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PISA2012の好成績、学校・先生ががんばった--木村治生・ベネッセ教育総研主任研究員に聞く【前編】 - 渡辺敦司

画像を見る経済協力開発機構(OECD)が3年に1度実施している「生徒の学習到達度調査(PISA=ピザ)」の2012(平成24)年調査の結果がまとまりました。日本の結果をどう見ればよいのでしょうか。ベネッセ教育総合研究所の木村治生主任研究員に聞きました。2回にわたって紹介します。

――前回(2009<平成21>年)に比べ、日本の順位が上がりました。

「世界トップレベルとは言えない状況」とされた2003・06(平成15・18)年の「PISAショック」からは回復しました。学力上位層がアップしたと同時に、下位層も底上げされています。学力面以外でも、日本の子どもたちが「考えようとしない」ことの象徴とみなされてきた「無答」率も改善傾向にあり、授業の雰囲気や先生との関係もさらによくなっています。遅刻や無断欠席、サボりなども国際的にみて極めて少なく、「まじめ化」がいっそう進んでいるようです。数値の変化をみると、全体的によい方向に進んでいるように見えます。

――PISAをめぐっては、いわゆる「ゆとり教育」とその見直しとの関係が話題になりますが。

子どもの学力は、10年くらいのスパンで見ていく必要があると思います。今回の調査対象となった2012(平成24)年の15歳(高校1年生)は03(同15)年度に小学校に入学し、「ゆとり教育」と批判された学習指導要領(02<同14>年度から全面実施)で最初から学んできた子どもたちです。今回の結果は、自ら学び考える力など「生きる力」の育成を目指した学習指導要領の成果とも言えます。
国内で2007(平成19)年度から実施されている全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の影響も大きいでしょう。このテストは主として知識を問うA問題と、知識を活用する力を問うB問題に分かれています。その両方を測定することで、「知識も活用も両方大事だ」という意識が教育行政や学校現場に浸透したのではないでしょうか。2002(平成14)年以降の学習指導要領は、いわゆる「PISA型学力」に極めて近い「知識を利用して、考え、判断し、表現する力」も重視してきました。そういう意味では、文部科学省の政策の方向性は正しかったと言えるでしょう。

――学校の授業も改善したのでしょうか。

行政の方針を受けて、学校や先生方はよく努力されてきたと思います。当研究所の調査でも「学力向上・学力定着」を教育目標に掲げる学校が増えています。学習指導要領で定められた標準授業時数を上回る授業を実施している学校は多いですし、朝読書や「早寝早起き朝ごはん」など生活習慣改善の取り組みも2000年代から増えました。全国学力テストの質問紙調査の結果からも、子どもたちが「学び」に戻ってきている様子が見て取れます。言語活動の充実が図られる中で、リポートの作成や論述など言語の力を高める学習も各教科で実施されるようになってきました。知識の習得に加えて思考力や判断力、表現力の育成にも力を入れようとする学校現場のがんばりが、結果に反映されたと見てよいのではないでしょうか。

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