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なぜ総論賛成の私が反対討論を行ったのか

自民党・日本維新の会・公明党・みんなの党4派提出の「特定秘密の保護に関する法律案に対する修正案」に対する反対討論



民主党 長島昭久 衆議院本会議 (2013年11月26日)

私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました自民党・日本維新の会・公明党・みんなの党4派提出の「特定秘密の保護に関する法律案に対する修正案」に対し、反対の立場から討論を行います。

冒頭に、与党側の修正協議担当者に対し改めて感謝申し上げます。中谷、大口、岩屋、上田、今津先生は、この1週間余、私たちの対案と真摯に向き合ってくれました。議会人として、その誠意ある姿勢に深く敬意を表するものです。あと2-3週間あれば、あるいは合意に漕ぎ着けることができたかもしれません。誠に残念であります。この修正協議を頓挫させた原因は、ことを性急に運ぼうとする政府の強引な姿勢にあったことを、怒りをもって指摘せざるを得ません。

私は、10年前、国会に送っていただいて以来、「外交・安全保障に与党も野党もない、あるのは国益のみ」を政治信念に国家安全保障問題に全身全霊を注いでまいりました。したがいまして、先に本院で審議された「国家安全保障会議設置法」をめぐっても、「日本版NSC」がより機能するよう党内の反対論を乗り越えて修正案を提起し、与党との合意を得るために汗をかかせていただきました。

NSCを創設し、わが国のインテリジェンスを強化して行く。インテリジェンスを強化するためにも、必要最小限の秘密を保護する法制度は当然必要であるとの認識でした。決して、「国民の目や耳を塞ぐ『平成の治安維持法』」などという極論を振りかざすつもりはありません。主権国家である以上、国家の存立と国民の安全を保障するため一定の秘密は認め、一定期間秘匿しておく必要性は十分理解しているつもりです。

実際、そういった認識に基づいて、民主党政権下で秘密保護法制の立法作業に着手したのです。しかし、私は、今回提出された政府原案を見たとき、私たちのイメージする秘密保護法制とは根本的に認識が異なると感じました。基本的な制度の「設計思想」が異なるのです。

民主党政権で秘密保護に関する法制化に着手することを決定した「政府における情報保全に関する検討委員会」では、有識者懇談会の答申を尊重するものの、次のような前提条件を明示しました。
第一に、国民の知る権利や取材の自由等を十分に尊重すること、
第二に、高度の秘匿の必要瀬が認められる情報のみを対象とし、その範囲を法律上可能な限り明確化すること、
第三に、高度の秘匿の必要性が認められなくなった情報が秘密として指定されたままになることがないよう、指定の解除等の措置について制度化すること、
第四に、適正評価に関し、その対象者のプライバシーに十分配慮すること、
第五に、罰則に関し、秘密を取り扱う者に限定するなど、処罰の範囲を必要最小限に抑えること。
その上で、「広く一般の意見を求め、その意見を考慮すること」としたのです。ここがまさにポイントであります。

こういったポイントは、今年6月に公表された「国家安全保障と情報への権利に関する国際原則」いわゆる「ツワネ原則」に沿ったものです。すなわち、①公開の規制対象が限定する、②秘密指定の起源や公開請求手続きを定める、③すべての情報にアクセスできる独立監視機関を置く、④メディアなど非公務員は処罰の対象外とする等。これが、秘密保護法制の「国際スタンダード」なのです。 本法案担当の森大臣はこの「ツワネ原則」を読んだこともないと答弁し失笑を買いましたが、私たちは、こういった国際スタンダードを踏まえ、米国はじめ各国の制度を研究し、今国会の審議を通じて51項目の論点整理を行いながら、国民の皆さんの声にも耳を傾け、民主党としての対案を取りまとめて国会に提出したのが先週19日の火曜日です。

「提出が遅い」という声が聞かれますが、たかだか2週間の国会審議で強引に採決しようという方が拙速なのではないですか。

民主党は、民主主義の基本である国民の「知る権利」を保障しつつ、我が国と国民の安全を確保するために、秘匿が必要かつ不可欠とされる最小限の情報を、政府が適正に管理することは必要であるとの立場です。条件反射的に反対を叫んでいるわけでも、安手の引き伸ばし戦術を弄するつもりもありません。しかし、世論調査を見ても、国民は慎重な審議を求めています。私たちは、大半の国民が納得できるような法制度を作ろうと、提案しているだけなのです。

議論の大前提として、「行政の情報は、主権者たる国民のものである」という民主主義の根幹に関わる認識を今一度強調せねばなりません。ですから、私たちは、情報公開法と公文書管理法の改正案も併せて提案しています。

修正協議に臨んだ与党の交渉担当者の皆さんは、情報公開制度の拡充や公文書管理の重要性を認めつつ、それら改正案を検討するには時間がなさすぎると言われました。時間をかければ、この法案でも折り合える可能性があるということでしょうか。一方で秘密保護法案に関する審議時間は十分だと言いながら、他方で情報公開や公文書管理について検討するには時間が不十分だと言うのは、明らかに自己矛盾しているのではないですか?

