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反日偏向報道の流通経路を解く

秘密保護法の件では一定の理解を示していた日経や読売も批判的なスタンスをとるなど、安倍総理の靖国参拝への批判は広範囲にわたっているように見える。

安倍内閣的な保守主義には一貫して反対している朝日も含めて、大手メディアの論調は割合似通っている。

各社の27日の社説の見出しを見れば、一目瞭然だ。

「靖国参拝がもたらす無用なあつれき」(日経)
「外交立て直しに全力を挙げよ」(読売)
「独りよがりの不毛な参拝」(朝日)

一言で言えば、「外交関係の優位性の喪失に対する懸念」である。

この地域(東アジア)の不安定要因は、結局は歴史問題を克服できない日本なのだという見方が、一気に広がりかねない。米政府が出した「失望している」との異例の声明が、それを物語る。(朝日)

日本は同盟国の米国と連携して領土・領海を守り抜かねばならない。この微妙な時機に靖国神社に参拝し、政権の不安定要因を自ら作ってしまったのではないか。(読売)

21世紀はアジアの世紀といわれる。アベノミクスでも掲げた「アジアの成長力を取り込む」という方針に自ら逆行するのか。経済界には首相への失望の声がある。さらに心配なのは日米同盟への影響だ。在京米大使館は「米政府は失望している。」との異例の声明を出した。(日経)

以上のように詳細を読むと、「日韓、日中関係の悪化を起点に、米国との連携にも支障をきたすとなると、日本は孤立し、外交上の優位性は保てなくなる。」という懸念が共通した論調として見られる。

状況証拠はそろっている。

例えば、中国の一方的な防空識別圏(ADIZ)設定問題に対し、日米両国の対中政策は完全に一致しなかった件。=日本が民間航空各社に飛行計画を中国側に提出するのを見合わせるよう要請したのに対し、米側は「一般論として外国の航空情報に合わせることが望ましい」との緩やかな対応にとどめた。

12月19日付で外務省が発表した米国での世論調査で、「アジア地域で最も重要なパートナー」としての地位は、日本(米国一般人35%、米国有識者39%)、中国(米国一般人39%、米国有識者43%)と95年以降、日本と中国の数字が逆相関の関係を継続している件。

もっとも、日本に対する信頼度は一貫して極めて高水準なので、「パートナーとしての中国」は「新しい大国間関係のモデルの相手」(by ライス大統領補佐官)との意味合いであって、同盟国としてのそれではないが、今回の靖国参拝はその「モデル」に不安定要素を与える愚行である、との認識が米側にはあるだろう。

さて、焦点を米側の対日観に当てた場合、当然、日本の大手マスコミよりも米国の大手マスコミの影響力(論調)に目を向けねばならない。

今朝配布された「選択」の1月号に「危ない」記事が掲載されている。

日本の右翼が泣いて喜びそうな陰謀論であるが、信ぴょう性はそれなりに高い。
「米国でも保守より(親日/反中国的)と言われるウォールストリートジャーナル(WSJ)で「反日報道」が近頃盛んなのは、WSJ日本支部の女性記者が「朝鮮日報」のような記事を立て続けに配信しているからである。」
とし、
「発行元のダウ・ジョーンズ社の営業体制が日本と韓国共通であることから、韓国のナショナリズムに毒された、日本名を名乗る日本国籍を持つ人々の影響が偏向報道に現れている」
と結論している。

具体的に引用する。
「一連の偏向記事は大きく分けて①東アジア情勢②それ以外の二パターンだが、「東アジア情勢」の記事では、韓国は徹底的に「被害者」「弱者」「抗議者」として描かれ、日本はその逆に描かれている。「それ以外」では、日本が嫌がりそうなテーマを強引にでも差し挟んだ記事が日常的に見られる。

例えば、「駐日大使にケネディ氏起用:7/25 関口」の記事では「中国や韓国を歴史問題で怒らせている微妙なタイミングでの就任」とし、「安倍首相、国連演説で女性重視表明:9/15 関口」の記事では記事の半分が「従軍慰安婦問題」になる。さらに「安倍首相訪英時のスピーチ:6/20 林」の記事では、スピーチテーマになった高橋是清に触れて、「高橋是清の財政削減目的の一つは軍備増強だった」とつなげる。「東南アジア諸国連合加盟国との特別首脳会談:12/17 関口」の記事に至っては、「七三一部隊」の話を差し込む。

どう関係があるのか。

これが全世界に向かって連日報道され、サブリミナル効果を生む。
また、これらの記事で日本語版がある場合、該当部分が訳されていないことが多い。二人の記者の記事内容から編集や媒体選びまで偏った報道姿勢は常態化している。

日韓関係についてこれだけ報じる中、「韓国の反日教育」「対馬仏像盗難事件」について、東京・ソウル支局ともに報じていない。韓国政府に対する批判記事は東京からもソウルからもほとんど出ない。」
世界に発信されるニュースの元ネタがどこから出ているのかは、「エンターテイメント=快楽」としてニュースが消費される現代では極めて重要であろう。

快楽(カタルシス)を得るためには「負けそうなのに容易に降参しない小悪役」が必要だが、その役割は誰もどの国もなりたくない。

蛇足①
もし、関口記者や林記者が韓国ナショナリズムに凝り固まった在日韓国人で意識的に偏向記事を配信しているのだとしても、問題なのは彼女らではない。問題はそういったバランスを欠いた記事をスクリーニングできない支局の編集部にある。なんとなれば、彼女らは自分の仕事をしているだけであり、仮に外されたとしても、編集部が同じなら同じような記事が違った人物の手によって供給されるからだ。

蛇足②
そう考えれば、結局、根本的な問題は日本人の国際的な人的資源不足に尽きるのかもしれない。エンタメとしてのニュースを国際的に流通させるために必要な人的資源がない。影響力がない。今の状況が続けば、日本は「弱っているが降参しない悪役」のアクターとして盛大な演技を続けることになるだろう。

いや、何をしても演技になってしまう、と言ったほうがいい。

そう言う意味で、靖国参拝は非の打ちどころのない大演技だったと言えよう。

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