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【新聞のミカタ】1月3日の新聞各紙 「一面トップ」検証 スクープ報道は?

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誰しも新聞の論調などによって好き嫌いはあるに違いない。

ここでは個人的な新聞の好き嫌いや政治的な傾向の是非を論じるのではなく、そこから離れて、その日の紙面が、どういう方向を向いていたのか、それが「ジャーナリズム」(報道)としてきちんと役割を果たしているのか、という観点で比較したい。

年明けの1月3日の新聞各紙の「一面トップ」も元日のそれと同様に注目に値する。

なぜなら元日の紙面はよほどのことがない限り、大みそかのかなり早い時間にあらかた組み上がっているからだ。

本当の意味で、新しい1年を記者たちが取材した上で、その新聞の1年が始まるのは1月2日の新聞休刊日をはさんだ3日の紙面からということになる。「正月モード」色が濃い元日と違って、「ふだんの日モード」に近いなかで「その新聞がこれから力を入れるテーマ」が反映される。

■NHKは「拉致事件」・・・安倍政権の意向を先取りした?

さて、新聞ではないが、NHKの1月2日の夕方18時のニュースのトップ項目で「拉致問題」を放送したことは記しておきたい。

拉致被害者家族「交渉の糸口を」

1月2日 14時33分
 政府が認定している北朝鮮による拉致被害者のうち、安否が分かっていない12人の平均年齢はことし65歳を超えます。

その一方で、日朝の政府間協議はおととしを最後に開かれておらず、被害者の家族は、北朝鮮との交渉の糸口を探り、一刻も早い解決につなげるよう政府に求めていくことにしています。

 拉致問題を巡っては、おととし11月を最後に日本と北朝鮮の政府間協議は開かれておらず、去年も被害者の帰国に結びつく具体的な進展はありませんでした。

 その一方で、政府が認定している被害者のうち、安否が分かっていない12人の平均年齢はことし65歳を超え、最も若い横田めぐみさんも10月で50歳になります。

 帰国を待ち続ける家族の高齢化も進み、被害者の親の平均年齢はことし87歳を超えます。

こうしたなか、先月のチャン・ソンテク前国防委員会副委員長の粛清を受け、北朝鮮が体制の引き締めを図るため対外的に緊張を高めることも予想されていて、外交交渉への影響を懸念する声も出ています。

 北朝鮮の権力構造が変化するなか、交渉の糸口をどう探り、拉致被害者の帰国につなげていくのか、家族は、一刻も早い解決を図るための戦略的な取り組みを政府に求めていくことにしています。

出典:NHK Webニュース

1月25日から安倍政権の意向を強く受けた籾井勝人・元三井物産副社長が会長に就任するNHK。拉致問題は、安倍晋三首相と菅義偉官房長官がNHKに対して以前から強調して放送するように求めてきたテーマだ。

第一次安倍政権の時代に、当時の菅義偉総務相がNHK会長に対して、NHKの短波ラジオによる国際放送で「北朝鮮による日本人拉致問題に特に留意する」放送を“命令”したことは放送関係者の間では記憶に新しい。具体的な事項を指定しての「命令」はこの時が初めてであった。NHKや民放、新聞各社が加盟する新聞協会としても「報道の自由の観点から看過できない」という談話を発表したほどだった。

会長も新しくなるNHKでいま何が起きているのか。心配になる。

1月3日の各新聞の「一面トップ」はどうだったろうか。

■ 読売新聞

「日本 2020 時の行方」という編集委員の署名記事が一面トップだ。

「成熟社会へスタート」「新たなナンバーワンに」という見出しも躍る。

[日本2020]<時>の行方…成熟社会へスタート
2014年1月3日3時3分 読売新聞
 東京五輪が開かれた1964年から50年。日本は様変わりした。戦後復興、高度成長を誇った時代から、超高齢化、低成長の時代に入り、大家族や濃密な地域社会の風景は失われつつある。再び五輪、パラリンピックが開催される2020年、私たちはどんな姿…

