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インフラの老朽化 利用度、必要性考え補修を

実効性ある計画の策定を急げ

尊い9人の命が奪われた中央自動車道・笹子トンネルの天井板崩落事故から、きょう2日で1年を迎える。

笹子トンネルと同様に道路や橋、トンネルなど劣化したインフラ(社会的基盤)は多い。痛ましい事故を二度と起こさないために、老朽化の対策を急がなくてはならない。

政府は先週、インフラの維持管理・更新の基本指針となる「インフラ長寿命化基本計画」を決定した。

基本計画では、インフラの管理者である国と自治体が、2016年度までに全体的な維持管理体制や中長期的なコストの見通しを示した行動計画を作る。さらに、20年までに学校や道路、下水道など施設ごとの個別計画を策定し、点検や修繕を進める。

基本計画の柱の一つは、今後の人口減少社会の進展を見据えた施設の集約化とともに、不要と判断した場合は廃止、撤去を検討する方針を示したことだ。

例えば、全国の道路橋のうち、2104カ所が老朽化などの原因で通行止めか通行規制になり、ほとんど使われていない。高齢者の増加に伴い歩道橋の利用者も減っている。地域によって状況は異なるので一概には言えないが、交通量や緊急輸送の必要性などを十分に考慮した上で検討を進めてもらいたい。

二つ目は、30年をめどにセンサーやロボットなど高い精度で施設を点検できる機器を利用した調査の仕組みを構築して、老朽化が原因の事故をゼロにする目標を盛り込んだことだ。

政府は、今後50年で全国のインフラの維持管理、補修などに掛かる費用は190兆円と推計している。厳しい財政事情を考えるまでもなく、費用の効率化に取り組むのは当然である。

自治体では、こうした施設の経費負担が財政を圧迫している。点検に携わる人材の確保も大きな課題である。人間が確認できないような危険な場所や狭い調査箇所も、ロボットを利用すれば、人材不足を一定程度カバーできる。機器の価格によっては、人件費の削減にもつながる。

中長期的な対策とともに、危険性の高いインフラの点検・補修も忘れてはならない。計画の策定と同時進行で、各施設の調査や修繕作業を加速してほしい。

政治の究極の役割は、国民の生命と財産を守ることだ。南海トラフ巨大地震や首都直下地震など大災害を想定した実効性のある計画の策定を急いでもらいたい。

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