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改憲の足音

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「大阪歯科保険医新聞」に今年(2013年)10月から今月(12月)にかけて7回連載で、改憲問題について私の原稿が掲載されました。
タイトルは「改憲の足音」とつけていただきました。

原稿執筆回数も1回分の執筆分量も限定されていましたので、書き足りないところもありましたが、安倍改憲の本質的なことは書くことができました。

安倍首相は靖国神社に参拝を強行しました。
これは、自分の目指す改憲が実現すれば確実に日本人に死者が出ることを自覚した結果でしょう。
来年(2014年)安倍首相・政権は、今年以上に憲法破壊で暴走しようと思っているわけですから、それを阻止するための運動に少しでも役に立っていただければ、との思いから、以下で、「大阪歯科保険医新聞」の7回連載原稿をそのままご紹介します。
改憲の足音①
改憲は専守防衛」のため?  憲法解釈で「目的」達成済み

1945年政府は、軍国主義との決別を求める「ポツダム宣言」を受諾。そのため、戦前の憲法(大日本帝国憲法)を否定して、日本国憲法が「制定」された。憲法第9条は「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使」を「永久に」「放棄」し、「陸海空軍その他の戦力」を「保持」せず、「国の交戦権」を「認めない」と定め、前文で平和的生存権を保障している。
保守勢力は、これが気に食わないため、日本国憲法がアメリカ占領軍の「押しつけ」だとして「自主憲法制定」を求めてきた。だが改憲の「国会発議」に必要な衆参各院で「3分の2以上」を確保できないため、明文改憲が実現できなかった。
安倍晋三自民党総裁・首相は改憲に意欲的だ。国会では改憲政党が圧倒的であるため、改憲の実現能性は高まっている。

では、安倍氏が意気込んでいる改憲は「専守防衛」のための改憲、「自主憲法の制定」なのか?
しかし歴代の自民党政権は、“どのような国家でも自衛権を有し、その自衛権を行使するための必要最小限の実力(自衛力)は、戦力の保持を禁止した憲法9条の下でも許される”“自衛隊は専ら外国の武力行使に備えたもの、すなわち「専守防衛」のために存在するから「合憲」である”と言いくるめてきた(「解釈改憲」)。つまり「専守防衛」のためなら、すでに目的は達成しているである。

安倍自民党総裁は、今年2月15日、党本部で開かれた憲法改正推進本部の会合で講演し、北朝鮮による拉致被害者の横田めぐみさんを引き合いに出し「こういう憲法でなければ、横田めぐみさんを守れたかもしれない」と改憲の必要性を訴えた。

だが、拉致被害者は日本人だけではない。軍隊を保有する外国の人々も拉致されているので、これは改憲の本音ではない。

実は、その会合で、安倍総裁は、自衛隊について「自分を守る利己的な軍隊だとの印象がある」として、自民党が衆議院総選挙の公約で掲げた「国防軍」創設の必要性を訴えたという。つまり、9条改憲は「専守防衛」のためではないのである。

「大阪歯科保険医新聞」1152号(2013年10月15日号)掲載
改憲の足音②
9条改憲の思惑は? 集団的自衛権の合憲化狙う


先回、9条改憲の目的が「専守防衛」のためではないことを確認した。では、自民党など改憲政党は何のために9条を改憲したいのか。

その一つは「集団的自衛権の行使」である。「集団的自衛権」は、「自衛権」と表現されてはいるが、いわゆる自衛権(個別的自衛権)とは異なる。

ある国家Xが日本の同盟国アメリカに対し武力攻撃し、アメリカが(個別的)自衛権を行使し、日本に協力を求めた場合、日本は武力攻撃を受けていなくてもXに対し武力攻撃する。これが「集団的自衛権の行使」である。

日米安保条約は、日本国とアメリカ合衆国が集団的自衛権利を有していることを確認し、「いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくする」と一方的に認め、集団的自衛権の行使を認めている(前文・第5条)。

だが、ここでは「憲法上の規定及び手続に従って」行使すると定められているため、日本国憲法が集団的自衛権行使を許容している必要があるが、日本政府は従来「集団的自衛権の行使」は「専守防衛」の枠を超えるから「憲法の認めている所ではない」(つまり違憲)との立場なのである。

アメリカは「日本が集団的自衛権を禁止していることが、同盟関係の足かせになっている」(米国防大学国家戦略研究所特別報告『合衆国と日本』2000年10月11日)として日本に「集団的自衛権の行使」を求めているので、日本でも9条改憲が目論まれているのだ。

ここで注目すべきことがある。自民党の「日本国憲法改正草案」(2012年4月27日)は戦力の不保持と交戦権を否認した日本国憲法第9条第2項は削除したうえで、自衛隊を「国防軍」にし、「自衛権の発動を妨げるものではない」と定めているものの、「集団的自衛権」の文言がないことである。だが、自民党「日本国憲法改正草案Q&A」は「『自衛権』には……集団的自衛権が含まれている」と説明するとともに「自衛権の行使には、何らの制約もないように規定しました」と解説しているのである(Q8の答)。

「大阪歯科保険医新聞」1153号(2013年10月25日)掲載
改憲の足音③
地球規模でアメリカの戦争に参加!


前回、9条改憲の第一目的が「集団的自衛権行使の合憲化」であることを確認したが、さらに確認しなければならないことがある。日米安保条約では集団的自衛権を行使する領域が「日本国の施政の下にある領域」(すなわち日本の主権が及ぶ領域)に限定されていたが、日米両国は1996年の「日米安保共同宣言」で「地球規模の問題についての日米の協力」を約束し合い、集団的自衛権を行使する領域を地球規模にまで(つまり地球の裏側まで)拡大したことだ。

ところで、第一次安倍内閣で設置された有識者会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の報告書(2008年6月24日)は集団的自衛権行使を強引に認めていたが、その際に例として挙げていたのは2類型。

だが、第一類型の「共同訓練等での公海における米軍艦艇の防護」は、自衛隊が攻撃されず米軍艦艇が攻撃されることを前提にしているが、現実には米軍艦艇だけが攻撃されることはありえない。

また、第二類型の「米国に向かうかもしれない弾道ミサイルの迎撃」は、日本政府の答弁書でも「技術的に極めて困難」と断定しているし、また、集団的自衛権行使の前提であるアメリカの日本への協力要請を待っていたのでは日本の迎撃は時間的にも不可能である。

つまり、有識者会議の報告書は非現実的なことを例にして集団的自衛権行使を許容しているのだ。

その上、約4年7カ月ぶりに再開(今年2月8日)された有識者会議の座長代理である北岡伸一・国際大学学長は、今年8月共同通信のインタビューを受け、集団的自衛権を行使できる対象は「(日本と)密接な関係にある国が攻撃を受け、日本に被害が及ぶとき」と定義し、「(石油輸送のための)シーレーン(海上交通路)は日本の生命線だ」から「仮にシーレーンを守っているどこかの国の船が近くでやられたら、日本に重大な影響が及ぶと考えてもいいのではないか」と答え、アメリカ以外の国のためにも集団的自衛権行使を容認する、というのである。

「大阪歯科保険医新聞」2013年11月5日号掲載

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