全国民を代表する国権の最高機関たる国会における「熟議の機会」を奪って、拙速に結論を急ぐことは、将来に深い禍根を残すことになりかねません。採決を急ぐ政府与党の姿勢に警鐘を乱打したいと思います。

民主主義社会において、「情報公開」と「秘密保護」という二つの公益のいずれも重要なのです。時間をかけてふたつの重大な公益を満たす「一致点」を見出すというのが筋だと考えます。その筋を外して、小手先の修正で妥協してしまったみんなの党の執行部には失望を禁じ得ません。「行政機関の長の長たる内閣総理大臣が第三者機関」との珍妙な論理は笑止千万です。みんなの党の中にも、日本維新の会の中にも、慎重審議を求める議員が数多くおられたと仄聞します。

議場の同僚議員の皆さん、国家存立のための秘密の保護と、情報公開や国民の知る権利とのバランスに最大限配慮した民主党案について、政治家としての良心と、全国民の代表という立場に鑑み、今一度虚心坦懐に検討して、最終的な投票態度を決めていただきたい。

民主党案は、国民の不安や懸念に十分答えるものとなっており、したがって、心ある与党議員からも、有識者やマスメディアからも一定のご評価をいただいております。他方、欠陥だらけだった政府原案をめぐって、与党と日本維新の会、みんなの党で合意した4派修正案でしたが、依然として本質的な問題はなんら解決されておりません。

以下、本質的な相違点につきポイントを絞って説明します。

第一に、修正案においても、指定される秘密の基準や範囲は、依然として広範で曖昧であり、「その他」という文言も数多く残されたままで、拡大解釈の懸念はぬぐえません。国連人権高等弁務官事務所は22日、言論の自由を担当する2人の特別報告者が日本の特定秘密保護法案に「重大な懸念」を表明したと報道されています。

また、昨日の福島で行われた公聴会でも懸念が示された原発に関する情報では、何がどこまで特定秘密とされるのか、されないのか、法案担当の森大臣のご答弁それ自体が揺れ動き、指定の曖昧さを露呈しました。

これに対し民主党案では、「その他」という曖昧な文言を極力排し、「防衛秘密」、「特別防衛秘密」は現行法制度のままとし、「外交と国際テロリズムに関して外国の政府又は国際機関との情報を共有する上で必要かつ不可欠な情報」に限定して、秘密の範囲を絞り込みました。また、「違法や行政の瑕疵を隠蔽する目的」など政府の秘密指定を禁ずる項目も明記しました。

第二は、秘密の指定や運用について政府を監視する「第三者機関」についてです。政府原案では、有識者の意見は聞くが、あくまで政府が運用基準を定め、行政機関の長が指定することになっていました。 修正案では「付則」に秘密の指定や解除の基準等を検証し、監察できる新たな機関の検討が書き込まれましたが、いつまでにどのように検討するのか、設置されるまでどうするのか、本当に設置されるのか、まったく保証の限りではありません。これでは、実際に行政が決めた秘密が適正に運用・管理されているのか、国民の側から客観的に確認する方法がないままに「見切り発車」することになりかねません。

民主党は、独立行政委員会である「情報適正管理委員会」を設置して、政府が秘密を適正に管理するように監視するために、秘密の指定や解除、秘密を扱う公務員の適格性確認など運用基準の決定、調査・勧告、苦情の申出への対応、国会への報告など、その任務や権限なども具体的に規定した法律案を提出しました。秘密を取り扱う公務員が、不当な秘密指定の存在を知った場合、委員会に通報する義務も定めています。さらに、この委員会の独立性を担保するために、委員は国会が指名することとなっています。/p>

第三のポイントは、国会の関与についてです。4派修正案では、民主党提案を受けて、国会への情報提供を義務規定とし、政府原案の「政令で定める」ところを「国会で定める措置」としたことは評価します。 しかし、与党は国会でどういう措置をとるべきなのか、その考え方も示しておらず、国会での措置が決まるまで、政府は国会に情報を提供しないことになりかねません。しかも、国会への情報提供について、最終的には行政の裁量に委ねられる余地を残しています。

これに対し、民主党は、すでに国会法104条の改正案を提出し、「国家の極めて重大な利益に回復しがたい悪影響を及ぼす恐れ」があるか否かの最終的な判断をあくまで国会の自律権に委ねています。これは、伊吹議長にも十分ご評価いただけるのではないかと考えます。

第四に、処罰についてです。政府原案では、秘密を扱う業務者による情報漏えいとともに、情報を取得しようとする者に対しても厳しい罰則を科しています。 修正案では、24条をスパイなどの目的に絞りました。しかし25条では情報漏えいを「共謀し、教唆し、又は扇動」しただけで処罰の対象となり、秘密漏えいの結果がない場合でも処罰されるおそれがあると指摘されています。 このことにより取材や報道活動が萎縮したり、公務員側が厳罰を恐れて情報提供しなくなれば、国民の「知る権利」が侵されることになりかねません。  

民主党案では秘密の取扱者への罰則は「懲役5年以下」とし、また不正取得への新たな罰則も全文削除し、現行の国家公務員法の規定の範囲内としています。

以上、申し述べた理由にもとづき、民主党が4派修正案に反対であることを明らかにするとともに、いまや巨大化した政府与党には謙虚な議会運営に努めることを督促し、ぜひ参議院において改めて熟議を重ね、民主党案を熟読玩味し、さらなる法案修正に向け努力されんことを求め、私の討論といたします。

以上

衆議院議員 長島昭久 拝

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