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列車の旅でもフードデリバリーを利用しよう。「TravelKhana」

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僕は地方出張のとき、密かに楽しみにしていることがある。

それはどんな駅弁を食べるか、ということだ。長旅の途中にその地方の食べ物が食べられるのは、ほっとするひとときである。飛行機での機内食もそうだ。

しかし、経費削減のために機内食もお金がかかる航空会社が増えた。某国の国内線で販売していたものはなんとツナ缶で、それを普通に買って食べていた隣の乗客の姿が、いまだに忘れられない。

僕は移動中でもなるべく食事を楽しみたい。それが温かければ最高だ。

そんなささやかな(いや、ある意味ぜいたくな)願いを叶えるサービスが、インド北西部にあると言う。名前を「TravelKhana」と言い、乗客からの注文を受けて、電車内に食事を配達してくれるフードデリバリーECサイトだ。

車内でもおいしいごはんを

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「電車を制するものは、インドを制す」と言われるほど、電車はインドを旅する上で欠かせない。

同国では飛行機の運賃が高く、主な利用者は富裕層や外国人に限られる。また道路の整備も遅れているため、街の人々の中距離・長距離の旅行にはもっぱら電車が利用される。

長い時間を電車内で過ごすことになるにも関わらず、同国の長距離列車には食堂車がついていないことが多い。食堂車を用意している列車は3000本のうち434本のみで、飲食は車内販売や駅のホームの売店、屋台、あるいは家から弁当を持参することになる。

一部の列車にはパントリー車と呼ばれる厨房車両が連結されており、調理された食事が車内販売されることがある。事前にボーイが注文を取りに来て、ベジタリアンかそうでないかを選択し、朝食はオムレツやトーストなど、昼食・夕食はカレー定食などが供される。

もっとも、列車で販売されている食べ物は味と衛生面の両方で問題がある。列車内で販売する食品を避け、家から持ってきた食物や、プラットフォームの売店に頼っている乗客も多いという。

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TravelKhanaの創業者、Pushpinder Singh(以下シン)氏も、列車内での食品の取り扱いの悪さを目の当たりにし、以来車内販売されている食物を食べることができなくなってしまった1人だ。

きっかけは、パントリー車の近くの座席に当たったときのこと。食事を担当する従業員が残り物を詰め直し、そのまま売ろうとしているところを見てしまった。トイレのすぐそばで調理器を洗っている者もいた。その光景を見て以来、シン氏は家から何かもってくるか、買うとしてもフルーツしか選べなくなってしまった。

「インドの電車でおいしいご飯を食べるなんてありえない話だった。この問題はどうしても解決したかったんだ」

シン氏の頭に浮かんだのは、デリバリーサービスによる出前のスタイルだ。家で出前を頼めるように、電車で気軽に注文し、美味しい食事を楽しめることができたら......と考えた。

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そこでシン氏は2つのレストランの提携を取り付け、デリーから南西にあたる都市、ジャイプルでTravelkhanaの運営を開始した。

一定の品質を確保するため、パートナーのレストランと共に徹底的に食事の品質、衛生面、包装、配達方法などをチェック。はじめはコールセンターで注文を受け、乗客にパンフレットを配って宣伝した。

やがてオンラインでの注文にも対応。さらにシン氏のひらめきで、鉄道チケットを売る旅行会社と契約し、チケットの裏側に同サイトの広告を印刷することに。ここまでターゲットが絞り込めている広告も、そうそうないだろう。

こうしてジャイプルで大成功を収めたシン氏は、余勢を駆って500キロほど東に位置するラクナウに進出する。しかし、そこでは以前のような成功を収めることができなかった。失敗の理由も見当が付かなかったという。

「僕たちにとっては大きな挫折だった。だけど結局、前を向いてビジネスを進めることにしたんだ」

原因が分からない挫折にも諦めず、前を向くことに決めたシン氏。その後12都市でレストランと契約し、30駅以上でサービスを提供することに成功。各都市で人気とともに扱える地域も広がっていき、同氏が下を向くこともなくなった。

現在Travelkhanaはインド北西部50駅に範囲を広げ、配達人は総勢約200人。2012年8月から2013年5月末までに4万5000食を配達し、10月には10万食販売を達成している。

サービスの利用方法は?

Travelkhanaでは、レストランやデリバリーサービスがお客からの注文を受け、最寄りの停車駅に食事を運んでいる。

顧客はサイト以外に、電話またはモバイルアプリからも注文できる。以下はサイトから注文する場合の例だ。

1.「出発駅」「降車駅」「出発日」を入力するか、予約番号を入力する。予約番号とは列車の予約時に鉄道会社から発行される10桁の番号のことで、こちらを入力する方がスムーズだろう。

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2.食事メニューを選択する。

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「玉ねぎとにんにくは抜きで」などのような希望も指定可能。店舗によって予約を受け付ける締め切り時間が異なるが、だいたい駅に到着する90~120分前まで受け付けしてくれる。

3. 停車駅に業者がスタンバイしており、座席まで届けるか、乗客がプラットフォームで受け取る。

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ここでひとつ、問題がある。インドでは列車には定められた予定の到着時刻があるが、必ずしもその時間に到着するとは限らない。そのため、正確に食事を提供できるかどうかが難関だった。

そこで同サイトは正確な配達時間を守るために、「Oyatri」と呼ばれるシステムを用い、走っている電車の現在位置や遅れをリアルタイムで把握した。各駅の停車時間を計算して配達人に知らせ、正確な時間に配達できるようなシステムを整えたのだ。

これにより動いている列車に食事を届けるという複雑な状況にも適応し、限られた時間の停車中にお客の座席に食事を届けることを可能にした。

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お客の方も「列車の追跡」をクリックすることで、乗車中の電車、あるいはこれから乗ろうとする列車の運行状況や利用可能な店が表示され、状況をリアルタイムに知ることができる。

また、自分のオーダーIDを入力することで、自分の注文の進捗も適時チェック可能。まさに宅急便の追跡サービスそのものだ。

創業当初は5%あった配達ミスも、システムが整った現在は、1%未満に改善されているという。

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