。しかも独自に調べた調査報道だから、価値は大きい。

不平等な日米地位協定があるにせよ、送検された米兵らの起訴率が神奈川県でわずか5%なのかなぜなのか。沖縄県では21.3%に比べても極端に低い。検察の対応が甘くなっている可能性もある。

「強姦などの性犯罪では十六人全員が不起訴だった」という事実は、米兵に襲われた女性たちが泣き寝入りを強いられている現状を意味する。

東京新聞の記者が調べなければ、政府は知らないふりをし続けたろうし、私たちが知ることはできなかった。

あわせて読みたい

「新聞」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    BLOGOSサービス終了のお知らせ

    BLOGOS編集部

    03月31日 16:00

  2. 2

    なぜ日本からは韓国の姿が理解しにくいのか 識者が語る日韓関係の行方

    島村優

    03月31日 15:41

  3. 3

    「いまの正義」だけが語られるネット社会とウェブ言論の未来

    御田寺圭

    03月31日 10:09

  4. 4

    カーオーディオの文化史 〜ドライブミュージックを支えた、技術の結晶たち〜

    速水健朗

    03月30日 16:30

  5. 5

    BLOGOS執筆を通じて垣間見たリーマンショック後10年の企業経営

    大関暁夫

    03月31日 08:27

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。