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【読書感想】僕の父は母を殺した

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画像を見る僕の父は母を殺した


Kindle版もあります。
[asin:B00F29KHA2:detail]
12歳で母を亡くした著者は2年後、衝撃の事実を知る。
母を殺したのは、父だった。
非行に走り、ホームレスになり、自殺未遂を繰り返す日々。
だが父の死刑判決を知り、父に面会した日から父を憎む気持ちに変化が生まれ……。
渾身のノンフィクション!

今でも頭に焼き付いて、 離れない光景がある――。
2000年3月2日未明、広島宇品港。
鳴り止まないサイレン音。
無数に光る赤色灯。
辺り一面に張られた黄色いテープ。
真っ暗な海を照らし出す大きなライト。
青ざめた父さん。
海面を漂う母さん。
そして僕。
全てはこの日から始まった・・・・・・。
以前から、書店でこの本の表紙は見かけていたのです。
でも、なかなか手に取ろうとは思えませんでした。
なんだか「こういう世界」を興味本位で覗き込みたくなってしまうことに、自己嫌悪を感じてしまうところもあって。
結局は、Kindleで読んだんですけどね。
読み終えたあと、僕はかなり複雑な気分になりました。

僕は、死刑存置派です。
「死刑に相当するようなことをする人がいなくなれば、死刑制度があろうがなかろうが関係ないだろうよ」と思っています。
戦争や過失であれば、仕方が無い部分はあると思う。
でも、計画殺人や快楽殺人、自分の都合だけを優先した殺人を行った人間は、どう償えばいいのだろうか?
「生きて罪を償ったほうがいい」と言うけれども、そもそも「人を殺した罪」というのは、償うことが可能なのだろうか?

遺族にとっては「殺した相手が生きていること」そのものが、苦痛なこともあるのです。
「なぜ、殺された側には、『償われる機会』は永遠に訪れないのに、殺した側には『生きて、償うこと』が許されるのか?」
人というのは、生きていれば、刑務所の中でも、空気が美味しいと思うことだって、面白い本を読むことだって、好きなおかずを口にすることだって、できるのだから。
もちろん、「反省」もするだろうけど、24時間365日反省し続けられる人間なんて、いないと思いますし。
 母を殺したのは、父だった――。

 それを知ったとき、怒り、悲しみ、憎しみ……様々な思いが湧き上がってきました。
 当時まだ幼かった僕は、この事実を受け止めることができず、非行に走って荒れた生活を送りました。周囲からは、「人殺しの息子」と白い目で見られ、心も身体も行くあてがなく、公園のベンチや公衆トイレで眠る日々でした。僕から全てを奪った父を「この手で殺してやりたい」と思うほど憎み、恨み、爆発しそうな感情を抱えながら、精神安定剤を乱用し、自殺未遂を繰り返し、心も身体もボロボロになっていました。
 しかし、父に死刑判決が下ったのをきっかけに、三年半ぶりに父に面会したことで、僕の中で何かが変わり始めました。何度も面会し、手紙のやり取りを重ねる中で、父を責める気持ちが薄れ、少しずつ親子の絆を取り戻していきました。
 
 苦悩、憎悪、葛藤の果てにたどり着いた答えーー。
 それは、父に生きて罪を償って欲しい、ということでした。
この本は、「子どもの頃、父親が母親を殺害した男性」によって書かれたものです。
その父親は、以前にも保険金目的で養父を殺害していました。
この本のなかには、著者が父親から聞いた「事情」も書かれていますが、僕にはその父親の言葉が真実だとは思えませんでした。
ちなみに、「本書は関係者が語る事件の物語であり、裁判所の認定事実とは一致しない部分があります」という断り書きも入っているのですよね。
この本をつくった人たちも、父親の証言を、少なくとも全面的には信用していないようです。
いや「物語」という言葉を使っていることを考えると、疑わしいと思っているのではないでしょうか。
絞殺と首吊り自殺というのは、検死官がみれば鑑別は難しくないそうですし。
さらに、生活苦があったとはいえ、母親を殺害したあとも、知人女性のクレジットカードを使って詐欺を行っています。
本人も自白していて「冤罪」の可能性は限りなく低そうですし、僕が裁判員だったとしても「死刑」に投票します。

しかし、この本を読んでいると、そういう「他人事として考えた場合の判断」が、少し揺らいでしまうのも事実です。
著者は子どもの頃、この事件に遭い、アリバイ作りに知らないうちに加担させられかけてもいます。
父親のことがずっと許せなくて、生活も荒れました。
しかし、それまでの「家族としての記憶」もあり、「どんな犯罪者であっても、たったひとりの父親は父親」だという気持ちが生まれてきて、父親への情状酌量を求める活動を行っていくようになるのです。

彼自身も「殺人犯の息子」ということで、決まっていた仕事をクビにされたり、交際していた女性の父親から「もう会わないでくれ」と言われたり、さまざまな迫害を受けてきました。
ただ、僕がその女の子の父親だったら、「そんなこと気にするな」と言えるかどうか、正直、自信がありません。
この本を読んでいると、著者も荒れた生活をおくり、いくつかの犯罪をおかしていますし、「同情すべきところはあるけれど、義父としてうまくやっていくのは難しそうだ」と。
距離を置いたところから振りかざせる「正義感」と、相手が身近なところにいたときの「処世」とは、なかなか一致しないのです。

正直、著者の考え方、行動規範って、僕には理解困難なところがたくさんあるのです。
 強くなりたい。過去を乗り越え、受け止められるようになりたい。そのためにも、内面だけでなく外見から変えていきたいと考えるようになった。そんなときに出会ったのが刺青だ。刺青とは、ただ身体に絵を入れるものではない。思いを込めて身体に刻むものだ。僕は悩んだ末に、刺青を入れる決意をした。過去を背負い、強く生き抜いていく。その証が欲しかった。軽い気持ちで決意したわけではない。過去に囚われ、前に進むことのできなかった昔の自分に戻らぬよう、変わっていけるようにとの思いからだ。
なぜそこで「刺青」なのか……
僕はこれを読んで、ある本を思いだしました。
そう、『ハダカの美奈子』!
 これ以上、子どもたちにつらい思いはさせられない。あたしの弱さは、あたしが一番良く知ってるはずだから。
 もっと強くならなきゃ。あたしがこの5つの命を背負ってるんだから。なにか証を残さなきゃ。そう思った。
 最初は日記を書こうと思ったんだけど、3日ぐらいで挫折しちゃった。あたしって身の回りの物、アクセサリーだってピアスだってすぐ無くしちゃうから、物じゃないほうがいい。じゃあなんだろうって考えたとき、「自分の身体に入れちゃえばいいんだ、その証を」って自然に思えたの。
 誰かから勧められたとか、誰かの影響を受けたとかそんなんじゃなく、あたし自身がひとりで決めた。
「タトゥーを入れよう」って。
これを読んだときには「日記にしとけよ!」と呟いてしまったのですが、そうか、世の中には、こういう「刺青信仰」みたいな文化を持っている人も、少なからずいるのだな……と。
美奈子さんだけじゃ、ないんだなあ。
僕にはやっぱり、理解し難い世界なのだけれども……

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