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消費者市民社会の目標

消費者市民社会という言葉は、平成20年の国民生活白書むすびに登場し、「「消費者市民社会」とは消費者・生活者が生き生きとし、自らの自己実現と社会のあり様を消費者・生活者の視点から望ましい姿に変えていける社会である。」として以下のような課題を掲げていた。

(1) 市場の透明化を通じたリスクの除去
(2) 価値規範の転換による社会貢献の助長
(3) バカンス文化を取り入れたストレスの軽減
(4) 少額多数被害の集団的救済
(5) 消費者政策の科学分析と発展
(6) 消費者教育の改善

こうした視点から、消費者教育推進法が制定され、その中では消費者市民社会を「消費者が、個々の消費者の特性及び消費生活の多様性を相互に尊重しつつ、自らの消費生活に関する行動が現在及び将来の世代にわたって内外の社会経済情勢及び地球環境に影響を及ぼし得るものであることを自覚して、公正かつ持続可能な社会の形成に積極的に参画する社会」と定義している。

一昨日成立した消費者訴訟特例法は上記の(4)を体現するものである。

そして昨日の札幌で行われた地方消費者グループ・フォーラムおよび消費者教育フェスタは、このような消費者市民社会の形成に向けた消費者教育のあり方を追及しようというものであった。

その基調講演として、島田広弁護士が述べられたことはなかなか印象的である。ともすれば、消費者被害の法的な救済と、その行政的な予防という法律面に注意が向きがちだが、消費者のクレームが企業行動をまともなものにしていくという作用、消費者の選択がファスト・ファッションの背景にある第三世界の労働者の奴隷的境遇を改善する可能性があること、フェアトレードなども同様であろう、こうした地球全体の環境や貧困の問題に目を向けた消費者の行動、これを促していくのが消費者市民社会の形成に向けた消費者教育というわけである。

なお、消費者の行動が安い商品に流れがちであるのに対して理念を掲げてフェアトレード商品を訴えても、経済的インセンティブがなければ動かないとも思える。その点は、価値観の転換を促していくしかないというのが島田先生の信念のようだった。

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