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AIJ前社長、懲役15年のもつ意味 被害額248億円と年金喪失

 2013年12月18日、東京地裁は、AIJ前社長の被告に対し、被害額248億円を認定し、懲役15年、追徴金約156億9000万円、没収約5億6000万円(但し、追徴金は他の被告とともに)という判決でした。
 実際に追徴金を払えるとは思えませんが、それはともかくとして、被害額248億円に対し、懲役15年です。

 詐欺罪に問われたのがこの248億円ですが、全体としては1092億円を喪失されたとされています。
 刑事責任が問われたのが3人ですが、実質この3人で1092億円を喪失させたというのですから、驚きです。
 大勢の年金が消えてしまった…
 日本経済にとって大きな損失ということは言うまでもありません。
 とてもではありませんが、248億円という額は、15年間にどうがんばっても稼げる額ではありません。生涯掛けても無理です。
 懲役15年とはその程度の期間だということでもあります。
 これが北朝鮮であれば経済政策の失敗ということで死刑ということになるのでしょうが、さすがに経済政策の失敗で死刑というのはいかにも野蛮です。
 今回の場合は故意犯ですが、これに対する制裁が懲役15年ということであれば、かかる犯罪の抑止になりうるのかは疑問です。
 かつてヤミ金犯罪が多発していた時期がありましたが、数億円などの被害を与えても結果、5年から10年で出られるとすれば(これでも重い方です)、全く抑止にはなっていませんでした。最初から犯罪集団のヤミ金ですから、この程度の刑罰では抑止になり得ないのは当然といえば当然なのです。それこそ無期懲役まで厳罰化すればヤミ金犯罪(現在ではオレオレ詐欺、投資詐欺)も減ることでしょう。彼らに対しては、被害額の大きさからしても、抑止の観点からもこのような厳罰化こそが必要なのです。

 ところが、今回のAIJの事件は、最初からの犯罪集団ではありません。泥沼にはまって後戻りできなくなったということが大きな原因です。
 しかもこのAIJは投資顧問業として登録された業者ですが、国の監督などほとんどなかったかのごとくです。
 これだけ大きな損失を与えてしまってはもはや被害の回復などできようはずもないのに、事実上の野放しです。
 虚偽報告が犯罪になると言ってみたところでもはや何の抑止力にもなりません。何とか損を取り戻そうとする姿は、賭博行為そのものであり、損失を取り戻そうとする人にとってはその程度の形式犯に対しては、損失さえ取り戻せれば何とかなるという発想になりがちですから、何の抑止の意味もないのです。
 こんな賭博集団に資産運用が任されている、国がそれを認めてきたということの方が重大なのです。
 年金基金のような莫大な資金が賭博行為によって消えていくようなもので、このような制度となっていること自体を改めるべきです。
年金基金の投資・運用は年金を破綻させるだけ
 投資顧問のような存在を「懲役15年」で粉飾や虚偽報告あるいは詐欺を防止できるはずもなく、それはまた回復できない被害の発生を黙ってみているだけということと全く同じなのです。

 この事件を通して日本が失ったものの大きさを今一度、考え直すべきでしょう。それはAIJ前社長の被告を「懲役15年」にするというだけで済む問題ではないということです。

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