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「小泉元首相には自民党の人を勇気づけてもらいたい」~菅直人元首相の「脱原発論」

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菅直人元首相が12月12日、「脱原発」をテーマに、東京・有楽町の外国特派員協会で記者会見を行なった。2年9カ月前に起きた福島第一原発の事故に首相として対峙した経験を踏まえ、「原発ゼロが私の使命。原発のリスクの大きさをしっかり伝えたい」と、海外メディアの記者たちに語りかけた。(取材・構成・撮影:亀松太郎)


一歩間違えば、5000万人が避難していた

「2011年3月11日、東日本大震災に伴って発生した福島第一原発の事故で、最初に1号機がメルトダウンしたのはいつだったか。いまの検証では、地震が起きて5時間後、11日の午後8時にはメルトダウンが起きていた。

このメルトダウンは、1979年に起きたスリーマイル島原発事故のメルトダウンとは、全く異なっていた。スリーマイルでは、圧力容器の中で3分の1の燃料が水の上に出て、その部分がメルトダウンしたが、圧力容器の外には出ていなかった。

しかし、福島原発事故では、すべての水がなくなって、すべての燃料がメルトダウンした。その熱によって、厚さ20センチあまりある圧力容器の底に穴があき、圧力容器の外、つまり格納容器の底に、溶けた燃料のほとんどが落ちた。さらに、格納容器の底のコンクリートを削った。もしこの燃料が、格納容器の外にまで出ていたら、いま私たちはこの場所にいることができない。

その後、2号機と3号機も、メルトダウン、メルトスルーを起こした。一歩間違えば、東京を含む250キロ圏に住む5000万人が逃げなければならなくなっていた。そのリスクの大きさを、私は日本と世界のみなさんにしっかり伝えたい。

それを、総理を終えてからの私の役目とした。昨年暮れの総選挙でも、『原発ゼロが私の使命』ということだけを訴えた」

「神のご加護」があったおかげ

「原発事故が起きた当時、4号機の使用済み燃料プールに水がなくなっているのではないかということを、アメリカが非常に心配していた。しかし実際には、4号プールには水がいっぱいあった。

それは、なぜか。いまの検証によると、定期点検中の原子炉に水をいっぱい入れ、プールとの間の流路にゲートの板を下ろしていた。そのゲートが、3号機の爆発による振動で倒れたことによって、原子炉本体にあった水がプールに流れ込んだ。それで、プールの水がほぼ満杯になった。

この事故では、東電の現場や自衛隊、警察、消防のみなさんが命懸けで、ぎりぎりがんばってくれた。そのみなさんの力で、事故が5000万人が逃げるところまでは拡大しないで済んだ。それと同時に、この4号機のプールの例でわかるように、神のご加護があったおかげで、そこまでの拡大が防げたと、私は考えている」

海外に原発を輸出することのリスク

「総理退任後、国内外で、原発問題に関するいろいろな会合に出た。その一つ、今年の6月に出席したカリフォルニアの会について、簡単に申し上げたい。

サンディエゴの北にあるサンオノフレ原発が、放射能漏れを起こして停止していた。それを動かそうとすることへの反対運動が、地元の一般市民の間で起きていた。そこで、日本の原発事故に直面した総理である私に『現地へ来て、話をしてほしい』と要請があった。

そこでは、昨年7月までアメリカのNRC(原子力規制委員会)の委員長を務めたヤツコさんなど、何人かの専門家とシンポジウムを行なった。そのシンポジウムの3日後に、この原発を持っているサザンカリフォルニアエジソン社が、残った原発を廃炉にすることを決定した。

このエジソン社は、放射能漏れの原因となった蒸気発生器を納入した日本の三菱重工に対して、約4000億円の損害賠償請求を起こした。その金額には、蒸気発生器自体の価格だけでなく、それの影響による損害も含まれている。

つまり、海外に原発やその部品を輸出し、それによって事故や故障が起きた場合、契約で限定されたものを超えた損害賠償を請求されることが十分ありうるということだ。その実例がいま、実際に起きている」

小泉元首相に期待したいこと

「今日こちらに来る直前に、先日の小泉元首相の講演記録を改めて全部、読んでみた。彼が素晴らしいのは、フィンランドのオンカロ最終処分場に行くときに、電力関係者や原発関係者を誘って、一緒に行ったことだ。

日本における最強の組織ともいえる『原子力ムラ』の中枢をわざとオンカロに連れていって、『これを見れば、日本にこれ以上、原発を稼働させるべきではないとわかるだろう』と、その人たちに訴えた。大変すばらしいことだと、私は思う。

小泉元首相は『自民党の中でも、5割ぐらいは自分と同じような考え方だ』と言っているので、ぜひその5割の人に、言葉に出してそのことを発言するように、勇気づけてもらいたい。そう期待している。

私の知る限り、自民党の現職の国会議員の中で、原発ゼロを言っているのは、河野太郎さんと村上誠一郎さんの二人ぐらいしかいない。小泉元首相には、自民党のなかできちんと発言する人を増やしてもらいたい。それが、原発ゼロに向かう最も効果的な方法だ」

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