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バフェットや堀江貴文氏が地方紙を有望視する理由から見るメディアの本質

新聞といえばAmazonCEOジェフベゾス氏によるワシントンポスト買収が記憶に新しい。インターネットが台頭していく中で斜陽産業といえる新聞をなぜ買収したのか。ワシントンポストを保有していた長期投資に定評がある著名投資家ウォーレン・バフェットは米国地方紙63紙を買収した。日本では堀江貴文氏がメディアに関するインタビューの中で地方紙の有望さを説いた。

この3者の動きから見た地方紙に内在する価値とは何なのか。いくつかの記事を参照しながら、紐解いていく。

新聞のビジネスモデル:広告と定期購読中心の販売収入

まずビジネスモデルの確認から。広告の観点でいえばナショナルクライアントなどによる単価の高い広告に加え、いわゆる三行広告が存在した。三行広告に関してはダイヤモンドのこの記事を一部編集して下記に抜粋する。

アメリカの新聞社は、Craigslistというネット三行広告サイトに広告収入を軒並み奪われた。そもそも新聞業界が苦境に陥った元凶がCraigslistだった。 ベゾスなら、雇用情報や不動産情報、「売ります・買います」、「恋人求む」といったこの手の三行広告を、巧みな方法で引き寄せるかもしれない。

クラシファイド広告事業の立ち上げをやっていたこともあるのですが、新聞業界が苦境に陥ったほどCraigslistのインパクトが強かったとは思っていませんでした。三行広告は1つの広告単価は高くなくともロングテールでそれなりの規模に膨らむんでしょうね。

販売に関しては宅配による定期講読モデルが強固。日本ほど新聞の定期講読の普及率が高いところはないようです。特に地方紙のシェアは圧倒的。僕は北海道出身なので、実家は当然の如く北海道新聞です。子供の頃、サッカーの欄とTV欄を読むのが日課でしたが、読売新聞や朝日新聞なんて大人になるまで読んだことなかったです。

日本では宅配による定期購読の普及率の高さが他紙や解約のスイッチングコストを上げ、米国と比較してまだ落ち込み幅が小さく済んでいる感じ。

地方紙の強み=ローカルニュース/自分ごとが多数掲載

それでは地方紙の強みとはどこにあるのでしょうか。まずは堀江さんとバフェットの言葉の引用します。堀江さんのキーワードは言い換えると「自分ごと」ニュース。

僕はいちばん有力なのは地方紙だと思っています。地方紙って、ソーシャルメディア的なところがありますよ。ある地方新聞社の人に聞いたのですが、とにかく地域の読者を3回は紙面に登場させるんだと。生まれた時と、入学した時と、死んだ時。それが地方紙はできるから強い。地方のニュースはウェブメディアにはあまり載らないので、そこも強いです。(堀江氏談:東洋経済記事から引用)

バフェットは地方紙の魅力を「コミュニティ意識」と語る。

コミュニティー意識が根強い地域に住む人たちの多くにとって地元紙は最も重要な財産です。今回買収する新聞の読者層も強いコミュニティー意識を持っています。このような読者がバークシャーという永住地を見いだすことができて、われわれにとってこれ以上の喜びはありません(バフェット談:現代ビジネス記事から引用)

地方紙は堀江さんによると誰しもが3回掲載される機会があり得るということ。自分や身近な人が載っているメディアはさすがに読みますよね。自分ごとに関心を持たない人はほとんどいないのでは。さすがに僕も身近な人が書籍出したりしたら目を通しますし、オンラインメディアの記事も見ます。

バフェットのいう「コミュニティ意識の強さ」は身近な人の存在を大切にする文化があるというか。日本での感覚値としては、東京よりも地方の方がお隣さんとのコミュニケーションはあるわけで、共通の話題となりうる情報が多いのが地方紙。コミュニケーションを円滑にする上で最も重要なメディアといえなくもないかなと。

局所的に地方紙が最強のメディアになったUXループ

読者にとって自分ごとである情報の掲載率が高い点が、地方紙の強さであると端的にいえます。自分ごとが掲載される頻度が高いと読者はそのメディアへのエンゲージメントが高まり、興味関心ごとや世の中ごともそのメディアを通して知ることになる。というループが想定されます。

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上記図の真ん中(自分と身近な人)の掲載があればあるほど、読者のエンゲージメントが上がり、そのメディアでの読者の滞在時間が上がる。滞在時間が上がれば興味関心、果てはストレートニュースといえる「世の中ごと」もそのメディア上で読むようになる。こうしたループを経て、局所的に地方紙は「最強のメディア」となったのではないでしょうか。

注:ループ図はポジショニングマップに次ぐThe Startup頻出図です。

これはオンラインメディアにも応用できる話です。堀江さんは「地方のニュースはウェブには載らない」とありますが、地方ではなくニッチジャンルのニュースを取り上げまくるというのは地方紙が局所的に最強のメディア化したループとアナロジーがあります。

スタートアップ情報に特化し、取材で人を掲載しまくればその人やその身近な人のそのメディアに対するエンゲージメントは上がっていきます。そこから徐々にジャンルを拡げていくというのも一つの手です。The Startupを創刊した2011年1月とは市場環境も変わり、スタートアップネタを手掛けるメディアは増えていきました。

もっとニッチな方向に潜らないともう一皮剥けないなと最近感じています。ニッチネタを追求することとPVを追求することは相容れないでしょうが、中長期的にはその方がブランド価値は上がるのではないかと思っています。ということで資金調達のようなストレートニュースネタを今後取り上げるかも判断に迷うところですね。

今後はもっとこういった世の中の事象を複眼的に考える記事を出していきたいと思います。

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