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「ニート株式会社」の気持ち悪さ

 先日、日本全国のニートからなる「NEET(ニート)株式会社」というモノが出来、12月10日に設立記者会見を開いたという。正直な処、第一印象でこのニート株式会社に感じるのは「気持ち悪さ」しかない。日本中のニート達が集まってその全員が取締役に就任した、ということらしい。搾取・被搾取の上下関係を造らないためだとか。この「ニートが集まれば文殊の知恵」みたいな起業話って、神山健治監督が『東のエデン』(2009)で既にやっているし、元をたどれば村上龍の『希望の国のエクソダス』(1999)とかで、もうさんざん出尽くしたネタだと私個人では思っているから、今更の感はある。

 ともあれ、このニート会社に感じる気持ち悪さというのは、同社の設立理念を謳ったこの部分。

「ぬるくて気だるい、成熟し閉塞した日本の社会を少しでも面白くしていくには、現状に違和感を抱きはみ出してしまったアブノーマルでマニアックな少数派が、新しいビジネスやワークスタイルを実験的に模索していくことが必要」(マイナビニュースより引用)

 彼らの言いたいことは分かる。しかし、彼らが最も勘違いしているのは、”成熟し閉塞した日本の社会”というのが自分たちの外側の、ここではない、どこか遠くに存在するもので、自分たちはその中に包摂されていない存在であるか、若しくはその”成熟し閉塞した日本の社会”の犠牲者こそが自分達である、という隠しきれないニュアンスが含まれていることだ。これこそがニート株式会社が抱える最大の矛盾であり自己欺瞞だ。

 何故なら、”成熟し閉塞した日本の社会”が産み出したものこそが彼らニートであり、”成熟し閉塞した日本の社会”の分身こそが彼らそのものだからである。成熟社会とか閉塞社会と、ニートは不可分ではない。彼らは戦後空間という日本のある種の成熟が産み落とした申し子そのものだからである。戦後レジュームの脱却を、戦後体制その物である自民党が声高に叫ぶのと同じかそれ以上に馬鹿げていて滑稽である。ニートは甘え、などというつもりはない。ただ、自分たちが成熟や閉塞の犠牲者だという考え方はやめてもらいたい。

<全員取締役>雇われたらニートではなくなってしまうので、雇用された従業員は一人もいない。

<全員平等>全員が平等に株主で、搾取する第三者はいない。

<本名を知らない>本名は知らせず、これまでの自分は忘れて、お互いにハンドルネームで呼び合う。

<楽しむ>すぐに儲(もう)かるか分からないことも、楽しければやる。あくまでニートらしく!

上記はニート株式会社の特徴とやららしいが、なんかここまで来ると原始共産制の臭いすらする。どうりで山本太郎や三宅洋平に投票する若者が多いわけである。彼らは、自らが成熟した戦後日本の病理の一部であり、そこと癒着していることを自覚するところから始められてはどうか。

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