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焦点となるJAL四〇〇〇億円の法人税未払い――自民党税調の議論が大詰め - 野中大樹

 膨大な利益を上げながら日本航空(JAL)が税金を一円も払っていない問題で、来年度の税制改正に向けた自民党税制調査会の検討が大詰めを迎えている。消費税増税時の軽減税率導入や自動車関連税の見直しなどが俎上にあがったが、特に焦点となっているのがJAL法人税未払い問題に直結する会社更生法の特例「繰越欠損金制度」だ。

 同制度上では、黒字(課税所得)が出ても前期以前での赤字(欠損金)があればその数字と相殺できることになっている。そのため、かつて約一兆円の債務超過に陥ったJALは、二〇一〇年度に一八八四億円、一一年度に二〇四九億円(史上最高益)、一二年度にも一九五二億円の営業利益を上げているにもかかわらず、法人税を払わずに済んでいる。JALの場合、この繰越欠損金を一八年度まで利用できるため、そのかんに免除される法人税の試算総額は四〇〇〇億円にものぼる。

 羽田空港の国際線発着枠(来春から拡大)について全日空(ANA)は一一、JALが五と「傾斜配分」することを国土交通省が決めたことで一時訴訟までちらつかせたJAL。だが、今年九月中間期ですでに九〇〇億円の連結経常黒字を出しており、これはANAの約三倍にもなる。

 一一月七日の財政金融委員会で、自民党税制調査会幹事の西田昌司参議院議員は、麻生太郎副総理に対しこう詰め寄った。

「事実上倒産した会社がなぜ圧倒的黒字なのか。(中略)毎年二〇〇〇億円入ってきているのに(法人税を)払わないというのは再生計画でも想定していなかった。会社更生法と公的支援のダブル適用を受けた企業については損金算入させない(制度にすべきだ)」

 また、一一月二〇日に自民党本部で開かれた航空政策特別委員会でも、西田氏はこう訴えた。

「(JALは)企業再生により大きな利益を上げる会社になるも、『超過利潤』と言わざるをえない状況だ。国民負担分を返してもらわないといけない」

 西田氏のいう「国民負担分」とは、JALに投入された公的資金を指している。JAL再生の“立役者”として京セラ元会長の稲盛和夫氏がもてはやされているが、JALの好業績は果たして同氏の手腕によるものか。二〇一〇年末の大量解雇は正当なものだったのか。

 通常、会社更生法を申請する航空会社は燃料の調達も困難になるほど“死に体”と化す。しかしJALは公益性が高いという大義の下、国が支援する形で再生されることになった。企業再生支援機構が三五〇〇億円の出資をし、銀行団は約五二〇〇億円の債権放棄を受け入れた。さらに、公益性が高い事業にもかかわらず、JALは地方の不採算路線を切り捨ててきた。

 これらのことについて稲盛氏は、『朝日新聞』(六月一八日付)のインタビューで、本人がかねがね主張している競争の大事さと、政府の厚すぎる支援は矛盾しないかと問われ「政府が決めました」と答えている。切り捨てた地方路線については「余裕がある時には、お引き受けすることもあるかもしれません。ただし、ずるずるいってしまうと体力を消耗する」。

 企業再生支援機構は官民出資ファンドだが、その主な目的は地方の中小零細企業を後ろ支えすることで国民の雇用を守ることにある。ところが同機構の最初の事案がJALであり、その次が京セラの関連会社ウィルコムだった。同機構は今年四月から地域経済活性化支援機構へと衣替えしているが、事業の実態が公益性に適っているのか注視が必要だ。

 JALは今年六月、新たな株主に一株一九〇円で計約三二四億円の配当を出した。被災地へ向けた復興法人税の廃止が前倒しされようとするなか、好業績をつづけるJALが法人税未払いのままでよいのか。少なくとも国民が負担した分は国庫に返納すべきだろう。

 自民党税調は年内にも税制改正の検討結果をまとめる。過度な規制緩和でJALを倒産に追い込んだ国交省のオープンスカイ政策も含めて、再検討が必要だ。

(野中大樹・編集部、12月13日号)

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