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AmazonだけがECじゃない。米で始まったEC新時代

AmazonだけがECじゃない。米で始まったEC新時代

「より多くの品揃えで、より安く、より早く配達する」。Amazonのような大手ECサイトが資金力にものを言わせて流通網の拡充を急いでいる。もはやAmazonには対抗できないのだろうか。そんな中、米国では、大手ECサイトでは手を出せないニッチECの領域にベンチャー企業が挑戦し、成果を上げ始めた。大手とニッチ。EC事業の2極化が進む中で、今回は米国のニッチ事業者に焦点を当ててみた。

★スタイリストがお手伝い。アシステッドコマース

米国イリノイ州シカゴに拠点を置く男性向けファッションサイトのTrunk Clubは、男性向けアパレルのECサイトだ。体重、身長、ライフスタイルなどの詳しい情報をサイト側に提供すれば、150人からいるスタイリストがスカイプチャットやビデオチャットなどで相談しながら、あなたに合ったコーディネートを選んで、箱に詰めて郵送してくれる。典型的なコーディネートは、ジーンズ、靴、靴下、パンツ、セーターなど、全部で10品目前後。気に入らなければ何度送り返してもいいのだという。手数料は不要で、支払いは洋服の市販価格だけ。Trunk Clubはメーカーから安く仕入れることで、売り値とのマージンを収入源にしている。

Trunk Clubは、2009年12月にサービスインして以来、既に7万5000人のユーザーが登録しており、今年の夏には黒字化を達成した。従業員は約300人で、来年には売上高1億ドルを目指しているという。

コンピューターだけではなく、人手をつかって買い物を支援するECは、アシステッドコマースと呼ばれる新しいECの領域。米国では不動産サイトの中にも、不動産エージェントが契約を支援するアシステッドコマースが登場しており、今後、様々な領域にそのやり方が拡大しそうだ。

★モバイル版業務用スーパーBoxed.com

Boxed.comは、オンライン業務用スーパーだ。日本でもCostcoなどの大型の業務用スーパーが人気だが、それをオンラインで再現したもの。もちろんリアル店舗の業務用スーパー同様に、業者だけではなく一般消費者が利用客の中心だ。

CEOのChieh Huang氏は、ニュージャージー州の実家に住んでいたときには週末には両親とともに業務用スーパーで食品や日用品を安価で大量に購入していたが、ニューヨークのマンハッタンに一人で住むようになってからは車がないので郊外の大型業務用スーパーに行くこともできないでいた。同氏は「一度、業務用スーパーの安い値段に慣れたら、正規の値段で購入することに抵抗を感じた」と言う。

当時、モバイルゲームの会社を経営していた同氏は、「同じような悩みを持っている人はほかにもいるはず」と思い、オンライン版の業務用スーパーを始めることにしたという。今後はPCよりもモバイル機器が生活の中心になると考えた同氏は、スマートフォンとタブレット向けにサイトを最適化したのだという。

「実は、米国よりもアジアのほうが、業務用スーパーの売り上げが大きいという統計結果がある。特にリアル店舗の業務用スーパーの存在に慣れている日本や韓国でも、オンライン業務用スーパーが成功する可能性があるのではないか」と同氏は考えているのだという。

★Amazonと競合しないが、買収も大歓迎

Trunk ClubのCEO、Brian Spaly氏と、Boxed.comのChieh Huang氏が国内最大級のテック系カンファレンスInfinity Venture Summitに登壇するために来日したので、米国のEC事情についてインタビューしてみた。

Amazonから買収の提案がないのか聞いたところ「まだない」と答えた上で、「Amazonはすばらしい会社。買収提案をもらえば喜んでAmazon傘下に入りたい」とSpaly氏。Huang氏も「大企業はイノベイティブじゃなくなるものだが、Amazonはイノベイティブであり続けている。尊敬している」と高評価だ。

確かにAmazonが過去に買収したベンチャー企業を見てみても、元の経営者にかなりの自由度を与えている。またAmazonの傘下に入ることで、Amazonの流通、配達網を利用できるという利点もある。「Amazonがわれわれのようなニッチ企業をつぶそうと思えば、簡単につぶせると思う。でもつぶす気はないんじゃないかな。Amazonはわれわれを、コマースにイノベーションを起こす同志だと考えてくれているようだ」と同氏は語っている。

一方「今後AmazonがECをすべて牛耳るようになるのか」という質問には「リアルの世界でも大手小売業者に加え、専門業者が存在する。同様のことがECの世界でも起こると思う。大手が、すべてのコマースをうまくできるわけじゃない」とHuang氏。今後、Amazonとは異なるやり方のECベンチャー企業が多数登場するだろうと指摘した。「コマースは非常に大きな産業。デザインや使い勝手の領域でまだまだイノベーションは起こるし、参入の余地は幾らでもあると思う」と同氏は語った。

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