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流行語大賞から考える賞の「権威」

昨日2日に今年の流行語大賞が発表され、ノミネート50語の中から、有力視された4語が同時受賞した。

2013ユーキャン新語・流行語大賞が2日、都内で発表され、大賞は史上初の4者同時受賞となった。

 大賞に選ばれたのは「今でしょ!」「じぇじぇじぇ」「倍返し」「お・も・て・な・し」の4本。

流行語大賞「倍返し」など4者同時受賞 : nikkansports.com

じゃねーよ。


まさかの「ゆとり」受賞である。

個人的にはこの4語、どれが大賞になってもおかしくないと思った。言い換えれば、どの語が大賞になっても「不正解」ではなかったのだ。それぐらい、この4語は今年「流行」したといって過言ではない。例年納得しずらいこの賞にはめずらしく、どれを選んでもよかったのである。

そんな中で、この選考委員会は賞としてもっとも正解から遠い、斜め下な結論を出したんじゃないかと思う。


ボクシング界かよ、という話である。ファンには知られているが、現在ボクシング界には主要で4つの王者認定団体がある。つまり、「世界で一番強い」とされるボクサーが同階級に4人いてもよいことになるのである。

日本ボクシング協会(JBC)はタイトルの権威が失墜するとして、少し前までWBAとWBCしか認めていなかったのだけれど、これはJBCの判断が正しかったといえるだろう。

「世界最強」がそう何人もぽこぽこいてはおかしいのだ。


ことしの流行語大賞はもっとも安易な道をたどり、例年になくわりと盛り上がっていたはずの賞レースに、自ら興ざめな結論を下したといえる。そしてこの4語同時受賞は、流行語大賞がそのあってなかったような「権威」を自らさらに貶めたといえる。というのも、これは「みんな」の総意にすぎないからだ。


そもそも、数値化できない賞の類は、よっぽどの差がないかぎり、どれを選んでも異論は出るものなのである。ならば、異論がでたっていいではないか。

「じぇじぇじぇ」を選んで「あのドラマで盛り上がってたのは一部のサブカル厨とクドカン信者だけだぞ」と叩かれても、「倍返し」を選んで「社畜の憂さ晴らしwww」とあざ笑われても、「今でしょ!?」で「この今さら感」と呆れられても、「お・も・て・な・し」で「五輪特需乙」と言われても、別にいいのである。

賞の権威は、受賞大賞が賞に見合うか、という「正当性」ではない。

先述したように、数値化できないものなわけで、「正解」はないのだ。独断と偏見が入ったっていい。それが少しもない賞なんて、あってもなくてもいい。賞の権威とは何が決めるかというと、「独断と偏見を我が物顔で表明する」というその身振りそのものにあるのだ。

独断と偏見で選ぶ分、反感を買い、アンチも生まれやすいだろう。けれど、そのアンチそのものが、逆説的ながら権威をますます権威づける。


いい例だと、芥川賞や直木賞だろう。両賞では、なんでこの作品?という作品が選ばれることも少なくない。けれどその分、自分がこれぞと思う作品が受賞したとき、自分のことのように喜べてしまうのは、すっかりぼくがその「権威」を認めてしまっていることになる。けれど重要なのは、「誰もが納得する作品」を選んでいるばかりでは、「権威」なんて生まれ得ないということだ。

両賞へのカウンターとして本屋大賞が生まれたといっていい。本屋大賞の功績はある程度認めるべきだが、ここ数年どこか勢いが退潮しているように思うのは、結局それは、全国の本屋さんの投票によって決まるという「民主的」な賞だからだろう。


賞とは、独断と偏見、そして選ばれた人によって密室で決められるという「不透明性」が重要なのだ。

ただ、これにもバランスというものがあるのが難しいところ。

今回、こっそりこんなのもあった。

選考委員特別賞に、プロ野球楽天の選考委員特別賞に、プロ野球楽天の「被災地が、東北が、日本がひとつになった 楽天、日本一をありがとう」が選ばれた

※強調引用者

楽天が流行語大賞で特別賞「東北1つに」 : nikkansports.com

は?長くね?

流行語うんぬんよりも、まず誰が言ったんですか?

という話で、震災復興を気にかけてますアピールというか、おもねってる感じ、マジで死ぬほどダサいのでやめたほうがいい。大賞だと叩かれると思ったのか、審査員特別賞とかいってこっそりやっているところも含め、マジで姑息。最高にダサい!

これもある種の「独断と偏見」ではあるが、ここまでセンスが悪いと、これも「権威」とはいえなくなる。

これなら、2003年の「毒まんじゅう」のように、選んだ側も選ばれた側も、マジで誰も得しない謎受賞の方が、はるかにマシである。

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