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特定秘密保護法

日本の安全保障に関する情報のうち、特に秘匿することが必要であるものを特定秘密として指定し、取扱者の適性評価の実施や漏洩した場合の罰則などを定める「特定秘密保護法案」が、衆議院を通過して参議院で議論されています。
この法案に対しては、ジャーナリストや市民団体をはじめとして国民の多くが反対しています。法案提出前に行われた概要に対するパブリックコメントでは、8割の人が反対を表明していますが、政府はこの法案を何が何でも通そうとしています。

特定秘密保護法案に対して、JANICをはじめとした国際協力NGOも反対を表明しています。名古屋NGOセンターが中心となって「秘密保護法を制定しないことを求める国際協力 NGO の要請書」を作成し、北海道から九州までの8つのネットワークNGOが呼びかけ団体なって全国のNGOに対して賛同を呼びかけ、92のNGOがこの要請書に連名しました。
そして、11月13日に衆議院議員会館の会議室で記者会見を行いました。
記者会見には、名古屋NGOセンターの西井代表、関西NGO協議会の奥谷事務局長、JANIC副理事長でもあるJVCの谷山代表、ヒューマンライツ・ナウの伊藤事務局、そして私の5人がそれぞれの立場から秘密保護法制定反対の意見を述べました。
要望書および全国のNGOからの意見の集約は、ウェブに掲載済みですが、私からは以下の2点をコメントしました。

1点目は人道支援活動において安全情報の入手が困難になって救援活動に支障が出る可能性があることです。たとえば、イラクやアフガニスタンで多くの日本のNGOが救援活動を行っていますが、治安の悪い地域で活動を続けるためには大使館からの安全情報が不可欠です。NGOは特定の政治勢力や宗教派閥にとらわれることなく、人道的な観点から救援活動を行います。そのため、現地政府や西側諸国が認めていない勢力の支配下であっても活動を実施することがあります。仮に支援対象がアルカイダの影響があったとしても、NGOにとっては関係のないことです。それが、テロとの関連性や日本政府にとっての安全保障上の機密情報であることを理由に、重要な安全情報が入手できなかったり、時には現地でPKO活動を行っている自衛隊関連の情報も得られなくなる可能性があります。そうなると、人道支援活動自体が実施できなかったり、スタッフが危険にさらされてしまうことにもなります。

2点目は、提言活動における懸念です。NGOが果たす役割には、途上国における開発協力や人道支援活動と並んで、政府や国連機関に対する提言活動があります。この提言活動が、秘密保護の名のもとに情報入手が困難になったり、様々なルートを使って入手した情報を元に提言や告発をした場合に、違法な情報入手やその漏洩を理由に活動が阻害されたり場合によっては逮捕されたりという危険性があります。
記者会見では、「特定秘密は安全保障に関わることに限定されているので、提言一般が影響を受けるわけでないのではないか」との質問が出て、その時はうまく答えられませんでしたが、会見後の記者との懇談の際には、以下の2点を挙げました。
ひとつは、私も監事として関わっている地雷廃絶日本キャンペーン(JCBL)の行っている活動などへの影響です。JCBLは、1997年にノーベル平和賞を受賞した「地雷禁止国際キャンペーン(ICBL)」の日本におけるキャンペーン組織です。JCBLは、日本政府に対人地雷やクラスター爆弾の廃棄に関わる条約批准を働きかけてきました。その結果、日本政府は対人地雷に関するオタワ条約とクラスター爆弾に関するオスロ条約に加盟し、廃棄を進めています。各国の地雷キャンペーンは、自国の軍隊が持つ人道地雷やクラスター爆弾の保管・廃棄状況をモニタリングする責任があり、JCBLでは防衛省から情報を得ていますが、これらの情報はまさに安全保障にかかわる情報であり、今後入手が困難になる可能性があります。
また日本政府は現在原発の輸出を積極的に進めており、最近では安倍首相がトルコに行って原発や科学技術の協力強化を盛り込んだ共同宣言に署名しました。福島の原発事故の解決の見通しが全く立っていない現状で、私たちは日本政府の原発輸出に反対しています。しかし、原発輸出は高度な外交および安全保障上の問題であると特定秘密保護の対象にされる可能性があります。

政府は、特定秘密保護法は、外交/安全保障など限られた分野だけを対象としていて、一般市民の生活には直接関係しないと説明していますが、多くの人々は市民の知る権利が侵害されるのではないかと危惧しています。記者会見で弁護士でもあるヒューマンライツ・ナウの伊藤事務局長は、「一度法案が成立してしまうと、解釈によって秘密の範囲がどんどん広がる心配がある」と述べていました。

私自身、難しい法律論議はわかりませんが、伊藤事務局長が言ったような心配が広く市民の間にあると思います。
人々が誰からも脅かされず、違った考えであったとしても遠慮することなく表明でき、政府に対しては必要な情報の開示を請求できる、そのような平和で公正な社会の実現のために、特定秘密保護法に私は反対します。

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