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ビットコインはマネーなのか

 グリーンスパン前FRB議長は、1年で89倍に値上がりした仮想通貨「ビットコイン」について、取引価格は持続できないほどの高水準にあり、通貨ではないとの見解を示した。さらに「ビットコインの本質的価値が何かを推測するため想像力を本当に膨らませなければならない。それを他の人はできるかもしれないが、私はできない」と断言した。

 ビットコイン(Bitcoin)とは中本哲史(Satoshi Nakamoto)と名乗る人物が基本的な概念を生み出した仮想通貨である。ビットコインは、円やドル、ユーロなどのように発行権限を有しその価値を担保する中央政府の存在はない。つまりその信用力の背景に、政府や中央銀行、現物資産があるわけではない。

 ビットコインはminerとよばれるビットコイン採掘管理ソフトの存在があり、これにより流通量が自動調整され埋蔵量にも限界が設定されている。この考え方の背景にあるのが、昔の金本位制であると考えられる。ビットコインの価値は需要と供給の関係によって決定されるのも金市場と同様である。ただし、このビットコインは、やや得体の知れないシステムそのものへの信用を背景になり立っている取引のようである。

 ビットコインは銀行などを介さないので決済手数料が非常に安く、P2Pで取引でき、獲得したビットコインはデジタルウォレットに貯蓄できる。ユーロ危機などを背景に、ビットコインは規制を受けない世界的な通貨という評判が高まり、11月27日に1ビットコインが1000ドルの大台に乗るなど、その価格が急上昇したことも話題になった。

 果たしてビットコインはマネーなのか。発行体の信用力の裏付けもなく、通常の商取引で用いることもできない。当然ながら銀行に預けることもできない。ダークな世界でのまさに闇取引のような存在ともいえる。

 現在の管理通貨制度では、円やドルには金本位制時のように、その価値を裏付ける物的保証は存在しない。その意味では、貨幣価値に裏付けまないビットコインと何ら変わりはないものとの見方があるが、それは違う。日銀券は法律に基づいて、国や中央銀行が責任を持って発行している上、完全な流動性が法律上認められているものである。つまり国がその信用を保証している。ところが、ビットコインは法的に認められたものではない上、何かしらの機関の信用力がバックにあるわけではない。仮想通貨のひとつに、たとえば買い物等につくポイントがあるが、これはその発行体の信用力が背景にある。

 ビットコインについては考え方は非常に面白いが、手を出すべきものではないと思われる。ただし、ネット環境がさらに整って行けば、何らかの信用力に基づいた国や中央銀行ではないところが発行したものが、仮想通貨として認識されて使用されることもないとは言えない。それが世界の統一通貨を生み出す要因になったりすれば、SFの世界ではあるが、税金や決済等々のことを考慮すると、そのようなものが出てくるのはかなり困難を極めると予想される。

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