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特定秘密保護法案の成立を受けて

与党の圧倒的多数で特定秘密保護法案が成立しました。大きな混乱の中での採決となり、何とも言えない後味の悪さが残ります。

7月の参議院選挙で衆参のねじれが解消し、通そうと思えばどんな法律も通せる状態になっています。しかし、昨年の衆議院議員選挙、本年の参議院選挙で、特定秘密保護法案を通して欲しいと思って自公政権に投票した人は何人いるでしょうか。

だからこそ、政府・与党には丁寧に野党側の意見や国民各層の意見をくみ取る姿勢が求められます。もちろん、私たち野党側にも建設的な対案を示す責任があります。

今回、民主党は特定秘密保護法案に対して5法案からなる対案を出しました。その内容は独立した第三者機関の設置を求めるなど、極めて建設的で合理的な内容でしたが、十分な審議が行われないまま採決が強行されました。

かつて、竹下登元総理大臣は「国会審議は野党のためにある」といい、少数意見に対しても丁寧に耳を傾ける姿勢で国会に臨まれました。かつての自民党には、こうした「懐の深さ」があったと思います。

実際、今国会でも、政府・与党側の協力で意義ある修正や政策の改善が実現したケースもあります。例えば、私が農林水産委員会で審議を担当した農地中間管理機構法案については、質問の中で問題点を指摘したうえで、改善点を具体的な修正条文の形で提案しました。その結果、与党の議員の皆さんの理解も得て法律は修正され、より良い形となって成立しました。

このように、政府・与党に改善や修正を受け入れる柔軟な姿勢があれば、与野党の合意に至ることは可能です。そもそも異なる意見にも謙虚に耳を傾け、合意点を探ることが議会の役割であり、民主主義の原点だと考えます。

しかし、特定秘密保護法案をめぐる政府・与党の審議の進め方は明らかに強引で無理がありました。民主党の対案を出すのが遅いとの批判がありましたが、本当に意味のある対案は、国会審議を通じて明らかになった問題点を踏まえて作られるからです。政府・与党側の柔軟な姿勢があれば、建設的な合意に至ることはできたはずです。

今回の特定秘密保護法の最大の問題は、国会議員の国政調査権や国民の知る権利が行政の都合で制限されるおそれがあることです。三権分立は形だけで、行政の力が突出して強くなり、立法や司法からの適切なチェックアンドバランスが機能しなくなる懸念があります。

特に、審議の最終版になって思いつきのように3つも4つも出てきた「第三者的」(注:「第三者」ではない。)組織の機能や法的権能は全く不明なままで、恣意的な秘密指定や文書破棄の可能性は否定できません。

こうした懸念が現実のものとならないよう、法案成立後も引き続きチェックを続けていかなくてはなりません。ただ、数の力で作られた法律は、新たな数の力をもって改めていくしかありません。民主主義の過程を通じて行われた変更は、民主主義の過程を通じて改めていくしかないのです。

そのためには、主権者たる国民の皆さんの協力が必要です。次の選挙に向けて、現行法制の問題点と我々の改善策を、国民の皆さんに粘り強く訴えていきます。

バランスのとれた政治体制をつくるためにも、ぜひ力を貸してください。

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