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全国森林環境税を創設?

そろそろ来年度の予算案が出てくる頃だが、林野庁が新税の創設を要望事項に盛り込んだことを知っているだろうか。

それは、全国版の森林環境税である。

森林環境税と言えば、現在は全国の都道府県がつくっている独自課税。現在、33の県で実施しているはずだ。たいていは住民税に上乗せ方式で500円~1000円程度を徴収するものだ。そのままだと一般財源になってしまうが、使い道は森林保全に関することだけに使うように別途定めている。

それの全国版? これは何を意味するのだろうか。

今回の案では、所得税や法人税などに上乗せして徴収することを想定して、地球温暖化対策としての森林整備財源に充てる計画だそうだ。しかし、これは国税だ。ということは、自治体の森林環境税は廃止になるのか? まさか自治体分は継続して、新たに徴収するつもりではあるまい。

もともと森林環境税を実施している自治体の議員は、全国森林環境税創設促進連盟というのをつくっていて、文字通り全国森林環境税の創設を求めていた。

しかし、今の実態を見たら、とても安易に賛成できない。

この税金。ようは住民の頭数で金を集めて、森林に使うというわけだが、そのため矛盾が生じる。森林面積が広い自治体は、概して人口が少ないこと。逆に都市部には森林があまりないから、納めた税金は納めた住民にはあまり還元されない。

実際、森林面積の多い県は、たいした金額が集まらない。2~3億円程度である。一方で大都市を抱える自治体(たとえば神戸市のある兵庫県など)では、その10倍もの額が徴収され、使い道に困るほどだ。また同じ県内でも、多くが都市部の住民が払った税なのに、都市には使われないから、不公平感がある。

だから国税にして全国一律に集め(都会の住民からがっぽり取って)、森林の多い県にたくさん配分してほしい、というのが本音ではあるまいか。

なお使い道は、ほとんどが間伐補助金になっている。天然林・雑木林などの保全に回るのは、ごくわずかだ。国の間伐補助金に上乗せ、あるいは国の規定に当てはまらない間伐などを補助するために当てられるのだ。国が切り捨て間伐には補助金出しませんよ、と言っても、県が出してくれるケースは多くが森林環境税だろう。
しかし、本当に使い道が森林関係に限定されるのかどうかも怪しい。とくに地球温暖化などを持ち出しているから、なんとでも理屈を付けたら流用できる。

いずれにしても疑問だらけだ。まだ内容はわからないから、あまり先走って論じたくないが、増税だということを忘れずに。森林だの環境だの耳障りのいい言葉に騙されないことだ。

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