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『Googleとトヨタ』:幸福な関係はいつ訪れるか。

Googleは自動車業界との本格的なパイプ作りに動いている。最初の交際相手は、僕の予測ではトヨタかVW、あるいはメルセデスかBMWだが、本命はトヨタだと考えている。

Googleは、PC、モバイル、テレビ、自動車の4つの市場への侵攻を目論んでいる。これはAndroidの開発責任者であるアンディ・ルービンが公式に話していることだから事実だ。Googleは社内の計画や目的を不用意に口にしていい企業ではないから、これは社内で公然と認知された戦略目標であると言っていい。(詳しくは拙書『アップルVS.グーグル』をご一読ください)

PCとモバイルについては既にAndroidによるさまざまなサービス開発に取り組んでいるし、Google TVを発表したばかりだ。だが、4つめの市場である自動車業界への取組みに関しては、まだ大きな発表がない。ただ、最近Google Mapsを基本データシステムとして採用したカーナビが登場したように、地図・位置情報を介して自動車業界に入り込むことは疑いない(拙書『アップルとグーグル』(2008年刊。インプレスR&D)P179参照)。

自動車はいまやCPUの固まりだ。動くコンピューターといっていい。コンピューターならクラウド化する。それがGoogleの描く未来であり戦略だ。提携していく相手は、トヨタ、VW(フォルクスワーゲン)、メルセデス、BMWといった順番になるだろうが、実のところ日産と組もうがホンダと組もうが、Googleはいずれすべての自動車メーカーのクラウド化にとりかかる。

実は、僕は2008年に、『アップルとグーグル』のP156にて、トヨタとGoogleが組む可能性について触れている。Googleと組むということは、メーカーにとってはややリスキーだ。コンピューター以外のハードウェアは、家電であっても自動車であっても、魂(ソウル)と肉体(ボディ)が同一化されており不可分だったが、いまやすべてのハードウェアはコンピューター化が進んでおり、魂と肉体の分化が進み始めている。つまり、Googleと組むということは魂をGoogleに委ねるということだ。

Appleはこれをしない。自分で魂と肉体をコントロールすることを望む。HP(ヒューレッド・パッカード)も少なくともモバイルやタブレットにおいては(パームを買収することで)魂を他者に委ねることを拒んだ。ソニーがGoogle TVを自社のプラットフォームとして採用してしまった行為とは反対に。実のところ、僕はソニーの未来を案じている。ソニーを始めとする日本の家電メーカーは、正直既に世界のトップメーカーというには脆弱な存在に成り下がってしまっており、日本の全家電メーカーの営業利益を足してもサムスン一社に遥かに劣るようになってしまった。だから、日本の家電メーカーがGoogleと組んだとしても、サムスンが同じくGoogleと組んでしまえば、現時点では勝ち目がない。つまりテレビの市場では日本の将来は暗い。

ところがクルマであれば話は別になる。自動車業界はいま、ガソリンやディーゼル燃料のエンジン(内燃機関)から電気モーターによる電気自動車(EV=Electric Vehcle)もしくは燃料電池自動車(FCV=Fuel Cell Vehcle)などの非内燃機関をベースとした自動車へと大きくシフトしつつある。しかし一気に変革は進まない。エンジンからモーターへの完全なシフトには、少なくとも10-20年を要するだろう。トヨタはその過渡期に、ハイブリッドカー(HV)で君臨している。つまり次世代自動車業界でも王者であり続けるチャンスがある。だからこそ、Googleと早く組めば、それだけ他の自動車メーカーとの競争に優位に立てる。

要するに、Googleは今年中に自動車業界との合従連衡に踏み出す、と僕は言っている。これは間違いのない予測になるだろう。

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