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論説委員くらいなら、自分でもできそうだ

新聞・書籍・雑誌に軽減税率適用を 新聞協会が声明(朝日新聞)
 日本新聞協会(会長=秋山耿太郎・朝日新聞社会長)は15日、新聞、書籍、雑誌には消費税の軽減税率を適用するよう求める声明を公表した。

 声明は、知識への課税強化は国の力を衰退させかねないこと、欧州では民主主義を支える公共財として新聞などの活字媒体には課税しないという共通認識があることを指摘した。その上で民主主義社会の健全な発展と国民生活に寄与する新聞を、全国どこでも容易に購読できる環境を維持することが重要であるとして軽減税率の適用を求めた。
 ……とまぁ、これは今年の1月の時点での報道ですが、当時は朝日新聞社の会長が会長職を兼務していた日本新聞協会が新聞などへの軽減税率適用を求める声明を出していたわけです。これは逆進課税原理主義者のみならず、消費税に反対している人々や軽減税率に肯定的な人々からも囂々たる反発を買っていたものと記憶していますが、まぁ新聞を含めたメディアへの軽減税率は優先的に適用されるべきではないでしょうかね。

 朝日新聞や各種の自称経済誌を筆頭に粗悪な報道も目立ちますけれど、そうしたメディアへの批判もまた大元を辿ると新聞社等の取材が端緒になっているのが常です。偉そうに新聞など不要と豪語しておきながら、情報源を新聞に頼っている人は数限りなくいる、むしろそれが「普通」です。社説や論説などの新聞各社の主張はゴミでも、何かを論じるに当たって題材となる大元を取材してくる専門家の必要性がなくなることは決してないでしょう。朝日新聞は紛れもない糞です。でも、ネット上で持ち上げられている論者が新聞社に代わって諸々を取材してくれるわけではありません。新聞の必要性が消えてなくなるのは遠い未来のことでしょう。
軽減税率―増税の趣旨を忘れるな(朝日新聞)
 それだけ、軽減税率には課題が多い。

 まず、所得が多い人まで恩恵を受け、税収が目減りする。社会保障と税の一体改革の手直しが避けられず、社会保障が手薄になれば、低所得者への対策がかえって弱まりかねない。

 適用する商品やサービスの線引きも難しい。海外でも「店で食べるか持ち帰りか」など、区分けに苦労している。混乱を避けようと対象を広げると、税収減が大きくなる。

(中略)

 取引ごとに、適用される税率や税額を記した書類(インボイス)を導入することだ。中小業者は事務が繁雑になると反発するが、税率が複数になれば欠かせない。

 消費者には、負担した消費税の一部が業者の手元に残る「益税」への不信がある。インボイスは、取引の透明性を高めることにつながる。
 しかるに、朝日の社説では毎度のミスリーディングを書き連ねて軽減税率に明白に反対しているわけです。会長と論説委員の対決でも載せて欲しくなるところですね(恒例の「悪しき両論併記」になりそうですが)。それとも朝日新聞的には「軽減税率には絶対に反対だ、ただし新聞は除く」ということなのでしょうか。朝日新聞で自家撞着なんていつものことですから、そんなものを気にしても仕方がないのかも知れません。

 上記引用の作文では、軽減税率は区分けが難しい云々とダメ出ししながら、その直後には「事務が繁雑になる」との中小事業者の反発を無視してインボイスを導入せよと迫ります。朝日新聞的には軽減税率区分けはダメな煩雑さ、インボイスは良い煩雑さのようです。まぁ価格転嫁が難しい中小事業者の悲鳴を蔑ろにして消費税増税を説いてきた朝日新聞社なのですから、その辺に負担を押しつけるのは何とも思わないのでしょう。

 順序をさかのぼりますが、「所得が多い人まで恩恵を受け」云々は、それこそ経済誌並みのバカげた誤魔化しです。大事なのは所得が「少ない」人が、その収入に応じて高い「割合で」恩恵を受けることにあります。加えて「税収が目減りする」とのこと。しかるに日本の税収に占める消費税の比率は、5%の段階で既に消費税率が高いとされるヨーロッパ各国と比べても大差ない水準にあるわけです。これが軽減税率なしの10%に引き上げられれば、日本は世界でも類を見ないウルトラ消費税依存国家になってしまいます。

 日本の税収が不足しているのは十数年間の長きにわたって経済政策が根本的に誤っていたこと、デフレ不況を放置してきたことにありますし、徹底した分離課税によって本当の高所得者から税を徴収できていないことにもあると言えます。朝日新聞社社員のように「単に給与所得が多いだけ」の人からなら多少は所得税を取れても、「資産家」からはロクに徴税できない、こういう仕組みを改めて総合課税へと移行することの方が先決なのは誰の目にも明らかではないでしょうか? まぁ、ブルジョワ新聞の雄たる朝日新聞としては絶対に守りたい人々がいるのかも知れません。

 GDPには「実質GDP」と「名目GDP」と呼ばれるものがあるわけですが、名前だけを見ると「実質」が大事で「名目」は字義通りに名目的なものみたいな印象を受けると思います。もちろん「名目」GDPの停滞が「実質」上の日本経済に及ぼしてきた影響は少なくなく、まぁ「字面に惑わされないように」とでも言うべきでしょうか。同様に、法人税の「実効税率」という言葉も良くないと思うのです。これまた名前だけを見ると誤解しやすい、あたかも「実際に払う税率」に見えてしまうのではないかと。そこで正しく理解されやすいように表記を改めてはどうでしょう、すなわち「額面税率」と。実効税率とは額面の税率に過ぎない、実際に支払う税率ではないのですから。

 結局のところ、消費税とは裏腹に引き下げの相次ぐ法人税は元より穴だらけで額面よりも遙かに低い率でしか徴税できておらず、その減少幅は消費税による税収をほぼ単独で食ってしまっているわけです。そして今回の消費税増税においても然り、消費税増税が確定的になる中で法人税は額面すらもが引き下げられ、消費税増税による税収を食いつぶすことが既定路線となっています。今後とも、消費税増税を財源とした法人税の引き下げは続くことでしょう(そしてフランスのように法人税が低い分だけ社会保障費の雇用者負担が多くなることもない、と)。消費税増税はあくまで法人税減税の穴埋めであって、社会保障目的使われてきたのではない、その実績は記憶されなければなりません。
 軽減税率をめぐる自公両党の駆け引きを見ていると、今後、消費税率10%への引き上げ自体を見送ろうという空気が政府・与党内で強まりかねない危うさを感じる。

 消費税の2段階増税は、社会保障を安定させつつ財政再建を進めるための一歩である。その趣旨を肝に銘じて欲しい。
 逆進課税に精神的な満足感を覚えているらしき朝日新聞は軽減税率に反対し、今後の引き上げの動きが鈍ることへの懸念を率直に表明しています。最後に思い出したかのように社会保障を持ち出して来るわけですけれど、消費税を上げても、それに応じて法人税が下がるだけ、社会保障には何の関係もありません。際限なく消費税増税を続けていけば、いつかその分が社会保障に回されるだろうなどと、何の根拠もなく夢想できるバカは新聞記者だけで十分です。国民は朝日新聞に騙されないよう、そっちを肝に銘じておくべきなのでしょう。

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