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現代化粧品トラブル考【美白のリスク】

■「美白化粧品」は「美白薬品」

 カネボウの「美白化粧品」によって一部の使用者に白斑被害が出たことで大きな話題となった化粧品トラブル問題だが、カネボウ以外のメーカーから販売されている「美白化粧品」でも少なからず被害報告があったことはよく知られている。そして今度は第一三共ヘルスケアが製造販売している化粧品でも一部の使用者に皮膚障害が発生していることが判明し、またまたニュースになっている。

 第一三共ヘルスケアの化粧品「ダーマエナジー」の場合、カネボウのような白斑が出るというような深刻なトラブルではないらしいが、肌への浸透性のある化粧品の場合、どうしても体質に合わないという人が一定の割合で出てきてしまう。そう考えると、現代の化粧品に副作用リスクが有ることは別に不思議な話でもないのかもしれない。
 特に「美白化粧品」というものは、実質的には「化粧品」というよりも「薬品」に近いものなので、万人に最適化された安全な化粧品とは言えない。

 女性は昔から肌を白く見せようと努力し、色の白さを競うかのように(厚)化粧を重ねてきたことは言うまでもない話だが、最近の「美白化粧品」というものは、肌の上に白い化粧をするのではなく、肌そのものを白くするという効能が謳われている。これはどういうことかというと、「もはや化粧品ではない」ということでもある。「美白化粧品」と言うより「美白薬品」と言った方が正解だろうと思う。

■「化粧品」は「薬」にも「毒」にもなる

 「薬品」である限りは、効能は人によっては千差万別のはずで、個人の元々の肌の白さや強さ、薬品に対する耐性や相性などによって効き目は全く違ってくる。上手い具合にピッタリ相性が合い、美白に成功した人もいれば、幸か不幸か、ほとんど効果が無かったという人もいるのではないかと思う。
 問題となったのは、肌全体が万遍なく白くならなかった人や、白く成り過ぎた人がいたことであり、まさに十人十色の美白結果となってしまった。そして、その結果は偶然に発生した突発的なトラブルと言うよりも、むしろ起こるべくして起こった必然的なトラブルであったことこそが問題だと言える。
 美しくなるために行なった化粧行為によって、逆に醜くなってしまった女性には同情を禁じ得ないし、男性であってもその憤りは痛いほど解る。「そんな危険な化粧品を販売するとは何事だ!」と苦情を言いたくなるのは至極もっともな話だ。

 しかしこの問題は、「美白化粧品」に使用されている薬品の種類や、薬品の適量を議論しても一向に埒があかないのではないかと思える。この問題の本質は、「美白化粧品」というものを販売する過程において、「薬品には副作用のリスクが有る」ということをキッチリとアナウンスしていなかった(または消費者にリスク意識が浸透していなかった)ことにあるのではないかと思われる。
 いくら厚生労働省から医薬品としてのお墨付きをもらったといっても、それが万人に無害ということはまず有り得ない。

 以下のように書くと、この問題の本質がよく解るのではないかと思う。

 「美白化粧品」>「美白薬品」>「美白毒」

 「化粧品」と名が付いていれば、誰もその危険性を疑わない。では「薬品」ではどうだろうか?
 「薬品」と言えば確かに聞こえは良い、しかし「薬品」の本質は基本的には「」である。その証拠に、どんな薬であろうと、摂取量を間違って大量に飲めば命に危険が及ぶことになる。風邪薬や胃腸薬が薬だと言っても、大量にガブ飲みすれば重篤な副作用が生じる(場合によっては死に至る)ことは誰もが知っている。たとえ無害なビタミン剤が入っているだけでも、使用する人がアレルギーを発症することは有り得るわけで、絶対的に安全な化粧薬品などというものは存在しない。
 ゆえに、「美白化粧品」も、個人の体質によっては様々な結果(悪くなる場合もある)が生じるリスクが元々あったということである。

■リスクが伴う「現代の化粧術」

 ところで、「美白」という言葉が使用されだしたのは一体いつ頃のことなのだろうかと思い調べてみると、1990年代後半のことであるらしい。当時、故 鈴木その子氏が「美白の女王」と呼ばれていたことは記憶に新しいところだ。
 その後、2000年になると、今度は「ガングロ」という肌を黒くするファッションが一時的に流行ったものの、結局はまた「美白」ブームが訪れた。
 昔から「色の白いは七難隠す」と言われ、「色白」もとい「美白」というものは、女性の憧れでもあった。

 「美白」、文字通りのその美しい言葉に心惹かれ、「美白」有効成分「ロドデノール」を配合した化粧品に手を出した女性はたくさんいた。そしてその「美白化粧品」が日本の隅々にまで行き渡ると、今度は「美白」トラブルが発生し、カネボウの美白化粧品が取り沙汰されることになったというわけだが、実はそれは化粧品のトラブルではなく、薬品のトラブルだった。肌を白く見せる化粧品ではなく、肌を白くする薬品(場合によっては毒)を自らの肌に塗っていたことが問題なのであり、それは本来、危険を承知の上で行うべき賭け事でもあったというのが本質的な問題だった。

 塗り薬の注意書きには大抵「お肌に合わない場合は、ご使用を中止ください」と書かれてあるが、化粧品の場合、肌に合うかどうかは実際に結果が出ないと判らない。しかし、悪い結果が出てからでは既に後の祭りとなってしまう。となると、元々、肌の弱い人などは、極力、美白化粧品などは使用しない方が良いということになる。
 現代の最先端科学によって人工的に開発された化粧品には当然リスクが有る。そのことを正しく認識した上で、注意深く化粧品を選択するのが現代風の化粧術ということなのかもしれない。

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