出典:ヨミウリ・オンライン

1964年の東京五輪の100メートル決勝のスターターの補助役員だった人の回想から、「きめ細かい大会運営で世界の信頼を勝ち取った日本は様々な分野で世界一に躍り出た。テレビ、ラジカセ、自動車、鉄道―」と「80年代まで官民一体で経済発展を追求する手法で『ナンバーワン』の称号を得た」と振り返る。

それが今「世界一の高齢化国」となっている。

超高齢化、温暖化、エネルギー問題、と日本は「課題先進国」だとして、「それはチャンスでもある」とする。そして「成熟社会のモデルになりうるか」と社会構造の変化を踏まえた「発想の転換」を求める。

記事というよりも「提言」に近い内容だ。

目新しい情報は特にない。 

また、総論として「発想の転換」を提言するだけなので、具体性にも乏しい。

日本人や日本という国にとって、東京五輪を6年後に控えた今年がどんな年なのかを考えさせる内容にはなっている。

かつてのベストセラー『ジャパン・アズ・ナンバーワン』の著者、エズラ・ボーゲル元ハーバード大教授に「新たなナンバーワンに」と言わせている。

正月だから許される「時代感」と「未来感」が満載で、読売らしいマッチョな気分がプンプンする。

読売新聞はもともと「ナンバーワン」という言葉が大好きな新聞社だ。

超高齢化社会の到来は日本の社会や経済にとって大きな逆境のはずだが、読売のこの記事には悲壮感はほとんどない。

むしろ再び「ナンバーワン」を目指そうと正月から明確だ。

この徹底して楽天的な姿勢はお正月だからか?

毎日新聞の一面トップも「時代感」「未来感」が満載な夢のある話。ただし、こちらは具体的な中身がある。

■毎日新聞

「次世代ロボット助成」「防災・減災 切り札」「政府、近く検討会」

政府は、次世代ロボットの実用化を促進するため、開発企業に助成する新しい支援制度を導入する方針を固めた。国土交通省と経済産業省が近く合同で検討会を発足させ、ロボット技術を必要とする重点分野や支援対象となる企業の絞り込みを始める。東京電力福島第1原発事故や中央自動車道・笹子トンネルの崩落事故などを契機に防災・減災に対応する社会インフラ整備のニーズが急増している。現場での深刻な人手不足を解消するロボットへの期待が高まっており、官民一体で「ロボット大国」を目指す。

 ◇国交省と経産省が近く合同検討会
 国交省が想定しているのは、老朽化が進んでいる社会インフラを点検する「点検診断ロボット」や災害状況を迅速に把握する「調査ロボット」、実際の復旧に資する「施工ロボット」など。社会インフラを整備する現場では人手不足や高齢化も深刻化しており、同省幹部は「ロボットの活用は人手不足を解消する有効策になる」と指摘する。

出典:毎日新聞のニュース 情報サイト

確かに福島第一原発の事故対応ひとつみても、人間の手作業だけでは高レベルの放射能汚染区域には入れない。そんな限界を逆手にとって、ロボット大国を目指し、将来のロボット技術の輸出などにもつなげる、という報道。

政府、特に経済産業省と国土交通省の動きを追った報道だが、何気ないところに新聞社の問題意識も垣間見える良い記事だ。具体的な情報、ファクト(事実)があるだけに、威勢の良いわりに具体性に乏しい読売新聞の一面トップと一線を画している。

残念なのは、官庁がいずれは発表することを少し倒しで情報をつかんで報道したという「記者クラブ内で他社を出し抜いた報道」にとどまっている点だ。経済産業省か国土交通省の記者クラブに所属する記者が他社より先に小耳にはさんだというレベルの話だ。

どうせ報道するなら、正月の間に日本や世界の今後について考えてみたいという読者には、「次世代ロボット」が世界的にどこまで開発が進んでいるのか、日本はどんな位置にいるのか、といったグローバルな情報も届けてほしかった。

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