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「富国」から「富国強兵」への転換を目指す安倍内閣~田原総一朗さんに「2014年の政治」を聞く

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安倍首相の「積極的平和主義」に野党がどう立ち向かうのか

2014年の政治のテーマとして、もう1つ大きいのは、安倍首相が目指す「積極的平和主義」への転換だ。

先日、国連PKOにからんで日本の自衛隊が韓国軍に銃弾を送ったことが明らかになった。これは、今までの武器輸出三原則ではありえなかった。これまでは、基本的に武器を輸出しないとしていたからだ。その直前、安倍内閣は防衛大綱の見直しを閣議決定し、武器輸出を認める方針へと舵を切った。

これは、安倍首相が打ち出す「積極的平和主義」の現れと言ってよい。積極的平和主義ということは、いままでの平和主義と違うということだ。

実は、短命に終わった第1次の安倍内閣では「戦後レジームからの脱却」という言葉が使われていた。今回の第2次安倍政権では、慎重にこういう言い方をしていないが、安倍首相が戦後レジームの転換をしようと思っているのは確かだ。

「戦後レジームからの脱却」とは何か。それは、「富国」から「富国強兵」への転換ということだ。これまでの戦後日本は、「富国」の一点張りでやってきた。しかし、戦後レジームを転換するということは、戦前の日本のように、「富国」に加えて「強兵」も入れるということ。自衛隊を強くするということだ。安倍首相にしてみれば、「日本を『普通の国』にするだけだ」と言うのだろうが・・・。

そのために、憲法も改正しようとするし、集団的自衛権も認めようとする。安倍さん流にいうと、これまでの日本は「戦えない国」だったが、これからは「戦える国」にするのだ、と。この姿勢について、朝日新聞や毎日新聞は、「戦争する国」になる危険性があるというが、それはちょっと違うと思う。

日本を「戦争する国」にするのではなくて、「戦える国」にするということだ。これまでは自衛隊が法律でがんじがらめになっていて、何もできなかったが、その呪縛を解いて「戦える国」にしようというわけだ。ただ、非常に微妙な問題であることは確かで、かつてのような「戦争する国」になってしまう危険性がないわけではない。

安倍首相は口には出していないが、「戦後レジームからの脱却」を目指している。まさに、それを示すかのように、政権発足1年目という節目の日に、靖国神社に参拝した。この安倍首相が目指す「積極的平和主義」路線に、野党がどう対抗していくのか。それが、2014年の大きなテーマだ。

プロフィール

画像を見る田原総一朗(たはら そういちろう)
1934年、滋賀県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業、岩波映画を経て、東京12チャンネル(現テレビ東京入社)。フリー転進後は。テレビ朝日系『朝まで生テレビ!』『サンデープロジェクト』でテレビジャーナリズムの新しい地平を拓く。現在早稲田大学特命教授として大学院で講義をするほか、「大隈塾」塾頭、雑誌『オフレコ!』(アスコム)の責任編集長も務める。1998年ギャラクシー35周年記念賞(城戸賞)を受賞。2010年4月よりBS朝日にて「激論!クロスファイア」開始。今年、夏の甲子園に母校・滋賀県立彦根東高等学校が初出場。無料メールマガジンも公式ページで展開中。

田原総一朗 公式サイトTwitter


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