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地方の財産は“人”であり、その繋がりを創り出すのもまた“人の生きがい”

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OB・OGとアドバイザーからの言葉

今回の修了報告会では、各グループのプレゼンがひと通り終了した後、OB・OGとアドバイザーが助言をする「ネクストステップセッション」という時間が設けられていました。

既に1年以上地方と向き合ってきた方たちのお話は、受講生とはまた違った重みがあったので、一緒にご紹介しておきます。

最初は「この町絶対にイケる!」という自惚れた錯覚から始まる。

一番印象的だったのが、アドバイザーの方からのこのお言葉。
「地域イノベーター養成アカデミー」に参加するということは、日本の地方に興味があるということであり、期待度も高く、最初はかなりテンションが高い状態である。

受け入れ先の人々も、東京から若い人がやってくるというので、気合を入れて美しい風景や、とびっきり美味しいもの、面白い人達にも会わせてくれたはず。だから「この町は絶対にイケる!多くの人が訪れるような地になる!」という自惚れた錯覚を起こしやすい。

しかし、過疎の町にはやはり過疎になるだけの原因があって、その原因をしっかりと突き止めないと何も始まらない。
受講生たちのキラキラした目で真剣に語られるプレゼンを聞いていると、「どうしてこんなに素敵な町が、過疎の町となってしまっているのだろう?」と不思議に思ってしまうのですが、アドバイザーの方が言うように、そこには必ず長年蓄積されてきた解決し難い問題があって、その解決というのは一筋縄ではいかないものなのだろうなと。

良い意味で現実に引き戻されるような助言だったと思います。

地方との継続的な関わりを持つことが、何よりも重要である。

これはあるOBの方の発言だったのですが、「どれだけ素晴らしい提案をしても、変化を好まない人が多い地方では、すぐには何も変わらない」ということ。

やるやると言いながら、自分たちが東京に戻ってきてしまうと、すぐに忘れてしまい結局やらなくなるのが地方の方たちの特徴であると。

継続的に足を運ぶことによって、「またあいつらがくるはずだから、前回約束したことをやっておかないとヤバいな!」と思ってもらうことで、徐々に町が変化していくのだそうです。

この助言も、しっかりと地方と向き合ってきた経験者ならではの視点であり、非常に有益なアドバイスだと感じました。

このイベントを通しての個人的な意見

総じて非常に良い修了報告会だったのですが、各グループのプレゼンを聞いて、個人的にいくつか意見も持ったので、その点について最後に少しだけ言及しておきたいと思います。

ターゲットが曖昧である。

どのグループも、共通のミッションとして「居住者を増やしたい」「観光客を増加させたい」ということを挙げていました。

しかし、どのグループの話を聞いていても、その“ターゲット”が非常に曖昧なんです。

話を聞いている限り、漠然と“日本人”と想定しているようなのですが、日本人でも学生のように、お金はないけど行動力がある人達もいれば、高齢者のように、お金が多少かかってもいいからゆっくりと過ごしたいという人達もいるでしょう。

三重県・尾鷲市は、「熊野古道」という世界遺産を有しているわけで、それをどう活かすべきかという課題の中で、世界遺産というブランドは存分に活かすべきはずです。

世界遺産であれば、海外からの観光客も狙うことは十分可能なはずですし、特産品がヒノキなので、海外の方が欲しがるような超日本らしい商品も作ることも可能でしょう。

しかし、そういった提案はなく、日本人が“平均的に”喜びそうな「ヒノキの灯籠」で町を照らすことだったり、お土産として「ヒノキプロダクツ」という角の立たない提案となってしまっていたのは、少し残念だったかなと思います。

海外の富裕層に気持ちよくお金を使わせるような施策

これは全体を通して言えることですが、日本の伝統工芸品を改良し、細々とした雑貨で提案しているグループが非常に多かったです。しかし雑貨なので、使える金額には限度があります。

中国や東南アジアで、観光客が行くようなショッピングモールに足を運んでみるとよく思うのですが、「こんなに高いもの誰が買うの!?」というような日本人の感覚からすると絶対にあり得ないお土産がたくさん並んでいます。

もちろん、置いてあるということは需要もあるわけで、一定層の観光客にはしっかりと売れていきます。海外の富裕層にとって、旅行先というのはイチバンお金を使いたくてたまらない状況なわけですから、こういったものを作るのも1つの施策となり得るでしょう。

日本を訪れ、「日本の伝統工芸品は素晴らしいから、とにかく良い物を買って帰りたい!」という外国人観光客がいるのにも関わらず、お金を使う機会を与えないというのは、お金を落としていって欲しい地方側にとっても、非常に勿体無いことだと思います。

ターゲットを明確にすることで、こういった層にも訴求できるようなモノを提案していく事ができるので、やはりターゲットの設定は非常に大切な事ではないかと感じます。

SNSなどネットを使った戦略

今回僕がプレゼンを聞いた中では、どのグループもSNSやウェブメディア・スマホアプリなど、ネット上で行う施策は1つも提案していませんでした。

地方の人に取り組んでもらうことを考えると、ネットを使った施策は困難であると考えているのかもしれませんが、今の環境であれば、その地にいなくともネット上のコンテンツを定期的に更新していくことは十分に可能です。

やはり、ニッチなコンテンツでも興味がある人達へは確実に届いていくのがネットのメリットなわけですから、これを活かさない手はないと思います。さらに、これからはそのようなネット上の「場」づくりも非常に重要になってくるはずです。なので、この辺も是非挑戦して欲しいと思いました。

おわりに

いくつか意見を述べさせてもらいましたが、総じて本当に良いイベントで意義のあるプログラムだと思います。

アドバイザーの船木成記さんが、最後にこのイベントに関してとても素敵な事をおっしゃっていました。
このイベントは、養成アカデミーとあるように、大学のようなものである。

各グループは大学のゼミのであり、互いに切磋琢磨して、横のつながりも大切にして時に助け合い、時に刺激し合いながら日本の地域に貢献していって欲しい。
この「地域イノベーター養成アカデミー」は今年で4年目を迎え、毎年40人前後の生徒を輩出してきているらしいので、既に160名あまりの受講生がこのプログラムを修了していることになります。

これからさらに受講生が増えていけば、ここで生まれた新たなつながりが日本の地方を変えていくということも十分に起こり得ることでしょう。

「今の仕事になんとなく満足できていない自分がいる、でも仕事を辞める勇気はない。」そんな方はまずこのプログラムに一度参加してみることをオススメします!

今まで気が付かなかった、“生きがい”のようなものがここで見つけることができるかもしれません。

(取材協力:日本財団)

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