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靖国参拝の何が問題なのか

 先日、安倍総理が靖国神社参拝を行い、諸外国から非難を浴びました。

 それに対する私の見解は、「外国(米中韓)が批判するからダメ? 違います、靖国参拝は戦死者への冒涜だからです」で示した通りです。

 種々のコメントを頂いたことから、それを元に改めてこの問題を整理してみたいと思います。

戦死者に対する慰霊は国の義務だ!

 この問題は、だから何故、それが靖国参拝につながるのかが問われているのです。

 戦没者への慰霊であれば、国立千鳥ヶ淵戦没者墓苑で十分です。

 そして大事なことは、二度とこのような過ちを犯さないという言葉を手向けることです。

 過ちというのは国家によって戦争が遂行され、そして国民を死に追いやったということそのものです。本来であれば誰もが生きていたい、生きて人生を楽しみたいという思いは誰もが共通して持つものです。

 それを否定して死に追いやったのですから、無駄死に、犬死にだったのです。だからこそ侵略戦争を行ったことに対し、戦死者に対してもお詫びしなければならないことなのです。

 靖国参拝は、全く逆です。あの侵略戦争での戦死を「英霊」扱いするのですから。

死んでいった人たちの気持ちはそれぞれ違うんだ!

 それぞれ戦死した人たちの気持ちなんてわかるはずがない、死を強要されたというのは一方的な評価に過ぎないという類の批判です。

 中には笑って死んでいった戦死者もあるかもしれません。そういえばこんな軍歌にもありました。
「露営の歌」(作詞:薮内喜一郎)より
「思えば今日の闘いに朱(あけ)に染まってにっこりと笑って死んだ戦友が天皇陛下万歳と残した声が忘らりょか」
 この歌詞を読んでどう思われますか。今なお、歌いたいですか。これを国民に歌うことを強制したいですか。

 こんな狂気じみた歌を歌って死んでいくことが何と哀れなことか。

 教育においても教育勅語により国民は天皇の子としての教育が施され、軍人に対しては軍人勅諭では、もっと露骨に
「一(ひとつ)軍人は忠節を尽すを本分とすべし。
(略)
抑(そもそも)国家を保護し国権を維持(ゆいじ)するは兵力に在(あ)れば、兵力の消長は是(これ)国運の盛衰なることを弁(わきま)へ、世論(せいろん)に惑わず政治に拘らず、只々一途(いちず)に己(おのれ)が本分の忠節を守り、義は山獄よりも重く、死は鴻毛(こうもう)よりも軽しと覚悟せよ。

 其操(そのみさお)を破りて不覚を取り、汚名を受くるなかれ。」
と生命を鳥の羽よりも軽いものとして教え込んでいるのです。

 洗脳教育の最たるものでしょう。もともと軍事国家は国民、兵士に死を強要しなければ成り立ちません。

 洗脳教育によってこそ国民を死に追いやったのですから、その人が笑って死んだのであればそれでいいんだというのは暴論です。

A級戦犯たちは戦勝国が勝手に裁いた結果だ!

 確かに東京裁判は戦勝国が裁いたもの、しかも戦勝国の戦争犯罪は不問に付されています。

 しかし、当時、戦犯たちが行ったことは国内法に照らしても問題がある行為ばかりです。国際法違反に問われることは百も承知で行ってきたことです。

 細菌兵器やら人体実験、さらには捕虜の虐殺は軍令部からの命令です。
慰安婦問題の蒸し返し 産経新聞とそれにすがる人たち

 しかも何よりもこの問題は、A級戦犯合祀されているかどうかではなく、靖国神社参拝そのものが問題なのです。

 中国などはA級戦犯合祀を問題にしていますが(A級戦犯合祀が発覚する以前は靖国参拝を政治問題にしていない)、A級戦犯が合祀されているかどうかではなく、侵略の歴史そのものを正当化しようとする靖国参拝それ自体が問題なのです。

 A級戦犯たちは、戦争指導者として日本を破滅させ多くの国民を死に追いやった張本人たちですから、そのような者を「英霊」扱いする靖国参拝は論外であるし、戦死者を「英霊」扱いする靖国参拝そのものが問題だということです。

 だからこそ、米中韓が批判するから問題なのではなく、日本国民としても当然に靖国参拝は大問題であり批判すべきことなのです。

 靖国神社側とすれば、東条英機らA級戦犯を合祀から外すという選択肢はありません。明治以降の侵略の歴史は、すべて正当な行為として位置づけているからです。

「よく死んでくれた、ありがとう」に続く言葉は「泣くのではなく、喜べ」

 その通りです。

 「名誉」の戦死ですから喜ばなければいけない、自分の子が名誉の戦死をすれば「軍国の母」として栄誉を与えられるのですから。
「軍国の母」(作詞:島田磬也)より
こころおきなく祖国のため 名誉の戦死頼むぞと 涙も見せず励まして 我が子を送る朝の駅

散れよ若木のさくら花 男と生まれ戦場に 銃剣執るも大君のため 日本男児の本懐ぞ

生きて還ると思うなよ 白木の柩が届いたら 出かした我が子あっぱれと お前の母は褒めてやる

強く雄々しく軍国の 銃後を護る母じゃもの 女の身とて伝統の 忠義の二字に変わりゃせぬ
「父よあなたは強かった」(作詞:福田節)より
友よわが子よ ありがとう 誉(ほまれ)の 傷の物語 何度聞いても 目がうるむ

あの日の戦に 散った子も 今日は九段の 桜花 よくこそ咲いて 下さった
 誰が我が子の死を喜ぶ人がいるのですか。本当に狂気じみた社会だったということを改めて振り返られなければなりません。

 靖国神社参拝をしている人たちの中で、どれだけ先の大戦が侵略戦争だったと考えているのでしょうか。侵略戦争と認めることは戦死した人たちの犬死にを認めるようなものという言葉も聞いたことがあります。

 安倍総理をはじめ、侵略の歴史を肯定する人たちによる靖国参拝は決して受け入れられるものではないのです。

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