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軽自動車税増税論議で分かる政治家のお粗末さ

 軽自動車税の増税案が関心を集めています。

 とは言っても、その増税案に反対する人もいれば、賛成する人もいるのです。

 何故反対をするのか? 簡単なことなのです。軽自動車を保有している人、或いは軽自動車を購入しようとする人は、増税になってしまうからなのです。

 では、賛成する人は、どのような理由からなのでしょうか?

 敢て反対しないまでも、賛成することもないだろうにと思うかもしれませんが、賛成しないと、自分たちの税負担の軽減につながらないからなのです。

 どういうことなのでしょうか?

 それは、普通車等(登録車)を保有する人々は、軽自動車増税が実現しない限り、自動車取得税が廃止されないものだから‥つまり、自分たちが自動車取得税を支払わなくて済むように軽自動車増税に賛成するという構図になっているのです。

 では、何故、自動車取得税を廃止しなければいけないのでしょうか?

 その前に、自動車を保有することに伴う税金を、ざっと見ておくことにしましょう。

・消費税

 ご承知のとおり、自動車を購入する際には消費税がかかります。

・自動車取得税

 次に、自動車を取得する際して、例えば自家用乗用車には5%の、自家用軽自動車には3%の取得税がかかるのです。なお、この税は、都道府県税です。

・自動車重量税

 これは、自動車の購入時と車検時にかかる税金です。なお、この税は、国税です。

 ・自動車税、軽自動車税

 さらに、年に1回、自動車税と軽自動車税がかかります。自動車税の場合は、排気量1000㏄以下の場合に1年で29500円。軽自動車税の場合には、同じく1年で7200円です。なお、自動車税は、都道府県税である一方、軽自動車税は、市町村税です。

・ガソリン税、軽油取引税、石油ガス税

 以上の他に、燃料を購入するときにも税金が課せられます。


 車を保有するためには、いろんな税金が取られることがよく分かります。

 それにしても、どうして軽自動車は登録車とどう違うのかと言えば‥

 全長が3.4m以下、全幅が1.48m以下、全高が2m以下、そして、排気量が660㏄以下であり、定員が4名以下であり、また貨物積載量が350㎏以下のものを軽自動車というのだ、と。


 本題に戻ります。何故自動車取得税が廃止されようとしているのか?

 それは、消費税が来年の4月に8%に、そして、再来年の10月に10%に引き上げられる代わりに、これまで自動車購入者にとって二重課税になるとして問題視されてきたこの自動車取得税が廃止されることになったためだ、と。

 確かに、消費税が10%も課せられるのに、その上自動車取得税を取るとなれば、二重課税の弊害がより大きくなるのはそのとおり。だから、それを是正するために、自動車取得税を廃止するのは結構なことなのです。

 しかし、何故自動車取得税が廃止されるのと合わせて軽自動車税が引き上げられなければならないのか?

 本当に全くバカバカしい理由なのです。

 その理由はと言えば、自動車取得税を廃止すると約1900億円ほど地方税が少なくなってしまうからだ、と。だから、そのための財源をどこかで探してくる必要があって、軽自動車税に目が付けられたのだ、と。

 しかし、財源が不足するのは分かるにしても、何故その負担を軽自動車を保有する人々が負う必要があるのか、と。私も、そう思います。

 では、その点について国は何と考えているのかと言えば‥

 軽自動車と登録車の性能の違いに比較して、軽自動車税と自動車税の違いが余りにもバランスを欠いているからだと言うのです。つまり、常識的にみて、軽自動車税は安すぎると言っているのです。

 私も、バランスを欠いているというのは事実であると考えます。ただ、バランスを欠いているので是正すべきだという場合にも、何も軽自動車税を引き上げることだけではなく、自動車税を引き下げることによってバランスを取ることもあり得るのです。

 なのに、何故軽自動車税が引き上げられなければならないのでしょうか?

 それに、軽自動車は税金が安いことが大きな売りなのです。つまり、税金が安いから、軽自動車を購入する大きな動機になっているのです。従って、それをいきなり引きげるならば、売れ行きに大きく影響するのは必至。だから、軽自動車業界や軽自動車の保有者が反対するのは当然ではないでしょうか?

 百歩譲って、軽自動車税と自動車税のバランスを是正するにしても、毎年少しずつ軽自動車税を引き上げていくような工夫が求められるべきでしょう。

 それなのに、本日、自民と公明両党で合意した内容はと言えば、軽自動車税がこれまでの7200円から1万800円になるのだとか。要するに5割増しです。7200円が8000円に引き上げられるというような話でしたら、こんなに大きな問題になることはなかったのでしょうが‥

 さらに言えば、50㏄以下の原付バイクについては、1000円から2000円に倍増になるのだと。

 そもそも今回のこの軽自動車税の増税については、米国がTPP交渉で主張していることが関係しているとも言われています。つまり、軽自動車の規格を廃止して、日本が米国車をもっと輸入しやすくしろという要求です。確かに、そうした米国側の要求に対する配慮があるのかもしれません。

 いずれにしても、一方で増税をすると同時に減税をし、そして、さらにもう一方で増税をする政治家たち。

 国民からみたら何と理解しがたいことでしょう。

 そうして増税や減税をすれば、それによって影響を受ける利害関係者が大勢いるために、何とか自分たちの要望を聞いてもらおうと、そのような人々は政治家に接触をする。だから、政治家たちは自分たちの存在感が強まり、如何にも重要な仕事に忙殺されているように感じるのでしょう。

 しかし、国民的見地から見たら、税制度を下手にいじくり回しているのに過ぎないのです。

 もう少し、合理的に説明がつくように、そして、一気に制度を変えるのではなく、徐々に変えていくような工夫が求められているのです。

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